サンバイオ|外傷性脳損傷治療薬「SB623」に対する早期承認審査の期限内結果受領未達の是非


サンバイオは先駆け審査指定制度による早期承認を目指す外傷性脳損傷治療薬「SB623」の審査状況について、審査期間6ヶ月の期限となる9月までの承認取得の可能性が無いことを報告しました。

SB623と同様に先駆け審査指定制度を利用し、承認(条件付き)までたどり着けた製品は13に上ります。

そのうち、オーファンパシフィック社のオラデオ(一般名:ベロトラルスタット)を除く12製品が同期限内に承認されていました。

同制度を利用した承認薬の中で唯一審査期間が6ヶ月を超えたオラデオに関しては、オーファンパシフィック社がPMDAとの事前相談が不十分な状態において承認申請を行ったことや、PMDAが求める追加データの提出が同期限間際であったこと、非臨床試験結果の再評価に時間が掛かったことをPMDAは理由に上げています。

オラデオに関する事例を踏まえると、PMDAによるSB623の審査の遅れは、試験結果の再評価が行われているからではないでしょうか。

サンバイオは有効性を評価するため、主要評価項目以外に、DRS(機能障害評価尺度)およびFMMS(ヒューゲルマイヤー評価尺度)の臨床的に有益であると解釈できる最小の変化値(MCID)を設定した方法によって有効性を評価しています。

そして、MCIDを用いた評価法の有用性を論じています。

その背景には、SB623による外傷性脳損傷フェーズ2試験において、24週間での主要評価項目は達成されたものの、48週間での同項目が未達成だったことが上げられそうです。




参照:サンバイオ(事業計画及び成長可能性に関する事項)

米国では承認審査で用いる主要評価項目(ここでは審査に決定的な影響を与える評価項目と定義)の変更には時間を要し、試験完了後の主要評価項目の変更は例を見ません。

また、主要評価項目の変更を論じるケースでは、従来の評価項目での結果が不十分である場合が多く、サンバイオが苦境に立たされていることにも繋がります。

オラデオの非臨床試験結果の再評価は安全性に関するものであり、SB623のような有効性に関するものではありませんでした。

そのため、サンバイオがPMDAに対してMCIDを用いた評価の有用性を納得させられるかどうかが鍵になりそうです。

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