金融引締の長期化リスクにより創薬株は反落 キッズウェル・バイオはマスターセルバンクの完成を好感し大幅に上昇

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 1 創薬企業の相場概況

本日の日経平均株価はFRB(米連邦準備理事会)による金融引締の長期化を警戒した売りが集まったことで2日続落となりました。

その背景には、クリーブランド地区連銀のメスター総裁が、来年の早い時期までに政策金利を4%を上回る水準に引き上げ、その水準を維持する必要があり、加えて、来年の利下げ転換はないとの見方を示したことが上げられます。

この影響を受け、創薬平均株価は2日ぶりに反落しました。

なかでも、前日の苦しい相場環境の中、強気な推移で値を上げたアンジェス、ペプチドリーム、サンバイオや、前日までに6日続伸を記録し、同期間中に20%以上も値を上げたステムリムの下落が顕著でした。




また、これら4銘柄の時価総額は創薬株の上位6社に含まれるため、創薬平均株価に与える影響が大きく、結果として創薬平均株価は75日移動平均線を若干下回る形で取引を終えました。

しかし、75日移動平均線に対する下振れは0.8%と限定的であることから、同平均線を支持線とする反発の可能性は残されています。

個別ではキッズウェル・バイオが前日にSHED(乳歯歯髄幹細胞)マスターセルバンクの構築が完了したことを発表し大幅に上昇しました。

SHEDの特徴は増殖能力が高く、神経系や筋骨格系に対して高い有効性が期待されています。

SHED(乳歯由来の歯髄幹細胞)の開発展開(参照:SHED マスターセルバンクの完成)




例えば、成人骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)と比較した場合、SHEDは増殖速度で約3倍、増殖規模では約3.5倍の能力を備えており、増殖能力の高さが伺えるのではないでしょうか。[1]

そして、マスターセルバンクの作成完了後、キッズウェル・バイオはSHEDを用いて、脊髄損傷や脳梗塞などの神経疾患、または、難治性骨折や大腿骨頭壊死などを適応とする治療薬開発への進展を示唆しています。

特に、神経疾患ではニプロ社やサンバイオが再生医療製品の早期承認制度を活用した事例を作っており、早期製品化に向け、前例のある神経疾患を適応とする治療薬の開発を進めるのか、または、観察期間が比較的短い筋骨格系の開発に進むのかが注目です。

▽参考文献
[1] SHED: Stem cells from human exfoliated deciduous teeth



 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【アンジェス】

新型コロナワクチン開発:臨床試験結果の公表時期について

【シンバイオ製薬】

執行役員の選任に関するお知らせ

【キッズウェル・バイオ】

「乳歯歯髄幹細胞(SHED)マスターセルバンクの構築完了」に関する当社代表 谷匡治のインタビュー動画が配信されました

乳歯歯髄幹細胞(SHED)マスターセルバンクの構築完了に関する補足説明資料

乳歯歯髄幹細胞(SHED)マスターセルバンクの構築完了に関するお知らせ

【サンバイオ】

ストック・オプション(新株予約権)の発行内容確定に関するお知らせ

【ブライトパス・バイオ】

学会発表のお知らせ:日本癌学会

【ソレイジア・ファーマ】

行使価額修正条項付第12回新株予約権の取得及び消却に関するお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 564円 -13円(-2.33%)
BR平均株価【大型株】 1,640円 -40円(-2.38%)
BR平均株価【低分子】 675円 -4円(-0.60%)
BR平均株価【低分子(大型株除く)】 318円 -2円(-0.51%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク】 585円 -23円(-3.73%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】 77円 +0円(+0.34%)
BR平均株価【抗体・アプタマー】 231円 +6円(+2.82%)
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】 797円 -39円(-4.64%)
BR平均株価【遺伝子】 322円 -9円(-2.79%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,270円 -20円(-0.61%)
NBI* 3,862ドル +8ドル(+0.21%)
日経平均株価 27,661円 -430円(-1.53%)
NASDAQ 11,816ドル -67ドル(-0.56%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標





創薬平均株価:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR平均株価【大型株】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BBR平均株価【低分子】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BBR平均株価【低分子(大型株除く)】:カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BR平均株価【ペプチド・タンパク】:オンコセラピー・サイエンス、ペプチドリーム、ブライトパス・バイオ、ファンペップ

BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】:オンコセラピー・サイエンス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ



BR平均株価【抗体・アプタマー】:カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、リボミック、ペルセウスプロテオミクス

BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、クリングルファーマ

BR平均株価【遺伝子】:アンジェス、ナノキャリア、オンコリスバイオファーマ、モダリス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 8銘柄
値下がり銘柄数 18銘柄
変わらず 2銘柄
出来高 1,804万株
売買代金 88億円
時価総額 8,115億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,546円 -19円(-1.2%)
アンジェス 338円 -14円(-4.0%)
オンコセラピー・サイエンス 63円 0円(0.0%)
そーせいグループ 1,740円 -6円(-0.3%)
ナノキャリア 204円 -1円(-0.5%)
カルナバイオサイエンス 907円 -23円(-2.5%)
キャンバス 598円 -7円(-1.2%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 215円 +2円(+0.9%)
ラクオリア創薬 1,046円 -11円(-1.0%)
シンバイオ製薬 713円 +3円(+0.4%)
カイオム・バイオサイエンス 166円 -1円(-0.6%)
キッズウェル・バイオ 267円 +20円(+8.1%)
ペプチドリーム 1,612円 -69円(-4.1%)
オンコリスバイオファーマ 524円 +4円(+0.8%)
リボミック 200円 -1円(-0.5%)
サンバイオ 1,143円 -40円(-3.4%)
ヘリオス 300円 -11円(-3.5%)
ブライトパス・バイオ 81円 +2円(+2.5%)
窪田製薬ホールディングス 148円 -2円(-1.3%)
ソレイジア・ファーマ 67円 0円(0.0%)
Delta−Fly Pharma 992円 +4円(+0.4%)
ステムリム 983円 -66円(-6.3%)
メディシノバ 303円 -3円(-1.0%)
ファンペップ 211円 -2円(-0.9%)
ペルセウスプロテオミクス 436円 +13円(+3.1%)
モダリス 401円 -12円(-2.9%)
クリングルファーマ 464円 -7円(-1.5%)
レナサイエンス 364円 +5円(+1.4%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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