1 創薬企業の相場概況
3連休明けとなった本日の日本株は、先週末の大幅反落の反動による反発狙いの買いが先行し、出だしは大幅に値を上げました。
しかしながら、今週は日銀金融政策決定会合(日本)、FOMC(米国)、金融政策委員会(英国)と、主要3カ国における中央銀行の会合が行われるため、日本株式市場では様子見気分となった模様です。
特に、9月20~21日(米国)に行われるFOMCの結果発表を控え、米利上げ幅が予想通りの0.75%となるかに注目が集まり、さらには、先行きの利上げペースを見極める必要があるため、同結果発表がなされるまでは方向感に欠ける展開になると予想されます。
そのような中、創薬株の騰落数は値上がりが僅か3銘柄、値下がりが24銘柄、変わらずが1銘柄となり、創薬平均株価は前日比2.54%安と精細を欠きました。
また、年初来安値を更新した銘柄数がナノキャリア、カイオム・バイオサイエンス、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ、クリングルファーマの6銘柄となり、創薬株の苦しい展開を表しています。
ナノキャリア、ヘリオス、クリングルファーマの3銘柄は、それぞれの主力パイプラインの臨床試験において主要評価項目を達成出来なかったことが尾を引いています。
主力パイプラインにおける同問題は株価を長期間に渡って低迷させる要因であることは周知の事実であるため、多少の反発はあるにせよ、次の主力となるパイプラインが現れるまでは、株価の上昇は期待出来ないと考えられます。
しかしながら、ヘリオスとクリングルファーマは同パイプラインの完全なる失敗とは言えず、ヘリオスはPMDAとの交渉によって、クリングルファーマは追加解析の結果如何では、パイプラインの復活となる可能性を秘めています。
<ナノキャリア>
推定市場規模が年間20億ドル(米国)とされる遺伝子治療用製品「VB-111」を用いた卵巣癌フェーズ3試験において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の統計的に有意な改善という主要評価項目を達成出来なかった。
▼遺伝子治療用製品「VB-111」卵巣癌フェーズ3試験に関する記事

<ヘリオス>
間葉系幹細胞製品「HLCM051」による急性期脳梗塞フェーズ2/3試験(TREASURE試験)において、主要評価項目である365日後のExcellent Outcome(mRS*≦1、NIHSS**≦1、BI***≧95)の変化量では統計学的な有意差が得られなかったものの、副次評価項目での中でも重要度の高い365日後のGlobal Recovery(mRS≦2、NIHSS75%以上改善、BI≧95)の変化量では同有意差が認められた。
▼間葉系幹細胞製品「HLCM051」急性期脳梗塞フェーズ2/3試験に関する記事

<クリングルファーマ>
HGFタンパク質製剤「KP-100IT」によるALSフェーズ2試験において、主要評価項目であるALSFRSスコアの変化量(24週時点)の有意差が得られず、ALSFRS-Rスコアの30日あたりの変化量や、24週時のALSFRS-Rドメインごとのサブスコア(球機能、四肢機能、呼吸機能)、ALS患者のQOLを評価するALSAQ-40スコアなどの副次評価項目に関しても有意差が得られなかった。
▼HGFタンパク質製剤「KP-100IT」によるALSフェーズ2試験に関する記事

2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【アンジェス】
【ペプチドリーム】
3 創薬株価指数と主要株価指数
創薬株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 553円 | -14円(-2.54%) |
BR平均株価【大型株】 | 1,662円 | -45円(-2.62%) |
BR平均株価【低分子】 | 680円 | -11円(-1.65%) |
BR平均株価【低分子(大型株除く)】 | 315円 | -2円(-0.75%) |
BR平均株価【ペプチド・タンパク】 | 590円 | -18円(-2.99%) |
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】 | 75円 | -1円(-1.24%) |
BR平均株価【抗体・アプタマー】 | 209円 | -5円(-2.21%) |
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】 | 780円 | -35円(-4.30%) |
BR平均株価【遺伝子】 | 271円 | -5円(-1.95%) |
主要株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
TOPIX33[医薬品] | 3,296円 | -15円(-0.45%) |
NBI* | 3,925ドル | -39ドル(-0.98%) |
日経平均株価 | 27,688円 | +121円(+0.44%) |
NASDAQ | 11,448ドル | -104ドル(-0.90%) |
*NBI:NASDAQ Biotechnology Index
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR平均株価【大型株】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BBR平均株価【低分子】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス
BBR平均株価【低分子(大型株除く)】:カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス
BR平均株価【ペプチド・タンパク】:オンコセラピー・サイエンス、ペプチドリーム、ブライトパス・バイオ、ファンペップ
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】:オンコセラピー・サイエンス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ
BR平均株価【抗体・アプタマー】:カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、リボミック、ペルセウスプロテオミクス
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、クリングルファーマ
BR平均株価【遺伝子】:アンジェス、ナノキャリア、オンコリスバイオファーマ、モダリス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 3銘柄 |
値下がり銘柄数 | 24銘柄 |
変わらず | 1銘柄 |
出来高 | 1,501万株 |
売買代金 | 102億円 |
時価総額 | 8,087億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,329円 | -42円(-3.1%) |
アンジェス | 253円 | -6円(-2.3%) |
オンコセラピー・サイエンス | 64円 | -1円(-1.5%) |
そーせいグループ | 1,906円 | -33円(-1.7%) |
ナノキャリア | 195円 | -4円(-2.0%) |
カルナバイオサイエンス | 895円 | -9円(-1.0%) |
キャンバス | 619円 | +70円(+12.8%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 238円 | +5円(+2.1%) |
ラクオリア創薬 | 1,046円 | -39円(-3.6%) |
シンバイオ製薬 | 706円 | -1円(-0.1%) |
カイオム・バイオサイエンス | 151円 | -2円(-1.3%) |
キッズウェル・バイオ | 246円 | -6円(-2.4%) |
ペプチドリーム | 1,631円 | -53円(-3.1%) |
オンコリスバイオファーマ | 508円 | +2円(+0.4%) |
リボミック | 182円 | -3円(-1.6%) |
サンバイオ | 1,153円 | -19円(-1.6%) |
ヘリオス | 302円 | -9円(-2.9%) |
ブライトパス・バイオ | 71円 | 0円(0.0%) |
窪田製薬ホールディングス | 140円 | -1円(-0.7%) |
ソレイジア・ファーマ | 56円 | -3円(-5.1%) |
Delta−Fly Pharma | 980円 | -20円(-2.0%) |
ステムリム | 926円 | -75円(-7.5%) |
メディシノバ | 314円 | -2円(-0.6%) |
ファンペップ | 199円 | -3円(-1.5%) |
ペルセウスプロテオミクス | 375円 | -15円(-3.8%) |
モダリス | 405円 | -10円(-2.4%) |
クリングルファーマ | 443円 | -14円(-3.1%) |
レナサイエンス | 349円 | -2円(-0.6%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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