再生医療と遺伝子モダリティを代表するステムリムとモダリスが大幅に上昇 レナサイエンスは白血病フェーズ3試験の開始を報告

CATEGORY

 1 創薬企業の相場概況

創薬株の6割が値を上げ、創薬平均株価は続伸となりました。

また、ここ2日間は低分子モダリティが強さを見せてきましたが、本日は再生医療[細胞・増殖因子]と遺伝子の2つのモダリティが強く、それらを代表するステムリムとモダリスが大幅な上昇となりました。

ステムリムは7月28日に直近高値となる900円台に突入する場面を見せるものの、それ以降の株価は軟調に推移し、昨日までにサポートラインとなる830円まで値を下げました。

そのため、本日は同サポートラインを下回ることが懸念されていましたが、見事に反発し、本日は同高値に迫る893円で取引を終えています。

さらに、前日までの軟調な推移によって、ステムリム株の過熱感が良い意味で乏しく、MACDやDMIなどのトレンド指標においても上昇と捉えて宜しいサインが認められ、故に、明日以降の上昇に期待が高まります。



モダリスは取引開始直後から上昇し、その水準のまま取引を終えましたが、モダリスは過去1ヶ月の期間において、450円~500円のボックス圏内に推移しており、上昇した本日の終値も同圏内に収まる490円です

しかしながら、取引終了後、SBIインベストメント社(レオス・キャピタルワークス社、SBI証券社含む)がモダリス株の保有比率を9.49%から9.92%に増加させた旨を報告し、明日の株価上昇へ弾みをつけています。

モダリスは5月以降じわじわと値を上げて来たものの、ここ1ヶ月間は停滞が続き、ボックス圏の上抜きが待たれています。

そのため、上記材料によって同圏内を上振れた場合は、再び上昇へと舵を切る可能性があります。

開発進捗の報告があった銘柄はレナサイエンスです。

レナサイエンスはPAI-1阻害薬「RS5614」による慢性骨髄性白血病(CML)のフェーズ3試験において最初の被験者への投与が実施されたことを報告しました。




RS5614はCOVID-19肺炎やメラノーマを適応とする臨床試験も行っておりますが、その期待される作用は異なり、CMLに関しては骨髄ニッチ(微小環境)に存在するCML幹細胞の離脱作用が期待されています。

ニッチの本来の役割は幹細胞を骨髄に留めたり、細胞の過剰分裂の抑制や、増殖・分化誘導、骨髄移植などの導入幹細胞の誘導ですが、CML幹細胞はニッチを占拠することで抗癌剤や放射線などの治療への抵抗力を高めます。

そのため、ニッチに守られているCML幹細胞をニッチから離脱させることで、治療への抵抗力を弱めることが可能です。

また、癌幹細胞仮設に基づくと、自己複製能力を持つCML幹細胞こそが諸悪の根源と考えられおり、CML幹細胞の殺傷を以て根治と言えます。

故に、CMLの治療においては、標準治療であるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)によるCML細胞の増殖抑制の他、CML幹細胞の殺傷を実現するために、CML幹細胞をニッチから離脱させることが求められます。

同離脱作用はRS5614が持つ作用であることから、RS5614とチロシンキナーゼ阻害薬を組み合わせることでCMLに対する治療効果の向上が期待されています。

慢性骨髄性白血病を適応とするRS5614の概要(参照:事業計画及び成長可能性に関する事項)

そして、レナサイエンスの同フェーズ3試験では、主要評価項目をDMR(遺伝子検査によって白血病細胞が検出されない状態)の2年間維持率と設定しています。

同フェーズ2試験(被験者数:35人)ではRS5614の1年間でのDMR達成率を評価しており、TKI単剤の8~12%(公表データ)に対して、RS5614(TKI併用)では33%と効果の向上が見られたため、同フェーズ3試験に対しても期待が持たれます。

なお、同フェーズ3試験はAMED(日本医療研究開発機構)による令和4年度「革新的がん医療実用化研究事業」に採択されたことから、研究費の一部が助成されます。



 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【リボミック】

株主通信「RIBOMICation vol.8」

【ヘリオス】

第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換価額の調整に関するお知らせ

【レナサイエンス】

慢性骨髄性白血病治療薬の第III相試験開始のお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 571円 +12円(+2.06%)
BR平均株価【大型株】 1,660円 +37円(+2.29%)
BR平均株価【低分子】 684円 +5円(+0.76%)
BR平均株価【低分子(大型株除く)】 321円 -4円(-1.17%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク】 591円 +15円(+2.60%)
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】 80円 +1円(+0.77%)
BR平均株価【抗体・アプタマー】 220円 +0円(+0.09%)
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】 779円 +27円(+3.65%)
BR平均株価【遺伝子】 351円 +13円(+3.72%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,138円 +39円(+1.27%)
NBI* 4,014ドル +152ドル(+3.94%)
日経平均株価 27,932円 +190円(+0.69%)
NASDAQ 12,668ドル +319ドル(+2.59%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標





創薬平均株価:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR平均株価【大型株】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BBR平均株価【低分子】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BBR平均株価【低分子(大型株除く)】:カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス

BR平均株価【ペプチド・タンパク】:オンコセラピー・サイエンス、ペプチドリーム、ブライトパス・バイオ、ファンペップ

BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】:オンコセラピー・サイエンス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ



BR平均株価【抗体・アプタマー】:カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、リボミック、ペルセウスプロテオミクス

BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、クリングルファーマ

BR平均株価【遺伝子】:アンジェス、ナノキャリア、オンコリスバイオファーマ、モダリス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 17銘柄
値下がり銘柄数 8銘柄
変わらず 3銘柄
出来高 2,706万株
売買代金 135億円
時価総額 8,046億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,883円 +58円(+3.2%)
アンジェス 368円 +15円(+4.2%)
オンコセラピー・サイエンス 65円 0円(0.0%)
そーせいグループ 1,584円 +14円(+0.9%)
ナノキャリア 209円 +3円(+1.5%)
カルナバイオサイエンス 905円 +20円(+2.3%)
キャンバス 640円 -13円(-2.0%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 223円 +3円(+1.4%)
ラクオリア創薬 833円 +23円(+2.8%)
シンバイオ製薬 675円 +9円(+1.4%)
カイオム・バイオサイエンス 168円 0円(0.0%)
キッズウェル・バイオ 238円 +2円(+0.8%)
ペプチドリーム 1,626円 +44円(+2.8%)
オンコリスバイオファーマ 534円 +9円(+1.7%)
リボミック 201円 -1円(-0.5%)
サンバイオ 1,099円 +34円(+3.2%)
ヘリオス 365円 -7円(-1.9%)
ブライトパス・バイオ 86円 0円(0.0%)
窪田製薬ホールディングス 269円 -6円(-2.2%)
ソレイジア・ファーマ 74円 -17円(-18.7%)
Delta−Fly Pharma 891円 +9円(+1.0%)
ステムリム 893円 +57円(+6.8%)
メディシノバ 305円 -1円(-0.3%)
ファンペップ 218円 +9円(+4.3%)
ペルセウスプロテオミクス 399円 -1円(-0.3%)
モダリス 490円 +25円(+5.4%)
クリングルファーマ 665円 -14円(-2.1%)
レナサイエンス 391円 +10円(+2.6%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

当記事の内容がお気に召しましたら、皆様のフォロワーの方々へ共有して頂けると励みになります。

下部にあるシェアボタン(FacebookとTwitter)をクリックすることで簡単に当記事をシェア出来ますので、ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。

創薬企業の重要事象の解説

















創薬企業の毎日の動き