シンバイオ製薬は多発性硬化症治療薬の開発着手を材料として大幅高 上昇率2位のGNIは最難関の2,000円突破に挑戦

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 1 創薬企業の相場概況

日米主要指数が軟調な中、本日の創薬株は売買代金が200億円を超え、上昇銘柄数も19に上るなど強さを見せました。

創薬平均株価が2%を超える上昇となった他、大型株も強く、創薬モダリティ指数では低分子と再生医療[細胞・増殖因子]が大きく上昇しました。

個別ではシンバイオ製薬が前日比13.5%高の大幅高となりました。

シンバイオ製薬は本日取引時間中に米国NIH(国立衛生研究所)に所属しているNINDS(国立神経疾患・脳卒中研究所)との間で、EBV(エプスタイン・バー・ウイルス)に対する抗ウイルス作用を目的としたブリンシドフォビル注射剤(BCV)の共同研究に関する契約締結を発表しました。

EBVは大変身近なウイルスであり、成人までにほとんどの人が感染するウイルスでもあります。




しかし、EBV感染が引き金となる疾患も多く、悪性腫瘍や自己免疫疾患なとの関連性が認められています。

なかでも、シンバイオ製薬が前記発表の中で言及する多発性硬化症(MS)に対する予防・治療・修飾薬として開発が進められる可能性があります。

MSはRRMS(再発寛解型MS)、PPMS(一次性進行型MS)、SPMS(二次性進行型MS)の3種類に大区分され、PPMSとSPMSに関しては進行中の再発の有無も治療選択に関わります。

再発と進行の意味の違いは「急性増悪(再発)」か「1年以上の継続した神経症状の悪化(進行)」であり、再発は神経変性の性質が強く、進行は神経炎症の性質が強いです。

・急性増悪:McDonald基準で定義される急性増悪とは、中枢神経の障害により引き起こされる病状が24時間以上持続して認められることである。また、発熱や感染症は伴わない。

・1年以上の継続した神経症状の悪化:急性増悪とは別のMSに起因する神経症状の悪化を意味する。




そして、EBVに対するBCVは急性増悪に対する作用が期待されているため、RRMSと再発性SPMSを適応とする開発が主体になるでしょう。

Fortune社によると、MSの治療薬市場規模(世界)は2029年には331.7億ドルまで成長すると予測されているものの、現実的にはNovartis社のRRMS/再発性SPMS治療薬「Mayzent」や、Merck社の同治療薬「Mavenclad」の売上高が目標になると思われます。

2021年度のそれぞれの売上高は、Mayzentが2.8億ドル、Mavencladが7.1億ドルです。

また、承認翌年度となる2019年12月期のそれぞれの売上高は、Mayzentが0.3億ドル、Mavencladが3.9億ドルでした。

EBV-BCVの効能にもよりますが、シンバイオ製薬も承認翌年度に1億ドルを超えるようであればブロックバスターとなる可能性が高いでしょう。




ジーエヌアイグループ(GNI)はシンバイオ製薬に次いで本日の上昇率2位となりました。

本日の上昇によって、GNIは2月下旬と5月中旬に付けた安値サポートライン(1,000円)から2倍の水準まで株価を上げたことになります。

ここ2日間はこれまでの大幅高の影響により調整局面を迎えていたGNIですが、その期間に過熱感(RSI)を落ち着かせ、トレンド指標(MACD・DMI)も本日の上昇によって改善させました。

GNIにとって2,000円はサポートラインとしても、抵抗線としても、強固な水準となりますが、GNIの現状を考えると2,000円突破は大いに期待が持てそうです。

▼GNIの現状についての参考記事

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 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【カルナバイオサイエンス】

第20期(2022年12月期)第2四半期報告書

【デ・ウエスタン・セラピテクス研究所】

角膜内皮の再生医療 早期事業化を目指す -再生医療用細胞製品「DWR-2206」の製造をJ-TECに委託-

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 587円 +13円(+2.22%)
BR平均株価【大型株】 1,721円 +37円(+2.20%)
BR平均株価【低分子】 722円 +26円(+3.79%)
BR平均株価【低分子(大型株除く)】 344円 +13円(+3.86%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク】 604円 +3円(+0.55%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】 77円 0円(0.00%)
BR平均株価【抗体・アプタマー】 218円 +1円(+0.30%)
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】 792円 +20円(+2.58%)
BR平均株価【遺伝子】 344円 +2円(+0.72%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,206円 -18円(-0.55%)
NBI* 4,208ドル +39ドル(+0.92%)
日経平均株価 28,000円 -249円(-0.88%)
NASDAQ 12,644ドル -13ドル(-0.10%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標





創薬平均株価:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR平均株価【大型株】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BBR平均株価【低分子】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BBR平均株価【低分子(大型株除く)】:カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BR平均株価【ペプチド・タンパク】:オンコセラピー・サイエンス、ペプチドリーム、ブライトパス・バイオ、ファンペップ

BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】:オンコセラピー・サイエンス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ



BR平均株価【抗体・アプタマー】:カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、リボミック、ペルセウスプロテオミクス

BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、クリングルファーマ

BR平均株価【遺伝子】:アンジェス、ナノキャリア、オンコリスバイオファーマ、モダリス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 19銘柄
値下がり銘柄数 6銘柄
変わらず 3銘柄
出来高 2,772万株
売買代金 219億円
時価総額 8,180億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,969円 +111円(+6.0%)
アンジェス 358円 -2円(-0.6%)
オンコセラピー・サイエンス 63円 0円(0.0%)
そーせいグループ 1,659円 +37円(+2.3%)
ナノキャリア 203円 -2円(-1.0%)
カルナバイオサイエンス 901円 +1円(+0.1%)
キャンバス 616円 -16円(-2.5%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 218円 +3円(+1.4%)
ラクオリア創薬 835円 +13円(+1.6%)
シンバイオ製薬 881円 +105円(+13.5%)
カイオム・バイオサイエンス 167円 -3円(-1.8%)
キッズウェル・バイオ 238円 +4円(+1.7%)
ペプチドリーム 1,669円 +10円(+0.6%)
オンコリスバイオファーマ 525円 +4円(+0.8%)
リボミック 200円 +2円(+1.0%)
サンバイオ 1,177円 +55円(+4.9%)
ヘリオス 355円 -6円(-1.7%)
ブライトパス・バイオ 84円 0円(0.0%)
窪田製薬ホールディングス 286円 +5円(+1.8%)
ソレイジア・ファーマ 69円 -1円(-1.4%)
Delta−Fly Pharma 911円 +10円(+1.1%)
ステムリム 870円 +14円(+1.6%)
メディシノバ 318円 +3円(+1.0%)
ファンペップ 212円 0円(0.0%)
ペルセウスプロテオミクス 388円 +1円(+0.3%)
モダリス 500円 +36円(+7.8%)
クリングルファーマ 684円 +12円(+1.8%)
レナサイエンス 371円 +1円(+0.3%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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