メディシノバ|MN-001による糖尿病性脂質異常症によるNAFLD治療薬開発のチャレンジ


MN-001は非臨床試験でのマウスNASHモデルにおいては、肝臓の線維化領域の軽減、NAFLDスコアの改善、バルーニング(肝実質細胞の死)スコアの改善、肝臓の炎症領域の軽減などで有意な改善が確認されたことから、2014年以降、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)治療薬として開発が進められていました。

もともとNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)治療薬として開発が進められていましたが、FDAがフェーズ3試験で求める主要評価項目を採用する場合、開発資金が莫大になるために方向性が見直されました。

FDAはNASH治療薬開発では線維化の進行を伴わない肝細胞風船様変性の消失、または、組織学的にNASHの悪化を伴わない線維化の改善が、承認審査のために必要な主要評価項目と定義しています。

さらに、その評価方法には肝生検(肝臓に針を指して組織を採取する方法)が用いられ、入院が必要である手術のため、被験者の負担が大きいことが課題となります。




そして、FDAは開発者に対して、フェーズ3試験での最低2回の肝生検を含めることを義務付け、1回目はベースライン時、2回目は最終的な治療効果を評価する最後の診察の時です。

肝生検のコストは1回あたり7千ドル以上と推定され、Intercept社と同様に2,000人規模のフェーズ3試験を行うとした場合、肝生検だけで28百万ドルの費用が掛かることになります。

また、登録時において肝生検のみを用いた場合、必要な登録数を集めるためには約2倍の募集人数が必要です。

そのため、上記に当てはめた場合、4,000人の1回目の検査と、2,000人の2回目の検査が必要となり、肝生検の費用は総額42百万ドルと極めて大きな額になります。

肝生検のみで42百万ドルはメディシノバにとって捻出が難しいため、方向性を見直したと考えられます。




対して、NAFLDの場合は肝臓に脂肪が沈着しているものの、肝細胞風船様変性や線維化を伴わないため、理屈上、肝生検は必要ありません。

そして、FDAは肝生検のデメリット(患者の肉体的負担や開発者の金銭的負担)と不確実性を認めており、開発者に対して肝生検に代わる測定方法を提示することが出来れば、それをフェーズ3試験で活用して良いとガイドラインにて公示しています。

近年、肝生検に代わる測定方法として、脂肪量の測定方法の一点に絞った場合、MRIプロトン密度脂肪率測定であるとする学術が増えています。

これは糖尿病(2型/境界型)を伴うNAFLDフェーズ2試験の評価方法の一つとしてメディシノバが言及したMRI-PDFFのことです。

そのため、NAFLD治療薬が存在しないことや、肝細胞風船様変性や線維化を伴わないNAFLDを適応とすることで、MRI-PDFF測定による脂肪量の変化量を同フェーズ3試験の主要評価項目として設定出来る可能性が高まります。

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