明暗分かれたナノキャリアとキャンバス 上昇となったナノキャリアは経営陣のリスク管理能力が評価されたか!?

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 1 創薬企業の相場概況

本日は創薬株の大半に買いが集まり、28銘柄中25銘柄が値を上げました。

注目していた前日のストップ安銘柄であるナノキャリアとキャンバスは明暗が分かれ、ナノキャリアは前日比5%高に迫る上昇となりましたが、キャンバスは同微増となりました。

本日の相場環境を考えると、キャンバスは流れに乗りきれなかった印象です。

主力パイプラインの遺伝子治療薬「VB-111」による卵巣癌フェーズ3治験のネガティブな結果を昨日発表したナノキャリアは、本日「今後の成長戦略について」と題し、今後の方針の概要を発表しました。

主力パイプラインの結果はそれ以降の事業戦略に与える影響が大きく、同治験の(主要評価項目未達という)結果を発表した翌日に成長戦略を示したことは、同治験が失敗した場合の戦略をナノキャリアが既に用意していたからこそ可能なことです。

VB-111による卵巣癌フェーズ3治験は残念な結果に終わってしまいましたが、投資家に対する経営陣の戦略上のリスク管理と迅速な対応は評価すべきところであり、それがストップ安からの本日の反発へと繋がったのではないでしょうか。




また、同戦略ではこれまでと変わらず、手元資金約60億円を活用し、日本国内での販売を前提とした数年以内に上市が見込める後期フェーズの開発品や、欧米での承認薬を中心に導入する予定です。

ナノキャリアはVB-111の国内独占的開発・および販売権の権利導入に際し、一時金15百万ドルを支払っています。

当時のナノキャリアは90億円超の現金資産を保有していたため、多額の契約一時金を支払うことが可能でしたが、現在の不利な為替も相まり、一時金10百万ドルが上限と考えられます。

その場合、同製品が日本国内で承認されたとしても大きな利益を得ることは難しく、戦略的にも数年前のソレイジア・ファーマと似たような状況に置かれています。

本日は値を上げたナノキャリアですが、戦略上先行するソレイジア・ファーマと同水準の時価総額であるため、60億円の現金資産はあるとはいえ、相対的にソレイジア・ファーマの時価総額以下の水準に落ち着く可能性が高いです。



 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ナノキャリア】

VB-111の国際共同第III相臨床試験の結果について

【キッズウェル・バイオ】

当社事業に関するお電話等でのお問い合わせについてのお願い

【クリングルファーマ】

資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分に関するお知らせ

クラリス・バイオセラピューティクス社による神経栄養性角膜炎を対象とする第1/2相試験:カナダでの治験開始に関するお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 560円 +9円(+1.67%)
BR創薬株3種 1,492円 +16円(+1.05%)
BR創薬株7種 1,014円 +14円(+1.37%)
BR中型株指数 626円 +12円(+1.98%)
BR小型株指数 254円 +6円(+2.59%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,362円 -2円(-0.05%)
NBI* 3,977ドル +1ドル(+0.03%)
日経平均株価 27,803円 +123円(+0.44%)
NASDAQ 11,898ドル +185ドル(+1.58%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 25銘柄
値下がり銘柄数 3銘柄
変わらず 0銘柄
出来高 3,462万株
売買代金 1,629,401万円
時価総額 8,030億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,579円 +51円(+3.3%)
アンジェス 397円 +17円(+4.5%)
オンコセラピー・サイエンス 69円 +4円(+6.2%)
そーせいグループ 1,265円 +7円(+0.6%)
ナノキャリア 204円 +9円(+4.6%)
カルナバイオサイエンス 953円 +11円(+1.2%)
キャンバス 835円 +4円(+0.5%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 218円 +4円(+1.9%)
ラクオリア創薬 814円 +20円(+2.5%)
シンバイオ製薬 734円 +6円(+0.8%)
カイオム・バイオサイエンス 174円 +1円(+0.6%)
キッズウェル・バイオ 264円 +5円(+1.9%)
ペプチドリーム 1,602円 +8円(+0.5%)
オンコリスバイオファーマ 573円 +18円(+3.2%)
リボミック 208円 +3円(+1.5%)
サンバイオ 1,315円 -12円(-0.9%)
ヘリオス 382円 +13円(+3.5%)
ブライトパス・バイオ 90円 +4円(+4.7%)
窪田製薬ホールディングス 304円 +22円(+7.8%)
ソレイジア・ファーマ 99円 +5円(+5.3%)
Delta−Fly Pharma 1,102円 +3円(+0.3%)
ステムリム 842円 +20円(+2.4%)
メディシノバ 335円 -2円(-0.6%)
ファンペップ 210円 +2円(+1.0%)
ペルセウスプロテオミクス 430円 +14円(+3.4%)
モダリス 482円 +12円(+2.6%)
クリングルファーマ 736円 -2円(-0.3%)
レナサイエンス 419円 +14円(+3.5%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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