1 創薬企業の相場概況
日米の両方の株式市場で軟調な相場となりましたが、創薬株ではそれが色濃く現れた模様です。
創薬株28銘柄中26銘柄が値を下げ、上昇した銘柄はそーせいグループ(そーせい)のみでした。
また、そーせいを含む大型株(ジーエヌアイグループ、ペプチドリーム)の下落が限定的であった一方、時価総額が小さな銘柄では5%前後の大幅な下落が目立ちました。
創薬カテゴリーでは17%もの落ち込みとなったサンバイオの影響もあり、BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】が10%に迫る下落となりました。
個別では前途したサンバイオが先駆け審査指定制度による早期承認を目指す外傷性脳損傷治療薬「SB623」の審査状況について、審査期間6ヶ月の期限となる9月までの承認取得の可能性が無いことを報告しました。
その理由は、8月3日に薬事食品衛生審議会の再生医療等製品・生物由来技術部会が開催予定であり、同部会において再生医療等製品の承認の可否が議論されますが、その議題にSB623が含まれていないことが判明したからです。
これまで、先駆け審査指定制度を利用した承認薬(条件付き)は13製品であり、オラデオ(一般名:ベロトラルスタット)を除く12製品が同期限内に承認されていました。
コチラの記事で詳しく言及していますが、MSワラント残高が0になったことからサンバイオ株は上昇に転じ、前途期限内の承認への期待から約40%の株価上昇となっていました。
SB623はオラデオと同様に期限後の承認の可能性が残されていますが、直近の上昇が期限内の承認に対する期待によってもたらされていたため、本日は大幅に下落したと考えられます。
メディシノバは主力製品「MN-166」の新たな製剤(注射製剤)が完成したことを前営業日に報告しました。
同製剤によって、これまでMN-166が苦手としてた急性疾患に対する有効性の向上が期待されます。
その背景には、経口剤(既存製剤)では全身循環に至るまでに時間を要することや、肝臓代謝によるバイオアベイラビリティの低下が起こる一方、注射製剤では静脈内に直接投与される場合において、バイオアベイラビリティの低下は発生しません。
そのため、MN-166のパイプラインポートフォリオにおいて、同新規製剤はBARDA(米国生物医学先端研究開発局)との共同開発を行っている塩素ガス肺損傷や、フェーズ2試験において有効性が認められたCovid-19起因ARDSに対する有効性の向上の他、嚥下機能が低下したALS患者に対する有用性が期待されるでしょう。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【そーせいグループ】
・がん免疫療法薬候補の臨床試験実施に関する Cancer Research UKとの契約締結のお知らせ
【ラクオリア創薬】
・胃食道逆流症治療薬tegoprazanの韓国における適応拡大に関するお知らせ
【サンバイオ】
・国内SB623慢性期外傷性脳損傷プログラム製造販売承認取得の状況について
【メディシノバ】
・MN-166(イブジラスト)の新たな非経口製剤の完成及び臨床試験開始に関するお知らせ
3 創薬株価指数と主要株価指数
創薬株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 544円 | -15円(-2.73%) |
BR平均株価【大型株】 | 1,495円 | +0円(+0.03%) |
BR平均株価【低分子】 | 621円 | -8円(-1.24%) |
BR平均株価【低分子(大型株除く)】 | 336円 | -13円(-3.66%) |
BR平均株価【ペプチド・タンパク】 | 577円 | -2円(-0.32%) |
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】 | 82円 | 0円(-0.33%) |
BR平均株価【抗体・アプタマー】 | 231円 | -6円(-2.51%) |
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】 | 766円 | -85円(-9.99%) |
BR平均株価【遺伝子】 | 348円 | -8円(-2.30%) |
主要株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
TOPIX33[医薬品] | 3,318円 | -8円(-0.24%) |
NBI* | 3,894ドル | -90ドル(-2.26%) |
日経平均株価 | 27,699円 | -215円(-0.77%) |
NASDAQ | 11,834ドル | -226ドル(-1.87%) |
*NBI:NASDAQ Biotechnology Index
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR平均株価【大型株】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BBR平均株価【低分子】:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス
BBR平均株価【低分子(大型株除く)】:カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、メディシノバ、レナサイエンス
BR平均株価【ペプチド・タンパク】:オンコセラピー・サイエンス、ペプチドリーム、ブライトパス・バイオ、ファンペップ
BR平均株価【ペプチド・タンパク(大型株除く)】:オンコセラピー・サイエンス、ブライトパス・バイオ、ファンペップ
BR平均株価【抗体・アプタマー】:カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、リボミック、ペルセウスプロテオミクス
BR平均株価【再生医療[細胞・増殖因子]】:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、クリングルファーマ
BR平均株価【遺伝子】:アンジェス、ナノキャリア、オンコリスバイオファーマ、モダリス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 1銘柄 |
値下がり銘柄数 | 26銘柄 |
変わらず | 1銘柄 |
出来高 | 2,850万株 |
売買代金 | 192億円 |
時価総額 | 7,896億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,550円 | -30円(-1.9%) |
アンジェス | 373円 | -8円(-2.1%) |
オンコセラピー・サイエンス | 67円 | 0円(0.0%) |
そーせいグループ | 1,332円 | +27円(+2.1%) |
ナノキャリア | 200円 | -3円(-1.5%) |
カルナバイオサイエンス | 906円 | -27円(-2.9%) |
キャンバス | 799円 | -57円(-6.7%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 213円 | -3円(-1.4%) |
ラクオリア創薬 | 807円 | -21円(-2.5%) |
シンバイオ製薬 | 691円 | -30円(-4.2%) |
カイオム・バイオサイエンス | 172円 | -4円(-2.3%) |
キッズウェル・バイオ | 258円 | -7円(-2.6%) |
ペプチドリーム | 1,577円 | -5円(-0.3%) |
オンコリスバイオファーマ | 539円 | -16円(-2.9%) |
リボミック | 206円 | -3円(-1.4%) |
サンバイオ | 1,085円 | -227円(-17.3%) |
ヘリオス | 400円 | -13円(-3.1%) |
ブライトパス・バイオ | 90円 | -1円(-1.1%) |
窪田製薬ホールディングス | 271円 | -21円(-7.2%) |
ソレイジア・ファーマ | 91円 | -2円(-2.2%) |
Delta−Fly Pharma | 946円 | -79円(-7.7%) |
ステムリム | 831円 | -33円(-3.8%) |
メディシノバ | 333円 | -2円(-0.6%) |
ファンペップ | 216円 | -1円(-0.5%) |
ペルセウスプロテオミクス | 422円 | -17円(-3.9%) |
モダリス | 457円 | -17円(-3.6%) |
クリングルファーマ | 734円 | -21円(-2.8%) |
レナサイエンス | 394円 | -19円(-4.6%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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