決算発表で苦戦が明らかになったペプチドリームは下半期での巻き返しとなるか GNIは評価額250百万ドルの子会社がTRK分解剤に対するIND承認を得る

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株は26銘柄が値を下げ、非常に厳しい展開となりました。

さらに、創薬株全体の時価総額の5割を占める大型株(ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム)で大幅な下落が目立った影響により、創薬平均株価は2020年1月からの観測史上2番目の落ち込みとなりました。

また、個別では本日の下落率1位(前日比10.8%安)となったペプチドリームは、前日の8月9日に第2四半期決算発表を行い、上半期の実績は売上高50億円、営業損失16億円、純損失11億円となったことを報告しました。

その報告書から、ペプチドリームは今期予想の売上高245億円を据え置いたこと、そして、同目標達成には下半期で同予想の8割を売り上げる必要があると分かりました。

加えて、M&A関連費用や無形資産等の償却費を除いたCore営業利益の予想も66億円と据え置き、上半期実績のCore営業損失12億円から88億円の積み上げが必要な状況です。

要するに、ペプチドリームは下半期の6ヶ月間において約200億円の売上をおおよそ45%の営業利益率で達成する必要があり、達成が困難な印象を投資家に与えてしまったことが本日の大幅な下落に繋がったと考えられます。




そのため、目標達成に向けて尽力するペプチドリームですが、その肝になる事業が創薬開発事業です。

ペプチドリームの化合物やパイプラインは早期段階のため、同創薬開発事業の売上は基本的にマイルストン収入や、導出または共同開発の契約交渉による契約金が中心です。

そして、ペプチドリームは下半期において既存契約による売上を35~40億円を見込み、現在交渉中の新規契約による売上を最大で100億円と見込んでいます。

創薬開発事業による売上見通し(参照:2022年12月期第2四半期決算説明会)





また、安定的な売上が見込める放射性医薬品事業では、下半期に70~80億円の売上を高い確率で計上出来ると思われす。

以上を考慮すると、ペプチドリームの今期予想である売上高245億円を達成する可能性は十分に残されています。

しかしながら、同目標を達成するためには契約交渉の遅延や失敗は許されず、さらに、新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響にも左右されそうです。

そのため、同目標の達成の可否は劣勢と言わざるを得ません。

下落率2位(前日比9.4%安)となったジーエヌアイグループ(GNI)は、前日に連結子会社のCullgen社のTRK分解剤「CG001419」による固形腫瘍を対象とするIND(臨床試験許可)申請が承認されたことを報告し、取引開始直後は年初来高値となる1,990円を付けたものの、その後は失速して取引を終えました。




本日の大幅な下落の原因は、1ヶ月間におよぶ上昇トレンドや、過去2年間で2,000円での出来高が多く、かつ、同水準が現在の上値抵抗線であることが要因となり、Cullgen社の同材料をもって材料出尽くしという心理的な後押しもあったため、損切りや利益確定を理由とする売りが出やすい状況であったことが上げられます。

しかし、非上場企業であるCullgen社の研究開発の進捗が良好であることも事実です。

2021年2月時点でCullgen社の企業価値は約250百万ドルと推定され、CG001419の上記適応症でのIND承認を得たことでその価値はさらに高まっています。

本日は大幅な下落となったGNIですが、8月1日と2日に付けたサポートラインの水準(1,780円)で踏みとどまったのも事実です。

したがって、GNIの上昇トレンドが終了したと判断するのは時期早々であり、ドレンド転換の有無を見極めるためにはもう少し時間が必要です。

なお、Cullgen社の企業価値の推定は、2021年2月に完了した3E Bioventures Capital社含む5社への50百万ドルのワラント付与と、それに伴うCullgen社に関する議決権の所有割合の変化(36.43%→28.31%)から算出致しました。



 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ジーエヌアイグループ】

連結子会社CullgenのTRK分解剤に関するIND申請承認のお知らせ

【アンジェス】

営業外収益の計上に関するお知らせ

2022年12月期第2四半期決算短信を掲載しました

【デ・ウエスタン・セラピテクス研究所】

四半期報告書-第25期第2四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

営業外収益及び営業外費用の計上に関するお知らせ

2022年12月期 第2四半期決算説明資料

2022年12月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

【シンバイオ製薬】

米国NIH所属の国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)とブリンシドフォビル注射剤の共同研究試料提供契約を締結

【ペプチドリーム】

ペプチドリームとRayzeBio社、新規の放射性医薬品の創製に関する戦略的提携を拡大(プレスリリース)

2022年12月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)

【リボミック】

営業外収益(為替差益)の計上に関するお知らせ

2023年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

【ヘリオス】

2022年12月期 第2四半期報告書

eNK細胞に関する今後の研究・開発計画につい

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 551円 -37円(-6.24%)
BR平均株価【大型株】 1,572円 -148円(-8.62%)
BR平均株価【低分子】 685円 -37円(-5.14%)
BR平均株価【低分子(大型株除く)】 335円 -9円(-2.58%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク】 544円 -60円(-10.01%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】 76円 -1円(-1.04%)
BR平均株価【抗体・アプタマー】 217円 -2円(-0.79%)
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】 751円 -41円(-5.16%)
BR平均株価【遺伝子】 331円 -13円(-3.82%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,217円 +10円(+0.32%)
NBI* 4,137ドル -71ドル(-1.68%)
日経平均株価 27,819円 -181円(-0.65%)
NASDAQ 12,494ドル -151ドル(-1.19%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標





創薬平均株価:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR平均株価【大型株】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BBR平均株価【低分子】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BBR平均株価【低分子(大型株除く)】:カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BR平均株価【ペプチド・タンパク】:オンコセラピー・サイエンス、ペプチドリーム、ブライトパス・バイオ、ファンペップ

BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】:オンコセラピー・サイエンス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ



BR平均株価【抗体・アプタマー】:カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、リボミック、ペルセウスプロテオミクス

BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、クリングルファーマ

BR平均株価【遺伝子】:アンジェス、ナノキャリア、オンコリスバイオファーマ、モダリス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 1銘柄
値下がり銘柄数 26銘柄
変わらず 1銘柄
出来高 2,235万株
売買代金 178億円
時価総額 8,248億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,784円 -185円(-9.4%)
アンジェス 344円 -14円(-3.9%)
オンコセラピー・サイエンス 63円 0円(0.0%)
そーせいグループ 1,584円 -75円(-4.5%)
ナノキャリア 199円 -4円(-2.0%)
カルナバイオサイエンス 891円 -10円(-1.1%)
キャンバス 589円 -27円(-4.4%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 215円 -3円(-1.4%)
ラクオリア創薬 809円 -26円(-3.1%)
シンバイオ製薬 858円 -23円(-2.6%)
カイオム・バイオサイエンス 166円 -1円(-0.6%)
キッズウェル・バイオ 239円 +1円(+0.4%)
ペプチドリーム 1,488円 -181円(-10.8%)
オンコリスバイオファーマ 509円 -16円(-3.0%)
リボミック 196円 -4円(-2.0%)
サンバイオ 1,126円 -51円(-4.3%)
ヘリオス 322円 -33円(-9.3%)
ブライトパス・バイオ 82円 -2円(-2.4%)
窪田製薬ホールディングス 275円 -11円(-3.8%)
ソレイジア・ファーマ 67円 -2円(-2.9%)
Delta−Fly Pharma 870円 -41円(-4.5%)
ステムリム 829円 -41円(-4.7%)
メディシノバ 317円 -1円(-0.3%)
ファンペップ 206円 -6円(-2.8%)
ペルセウスプロテオミクス 382円 -6円(-1.5%)
モダリス 471円 -29円(-5.8%)
クリングルファーマ 664円 -20円(-2.9%)
レナサイエンス 353円 -18円(-4.9%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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