ストップ高となったキャンバスは膵臓癌試験における2剤併用群が思いがけない結果を示し、開発難易度が高まる可能性を示唆

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 1 創薬企業の相場概況

日米株が低調な中、創薬株の下落銘柄数は昨日に引き続き20を超え、創薬平均株価は2日続落で取引を終えています。

加えて、創薬株価指数は全て下落しており、創薬株にとっても厳しい1日となりました。

個別銘柄ではキャンバスがストップ高となる前日比16.2%高で取引を終えています。

キャンバスは前日に膵臓癌を適応とする免疫着火剤「CBP501」によるフェーズ2試験の近況アップデートを報告し、確実にCBP501が投与されている3剤併用群(CBP501:25mgまたは16mg / 抗癌剤「シスプラチン」 / PD-1抗体「ニボルマブ」)の内の1つにおいて、高い有効性を理由とする早期中止の可能性を示しました。

また、2剤併用投与群(CBP501:25mgとシスプラチン、または、ニボルマブとシスプラチン)においては、一方が早期有効中止の可能性を示し、もう一方が早期無効中止が決定するなど、2群間で差が出ている状況です。

キャンバスの投資家としてはCBP501が含まれる2剤併用群の方に早期有効中止の可能性が示されていると期待したいものですが、最終結果が報告されるまでは過度な期待は禁物です。

その背景には、膵臓癌の一次化学療法であるナブパクリタキセルとゲムシタビンの併用療法と比較し、同剤にニボルマブを加えた3剤併用療法の方が治療効果が高く、要約するとニボルマブは膵臓癌に対して有効であると言えます。

加えて、ニボルマブはFDAによって初めて臓器の部位単位ではなく、癌の分子特性のみに基づいて承認された治療薬です。

それらを踏まえると、2剤併用投与群における早期有効中止の可能性を示した群が「ニボルマブとシスプラチン」の可能性もあり、その場合、フェーズ3試験の難易度が大幅に高まってしまいます。

例えば、同近況のデータにおいて、3剤併用群と2剤併用群の3M­-PFS(3ヶ月無増悪生存)の結果が良い方で両群間を検定した場合、有意水準5%でのp値は0.714となり、CBP501の有効性に疑問が生じる結果となります。

故に、2剤投与群のどちらが良好な結果となったのかが判明するまでは過度な期待は禁物であり、期待先行の株価推移に対して警戒が必要だと考えております。

一方で、2剤投与群の内、良好な結果となったのが「CBP501:25mgとシスプラチン」の群であった場合、同条件下における有意水準5%でのp値は0.054となり、フェーズ3試験では対ニボルマブに対しても有効性を示せる可能性が高まります。



 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【キャンバス】

CBP501臨床第2相試験の状況に関するご報告

行使価額修正条項付新株予約権の大量行使に関するお知らせ

【カイオム・バイオサイエンス】

第18回新株予約権(行使価額修正条項付)の大量行使に関するお知らせ

【ペプチドリーム】

個人投資家さま向けオンライン説明会(2022年9月26日(月)19:00~)開催のお知らせ

【ファンペップ】

フィスコ社 企業調査レポート発行のお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 545円 -8円(-1.39%)
BR平均株価【大型株】 1,647円 -15円(-0.90%)
BR平均株価【低分子】 668円 -12円(-1.72%)
BR平均株価【低分子(大型株除く)】 310円 -4円(-1.39%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク】 589円 0円(-0.04%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】 73円 -1円(-1.79%)
BR平均株価【抗体・アプタマー】 205円 -4円(-2.02%)
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】 761円 -19円(-2.42%)
BR平均株価【遺伝子】 265円 -6円(-2.07%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,234円 -62円(-1.89%)
NBI* 3,857ドル -67ドル(-1.71%)
日経平均株価 27,313円 -375円(-1.36%)
NASDAQ 11,425ドル -23ドル(-0.20%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標





創薬平均株価:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR平均株価【大型株】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BBR平均株価【低分子】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BBR平均株価【低分子(大型株除く)】:カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BR平均株価【ペプチド・タンパク】:オンコセラピー・サイエンス、ペプチドリーム、ブライトパス・バイオ、ファンペップ

BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】:オンコセラピー・サイエンス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ



BR平均株価【抗体・アプタマー】:カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、リボミック、ペルセウスプロテオミクス

BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、クリングルファーマ

BR平均株価【遺伝子】:アンジェス、ナノキャリア、オンコリスバイオファーマ、モダリス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 3銘柄
値下がり銘柄数 23銘柄
変わらず 2銘柄
出来高 1,453万株
売買代金 76億円
時価総額 8,123億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,285円 -44円(-3.3%)
アンジェス 247円 -6円(-2.4%)
オンコセラピー・サイエンス 63円 -1円(-1.6%)
そーせいグループ 1,881円 -25円(-1.3%)
ナノキャリア 190円 -5円(-2.6%)
カルナバイオサイエンス 903円 +8円(+0.9%)
キャンバス 719円 +100円(+16.2%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 235円 -3円(-1.3%)
ラクオリア創薬 1,013円 -33円(-3.2%)
シンバイオ製薬 684円 -22円(-3.1%)
カイオム・バイオサイエンス 150円 -1円(-0.7%)
キッズウェル・バイオ 242円 -4円(-1.6%)
ペプチドリーム 1,633円 +2円(+0.1%)
オンコリスバイオファーマ 494円 -14円(-2.8%)
リボミック 177円 -5円(-2.7%)
サンバイオ 1,119円 -34円(-2.9%)
ヘリオス 299円 -3円(-1.0%)
ブライトパス・バイオ 68円 -3円(-4.2%)
窪田製薬ホールディングス 136円 -4円(-2.9%)
ソレイジア・ファーマ 53円 -3円(-5.4%)
Delta−Fly Pharma 963円 -17円(-1.7%)
ステムリム 905円 -21円(-2.3%)
メディシノバ 310円 -4円(-1.3%)
ファンペップ 199円 0円(0.0%)
ペルセウスプロテオミクス 361円 -14円(-3.7%)
モダリス 405円 0円(0.0%)
クリングルファーマ 431円 -12円(-2.7%)
レナサイエンス 341円 -8円(-2.3%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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