クリングルファーマはMSワラント残高がゼロとなり、ペプチドリームやGenentechとの競争に集中

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 1 創薬企業の相場概況

米国株式市場が休場となる中、創薬株は値上がり銘柄数が6割を超え、微増ながらも堅調な推移を示しました。

本日最も値を上げたクリングルファーマは、MSワラントの行使状況に関する発表が材料視された模様です。

同発表によって、MSワラントの残高が10%を切ったことが判明し、2021年11月から続いていたリスク要因の終わりが見えてきました。

※その後、クリングルファーマは本日の発表によってMSワラント残高が0になったことを報告。

クリングルファーマは5月中に主力パイプラインである脊髄損傷急性期フェーズ3試験の6ヶ月の遅延(予定)を報告したことで株価は軟調に推移すると思われましたが、その後持ち直し、現在に至るまでに緩やかな上昇を続けています。

創薬株28銘柄の中で最も時価総額が小さいクリングルファーマですが、その原因は主力製品のHGF(肝細胞増殖因子)の物質特許を有しておらず、さらに、HGF代替品を比較的容易に作成することが上げられます。




例えば、ペプチドリームのHGF代替ペプチドであるc-metアゴニスト「PG-001」がそれに該当します。

加えて、ペプチドリームはGenentech社との間でc-metアゴニストに関する共同開発契約を結んでおり、神経変性疾患治療薬の開発に用いられると推測されます。

※PG-001や共同開発契約に関する考察はコチラの記事からご覧下さい。

そのため、クリングルファーマはALSやアルツハイマー病などの神経変性疾患領域を中心にペプチドリームやGenentech社と競うことになります。

クリングルファーマが保持するHGFタンパク質に関する特許は、PG-001のような代替品に対して弱く、前途2社に比べて資金力の乏しい同社は苦戦を強いられると思います。

しかし、Rocheグループの中でも売上高獲得の役目を担うGenentech社と競える立場にある時点で、クリングルファーマの時価総額が創薬株の中で最下位という評価は厳し過ぎるように感じています。

そして、クリングルファーマ株はトレンド面でもテクニカル面でも上昇の可能性を示しており、前途踏まえ、株価の展望は明るいでしょう。



 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【カイオム・バイオサイエンス】

がん治療用抗体CBA-1535の第I相試験における第一例目の被験者への投与開始のお知らせ

【窪田製薬ホールディングス】

「クボタメガネ」に関する特許の取得情報

【クリングルファーマ】

行使価額修正条項付新株予約権の大量行使に関するお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 491円 +2円(+0.37%)
BR創薬株3種 1,286円 +3円(+0.27%)
BR創薬株7種 864円 +2円(+0.19%)
BR中型株指数 522円 +0円(+0.03%)
BR小型株指数 238円 +2円(+0.82%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,214円 +28円(+0.87%)
NBI* 休場
日経平均株価 26,423円 +270円(+1.03%)
NASDAQ 休場

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 18銘柄
値下がり銘柄数 9銘柄
変わらず 1銘柄
出来高 1,211万株
売買代金 544,708万円
時価総額 7,034億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,226円 -1円(-0.1%)
アンジェス 328円 -7円(-2.1%)
オンコセラピー・サイエンス 65円 +1円(+1.6%)
そーせいグループ 1,165円 +29円(+2.6%)
ナノキャリア 270円 -4円(-1.5%)
カルナバイオサイエンス 899円 +20円(+2.3%)
キャンバス 599円 +1円(+0.2%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 204円 -2円(-1.0%)
ラクオリア創薬 714円 +13円(+1.9%)
シンバイオ製薬 703円 +7円(+1.0%)
カイオム・バイオサイエンス 171円 +2円(+1.2%)
キッズウェル・バイオ 266円 +1円(+0.4%)
ペプチドリーム 1,384円 -11円(-0.8%)
オンコリスバイオファーマ 512円 +9円(+1.8%)
リボミック 200円 +7円(+3.6%)
サンバイオ 1,029円 -2円(-0.2%)
ヘリオス 338円 +3円(+0.9%)
ブライトパス・バイオ 88円 +3円(+3.5%)
窪田製薬ホールディングス 206円 0円(0.0%)
ソレイジア・ファーマ 82円 -1円(-1.2%)
Delta−Fly Pharma 1,093円 -22円(-2.0%)
ステムリム 753円 +18円(+2.4%)
メディシノバ 335円 +2円(+0.6%)
ファンペップ 204円 -1円(-0.5%)
ペルセウスプロテオミクス 392円 +9円(+2.3%)
モダリス 463円 +3円(+0.7%)
クリングルファーマ 643円 +41円(+6.8%)
レナサイエンス 365円 +11円(+3.1%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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