窪田製薬は2021年8月12日、同年8月24日に「2021年12月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」および「2021年12月期 第2四半期決算説明資料」をそれぞれ公開しました。
今回の決算報告では、これまで頭の片隅にあった懸念「医療機器メーカーにでもなる気なのか?」がより強まった印象です。
窪田製薬をバイオテック企業としてカバーしているが故、もともと窪田製薬の窪田社長の経営戦略には強い疑問を持っておりました。
例えば現在行っているエミクススタト塩酸塩によるスターガルド病フェーズ3治験ですが、窪田製薬の規模であったのならエミクススタト塩酸塩の特性上、本来であれば開発失敗となった加齢黄斑変性よりも先に行うべき臨床試験でした。
そして、エミクススタト塩酸塩のもう一方のパイプラインである増殖糖尿病網膜症を適応とする開発は、スターガルド病フェーズ3治験の結果がネガティブであった場合、おそらく開発中止に追い込まれることになるでしょう。
加齢黄斑変性、スターガルド病、増殖糖尿病網膜症と、それぞれの治療メカニズムとしてエミクススタト塩酸塩の作用である「視覚サイクル」の抑制効果を期待していますが、この中で最もエミクススタト塩酸塩の作用と相性の良い疾患がスターガルド病だからです。
加齢黄斑変性フェーズ3治験のデータにより、エミクススタト塩酸塩が視覚サイクルを抑制していることは事実であり、それが故、視覚サイクルを抑制するパワーに疑問を持たなくてはなりません。
窪田製薬がバイオテック企業であれば、エミクススタト塩酸塩のパワー不足による治療薬開発中止リスクに備え、次の治療薬候補医薬品を株主に提示することが求められます。
ヒトロドプシンはその候補(網膜色素変性に対する遺伝子治療薬)として2016年4月にマンチェスター大学から導入しましたが、その後目立った進展はなく、その間に第3世代のCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)がゲノム編集技術として主流になり、窪田製薬のヒトロドプシンとウイルスベクターを活用した同候補は時代遅れの技術に基づいたものといえます。
その様な状況下において、窪田製薬は医療機器(超小型モバイルOCT、NASA宇宙飛行士モニタリングデバイス、クボタメガネ)の開発に力を注いでいます。
バイオテック企業ではなく医療機器メーカーとして再出発した場合、バイオテック企業特有の将来価値を大きく上乗せする評価算定ではなくなることが想定されます。
そのため、エミクススタント塩酸塩によるスターガルド病フェーズ3治験がネガティブな結果となった場合、時価総額は10~20億円程度まで落ち込むことが考えられ、バイオテック企業としての再起まで苦難の道を辿ることになると思います。
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