1 創薬企業の相場概況
米国市場は予想外の0.75%の利上げによって波乱の展開になりましたが、パウエル議長の発言「0.75%の利上げが通常になるとは考えていない」や、金融政策に対する不透明感が後退したことにより、NASDAQは前日比2.5%高で取引を終えました。
そのため、日本株も大幅な上昇が期待されましたが、その動きは乏しく、日経平均株価は前日比0.4%高と、米国市場の影響は限定的でした。
製薬株は上昇したものの、創薬株はNBIと同様に値を下げ、5日続落と厳しい状況が続いています。
個別銘柄では積極的なIR活動を行っているキャンバスがストップ高となりました。
キャンバスは「CBP501」による膵臓癌を適応とするフェーズ2試験を実施しており、昨日発表された同試験の速報が本日の材料となった模様です。
同内容はCBP-501投与群において部分奏効(治療前に比べて標的病変の⻑径の合計が30%以上縮小した状態が一定期間継続すること)が1例確認されたというものです。
さらに同発表では、同試験完了後にフェーズ2b試験をスキップし、フェーズ3試験に進むことを投資家へ強く印象付けました。
キャンバスはCBP501による膵臓癌パイプラインに対し、これまで「フェーズ2試験の成功確率98%」や「開発プロセスの短縮化の可能性」など、投資家に対して同パイプラインの期待値を高める発言を繰り返してきました。
そこに今回の発表が加わって、投資家は「CBP501は極めて優れた製品のため、フェーズ2試験は早期終了され、今年中にフェーズ3試験が実施される」と印象付けられました。
しかし、同試験は極めて小規模であり、まだ20人程が登録された段階のものです。
そのため、キャンバスのIR活動による印象操作は行き過ぎており、投資リスクを極限まで高めていると感じています。
「フェーズ2試験の成功確率98%」発言による株価の上昇は同試験の主要評価項目達成の先取りと言及しましたが、今回の上昇はフェーズ3試験成功の先取りになりかねません。
創薬株式市場の現状は期待先行による上昇が見込み難く、おそらく今回も株価は200~300円の範囲に徐々に収まると思います。
ただし、一時的に1,000円近くまで上昇することも考えられ、創薬株式市場の現状に則さない大幅な上昇は投資家リスクを高め、投資判断を難しくすることになるでしょう。
現状を打開したキャンバスのIR活動は他の創薬企業にも見習って欲しいところですが、投資家が求めることは情報開示であり、印象操作ではないことを理解して頂きたいです。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【キャンバス】
・CBP501臨床第2相試験 3剤併用投与群で奏効(がんの縮小)が確認されました《速報》
【メディシノバ】
【モダリス】
【クリングルファーマ】
【レナサイエンス】
3 創薬株価指数と主要株価指数
創薬株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 468円 | -5円(-1.14%) |
BR創薬株3種 | 1,188円 | -30円(-2.44%) |
BR創薬株7種 | 824円 | -9円(-1.13%) |
BR中型株指数 | 529円 | +7円(+1.37%) |
BR小型株指数 | 227円 | -3円(-1.15%) |
主要株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
TOPIX33[医薬品] | 2,968円 | +24円(+0.82%) |
NBI* | 3,368ドル | -5ドル(-0.15%) |
日経平均株価 | 26,431円 | +105円(+0.40%) |
NASDAQ | 11,099ドル | +271ドル(+2.50%) |
*NBI:NASDAQ Biotechnology Index
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 6銘柄 |
値下がり銘柄数 | 16銘柄 |
変わらず | 6銘柄 |
出来高 | 1,434万株 |
売買代金 | 682,319万円 |
時価総額 | 6,704億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,164円 | -17円(-1.4%) |
アンジェス | 335円 | -3円(-0.9%) |
オンコセラピー・サイエンス | 63円 | 0円(0.0%) |
そーせいグループ | 1,063円 | -16円(-1.5%) |
ナノキャリア | 238円 | +1円(+0.4%) |
カルナバイオサイエンス | 871円 | -18円(-2.0%) |
キャンバス | 416円 | +80円(+23.8%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 210円 | +4円(+1.9%) |
ラクオリア創薬 | 694円 | -12円(-1.7%) |
シンバイオ製薬 | 681円 | 0円(0.0%) |
カイオム・バイオサイエンス | 167円 | -3円(-1.8%) |
キッズウェル・バイオ | 274円 | -4円(-1.4%) |
ペプチドリーム | 1,275円 | -43円(-3.3%) |
オンコリスバイオファーマ | 524円 | -20円(-3.7%) |
リボミック | 189円 | -2円(-1.0%) |
サンバイオ | 1,096円 | +54円(+5.2%) |
ヘリオス | 368円 | 0円(0.0%) |
ブライトパス・バイオ | 84円 | 0円(0.0%) |
窪田製薬ホールディングス | 165円 | -25円(-13.2%) |
ソレイジア・ファーマ | 84円 | 0円(0.0%) |
Delta−Fly Pharma | 936円 | +17円(+1.8%) |
ステムリム | 685円 | -1円(-0.1%) |
メディシノバ | 338円 | -1円(-0.3%) |
ファンペップ | 199円 | 0円(0.0%) |
ペルセウスプロテオミクス | 372円 | -4円(-1.1%) |
モダリス | 438円 | -18円(-3.9%) |
クリングルファーマ | 609円 | +14円(+2.4%) |
レナサイエンス | 353円 | -34円(-8.8%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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