ペプチドリームが決算見直しで大反発 そーせいは今期目標達成の他、プライム市場移行やM1/M4作動薬の新規マイルストンの期待 メディシノバは糖尿病/NAFLDに対するMN-001の研究成果を発表予定

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株は前営業日の大幅な下落から反発し、創薬平均株価は3%に迫る上昇となりました。

そして、上昇率1位は前営業日に10%を超える下落となったペプチドリームでした。

同下落に関しては、第2四半期決算発表によって通期業績予想の達成が困難と評価されたことによるものと考えられましたが、下半期に収益機会が偏ってることが見直され、本日の上昇に繋がったと思われます。

▼ペプチドリームの今期収益機会についての参考記事

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また、富士フィルム社から買収した放射性医薬品事業において、期待通りの売上を計上したことも評価の見直しに寄与したと考えられます。

放射性医薬品事業による売上見通し(参照:2022年12月期第2四半期決算説明会)

しかしながら、同目標を達成するためには契約交渉の遅延や失敗は許されず、さらに、新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響にも左右されそうなのも事実であり、注意深く行方を見守る必要があります。




そーせいグループ(そーせい)は8月10日に2022年12月期第2四半期決算説明会を実施し、そーせいとNeurocrine社が提携するムスカリン受容体(M4、M1およびM1/M4)作動薬ポートフォリオの開発マイルストンについて言及しました。

そーせいは、統合失調症パイプラインにおけるM4受容体作動薬「HTL-0016878(現:NBI-1117568)」について、同フェーズ2試験に対するFDAからのIND(新薬臨床試験開始申請)受理による開発マイルストン30百万ドルをNeurocrine社から受領したことを先日8月5日に報告しましたが、それに続いて、M1作動薬およびM1/M4デュアル作動薬についても、2023年にNeurocrine社によるフェーズ1試験の開始が予定されていることから、さらなる開発マイルストンが発生すると期待しています。

ムスカリン受容体作動薬ポートフォリオの見通し(参照:2022年12月期 第2四半期(1月-6月)決算説明資料)




フェーズ1試験の開始時に得られるマイルストンは一般的には数百万ドル前半と少額ですが、そーせいが得られるムスカリン受容体作動薬ポートフォリオの開発、申請・承認マイルストンが最大で15億ドルであることや、前述したフェーズ2試験開始によるマイルストンが30百万ドルであることを考慮すると、10百万ドルに近い高額なマイルストンが得られるかもしれません。

さらに、そーせいは今年中に複数の新規化合物の発表に自信を持っていることや、来年1~3月の東証プライム市場移行に向けて着々と準備を進めていることにも言及しました。

しかし、企業買収の進捗に関して具体的な言及はありませんでした。

2022年度の目標(参照:2022年12月期 第2四半期(1月-6月)決算説明資料)




そーせいは企業買収の資金として転換社債型新株予約権付社債を発行しましたが、利率(年間)が0.25%のため、そーせいの財務に悪影響を与える可能性が低く、また、円建てあるため円安によるデメリットを受けません。

▼転換社債型新株予約権付社債についての参考記事

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さらに、株価も同社債発行時より下落していることから、新株発行による株式総数の増加リスクも低く、そのため、ファイナンス面で買収を急ぐ理由がない状況です。

世界の主要な株式市場では2022年に入ってから下落基調であるものの、2021年初期と同等の水準であり、円安はそーせいの企業買収に不利に働いています。

以上を考慮すると、企業買収の完了までにはもうしばらく時間がかかると想定されます。




メディシノバは国際糖尿病学会議年会IDF 2022 Congressにおいて、糖尿病および高脂血症を併発するNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)治療薬「MN-001」に関する新たな重要な知見について発表することを報告しました。

MN-001は2014年以降、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)治療薬として開発が進められていましたが、FDAがフェーズ3試験で求める主要評価項目での評価では開発資金が莫大になるために方向性が見直されました。

そして、過去に実施したMN-001によるNASH/NAFLDフェーズ2試験において、血清中性脂肪値の低下、HDLコレステロール値の上昇、LDLコレステロール値の低下が確認され、その効果は特に2型糖尿病又は境界型糖尿病の患者群でより確認されたことから、前記適応での開発に進むこととなりました。




さらに、糖尿病とNAFLDは相互的な疾患です。

しかし、そーせいも関わるPfizer社のGLP-1作動薬「PF-07081532」のように、糖尿病患者に対する血糖値を下げる治療薬はあるものの、NAFLD患者に対する肝臓脂肪量を減らす治療薬はありません。

▼糖尿病を適応とするGLP-1作動薬「PF-07081532」についての参考記事

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故に、MN-001はNAFLD治療薬の他、糖尿病治療薬の側面もあり、両方の患者からのニーズが高くなると思われます。



 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【そーせいグループ】

2022年12月期 第2四半期報告書

2022年12月期 第2四半期(1-6月)決算説明資料

2022年12月期第2四半期(1月-6月)ビジネスハイライトおよび連結業績について

2022年12月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)

【ナノキャリア】

営業外収益及び特別利益・特別損失の計上に関するお知らせ

2023年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

四半期報告書-第27期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【カイオム・バイオサイエンス】

四半期報告書-第19期第2四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

2022年12月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

決算補足資料 2022年12月期 第2四半期

営業外収益の計上に関するお知らせ

【ペプチドリーム】

2022年12月期第2四半期決算カンファレンスコール(2022年8月10日開催、音声のみ)

四半期報告書-第17期第2四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

当社関連会社ペプチエイド株式会社が新型コロナウイルス感染症治療薬PA-001の臨床研究において良好な安全性プロファイルを確認したことを発表

【リボミック】

QUOカード発送のご案内

2023年3月期 第1四半期報告書

【ヘリオス】

第14回世界脳卒中学会でのTREASURE試験結果発表のお知らせ

【メディシノバ】

国際糖尿病学会議年会「IDF 2022 Congress」における、MN-001(タイペルカスト)の2型糖尿病及びNAFLD患者における血清脂質プロファイルの改善に関するアブストラクト発表採択に関するお知らせ

【モダリス】

2022年12月期 第2四半期決算説明会動画(2022年8月8日開催)

【レナサイエンス】

四半期報告書-第24期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

決算短信2023年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 565円 +15円(+2.70%)
BR平均株価【大型株】 1,651円 +79円(+5.00%)
BR平均株価【低分子】 693円 +8円(+1.14%)
BR平均株価【低分子(大型株除く)】 334円 -1円(-0.15%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク】 585円 +42円(+7.66%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】 76円 0円(-0.09%)
BR平均株価【抗体・アプタマー】 218円 +2円(+0.85%)
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】 757円 +6円(+0.83%)
BR平均株価【遺伝子】 330円 -1円(-0.16%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,246円 +29円(+0.90%)
NBI* 4,162ドル -66ドル(-1.56%)
日経平均株価 28,547円 +728円(+2.62%)
NASDAQ 12,780ドル -75ドル(-0.58%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標





創薬平均株価:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR平均株価【大型株】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BBR平均株価【低分子】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BBR平均株価【低分子(大型株除く)】:カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BR平均株価【ペプチド・タンパク】:オンコセラピー・サイエンス、ペプチドリーム、ブライトパス・バイオ、ファンペップ

BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】:オンコセラピー・サイエンス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ



BR平均株価【抗体・アプタマー】:カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、リボミック、ペルセウスプロテオミクス

BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、クリングルファーマ

BR平均株価【遺伝子】:アンジェス、ナノキャリア、オンコリスバイオファーマ、モダリス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 17銘柄
値下がり銘柄数 5銘柄
変わらず 6銘柄
時価総額 8,232億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,806円 +22円(+1.2%)
アンジェス 344円 0円(0.0%)
オンコセラピー・サイエンス 63円 0円(0.0%)
そーせいグループ 1,620円 +36円(+2.3%)
ナノキャリア 201円 +2円(+1.0%)
カルナバイオサイエンス 901円 +10円(+1.1%)
キャンバス 598円 +9円(+1.5%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 212円 -3円(-1.4%)
ラクオリア創薬 821円 +12円(+1.5%)
シンバイオ製薬 828円 -30円(-3.5%)
カイオム・バイオサイエンス 166円 0円(0.0%)
キッズウェル・バイオ 239円 0円(0.0%)
ペプチドリーム 1,614円 +126円(+8.5%)
オンコリスバイオファーマ 516円 +7円(+1.4%)
リボミック 202円 +6円(+3.1%)
サンバイオ 1,127円 +1円(+0.1%)
ヘリオス 324円 +2円(+0.6%)
ブライトパス・バイオ 82円 0円(0.0%)
窪田製薬ホールディングス 279円 +4円(+1.5%)
ソレイジア・ファーマ 67円 0円(0.0%)
Delta−Fly Pharma 891円 +21円(+2.4%)
ステムリム 845円 +16円(+1.9%)
メディシノバ 322円 +5円(+1.6%)
ファンペップ 205円 -1円(-0.5%)
ペルセウスプロテオミクス 385円 +3円(+0.8%)
モダリス 457円 -14円(-3.0%)
クリングルファーマ 655円 -9円(-1.4%)
レナサイエンス 357円 +4円(+1.1%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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