そーせいグループは強みを最大限に活かせるEP4拮抗薬の開発に着手 ヘリオスは粘り強く5日続伸し400円台に再び値を戻す

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 1 創薬企業の相場概況

TOPIX33[医薬品]が軟調にあって、創薬平均株価も下落しました。

近頃の創薬平均株価は上げ下げを一日ごとに繰り返し、その傾向は本日で9日間となります。

この流れを引き継いだ場合、週明けは「上げ」となりますが、果たしてどうなるか気になるところです。

個別ではそーせいグループ(そーせい)が3%を超す値上がりとなりました。

そーせいは世界最大の民間癌研究基金である英国王立癌研究基金(Cancer Research UK)との間で臨床試験実施に関する契約を締結したことを本日発表しました。




同契約はそーせいの新規EP4拮抗薬「HTL00397322」に対するもので、そーせいは臨床試験の準備段階に相当する項目(同剤の治験薬製造や毒性試験など)を担い、英国王立癌研究基金は臨床試験全般(フェーズ1/2a試験に掛かる費用負担、同試験のデザイン作成およびマネジメント)を担います。

また、同試験によって得られた成果のライセンスはそーせいが保有することになり、同契約はそーせいにとって非常に恵まれたものと言えます。

しかし、研究機関に頼る試験は自社に比べて開発の遅延やデータ取得までの期間が長期化する可能性が高く、開発スケジュールが不透明化するリスクが生じます。

フェーズ1/2a試験ということで数十人規模の試験になると想定されるため、そのリスクは限定的でしょうが、投資家はそれを念頭に置く必要があります。

今回の契約は5億円前後の価値を持つと推定され、契約自体のインパクトは小さいものの、癌細胞の多岐に及ぶ防衛能力(体内の免疫抑制)を総合的に打ち消す可能性のあるEP4拮抗薬の開発開始は大きな材料と言えます。

また、細胞外のEP4受容体は複雑に入り組んだ場所に存在するため、同受容体に最適に結合するEP4拮抗薬の立体構造の生成は難易度が高いものです。

EP4拮抗薬は小野薬品工業社やラクオリア創薬(導出済み)も開発を続けていますが、最適な立体構造の生成が難しいEP4拮抗薬の創薬に関しては、そーせいの右に出る企業は存在しないと思われます。

ヘリオスは6月10日以来の400円台に値を戻しました。




主力製品「HLCM051」による急性期脳梗塞フェーズ2/3試験の主要評価項目未達成により、ヘリオスの株価は330円まで値を下げました。

その後、6月10日に437円まで値を戻して以降、軟調な株価推移となっていましたが、今週に入ると上昇基調となり、本日の8%を超す上昇によって400円台に値を戻しました。

その背景には、同試験において臨床的に意義のある「365日後のGlobal Recovery(mRS≦2、NIHSS75%以上改善、BI≧95)の変化量」で有効性が認められたことが上げられます。

ヘリオスは同試験において最低限の結果を残したことで、日本での承認審査に望みを繋ぎ、交渉次第ではHLCM051の承認が認められるという状況下に置かれています(詳しい解説はコチラ)。

そのため、再び400円台まで値を戻したことに疑問は感じておりません。

ヘリオスの株価に関して、5月22日の中央値である476円を上限とする考えは変わっていないものの、それを踏まえたとしても、70円の上昇余地が残っています。

急性期脳梗塞フェーズ2/3試験の主要評価項目は未達成だったものの、日本における承認の可能性はまだ残されています。

前途承認可能性や、創薬株のトレンドが良好であること、さらにテクニカル指標(RSI・MACD・DMI)も踏まえると、もうしばらく上昇が続いたとしても不思議ではありません。

ただし、テクニカル指標では過熱感は無いものの、上昇トレンドとするにはMACDとDMIの数値がそれに達していない点にも注意が必要です。



 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ナノキャリア】

今後の成⻑戦略について

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 559円 -1円(-0.19%)
BR創薬株3種 1,494円 +3円(+0.18%)
BR創薬株7種 1,016円 +2円(+0.19%)
BR中型株指数 627円 +1円(+0.20%)
BR小型株指数 251円 -3円(-1.23%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,326円 -36円(-1.07%)
NBI* 3,984ドル +7ドル(+0.18%)
日経平均株価 27,915円 +112円(+0.40%)
NASDAQ 12,060ドル +162ドル(+1.36%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 13銘柄
値下がり銘柄数 14銘柄
変わらず 1銘柄
出来高 2,027万株
売買代金 1,025,752万円
時価総額 8,014億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,580円 +1円(+0.1%)
アンジェス 381円 -16円(-4.0%)
オンコセラピー・サイエンス 67円 -2円(-2.9%)
そーせいグループ 1,305円 +40円(+3.2%)
ナノキャリア 203円 -1円(-0.5%)
カルナバイオサイエンス 933円 -20円(-2.1%)
キャンバス 856円 +21円(+2.5%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 216円 -2円(-0.9%)
ラクオリア創薬 828円 +14円(+1.7%)
シンバイオ製薬 721円 -13円(-1.8%)
カイオム・バイオサイエンス 176円 +2円(+1.1%)
キッズウェル・バイオ 265円 +1円(+0.4%)
ペプチドリーム 1,582円 -20円(-1.2%)
オンコリスバイオファーマ 555円 -18円(-3.1%)
リボミック 209円 +1円(+0.5%)
サンバイオ 1,312円 -3円(-0.2%)
ヘリオス 413円 +31円(+8.1%)
ブライトパス・バイオ 91円 +1円(+1.1%)
窪田製薬ホールディングス 292円 -12円(-3.9%)
ソレイジア・ファーマ 93円 -6円(-6.1%)
Delta−Fly Pharma 1,025円 -77円(-7.0%)
ステムリム 864円 +22円(+2.6%)
メディシノバ 335円 0円(0.0%)
ファンペップ 217円 +7円(+3.3%)
ペルセウスプロテオミクス 439円 +9円(+2.1%)
モダリス 474円 -8円(-1.7%)
クリングルファーマ 755円 +19円(+2.6%)
レナサイエンス 413円 -6円(-1.4%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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