1 創薬企業の相場概況
日米株式市場はともに3日続落となり、TOPIX33[医薬品]とNBI(Nasdaq Biotechnology Index)は3日間の内で本日が最も下落しました。
そのような厳しい環境の中において創薬株も苦戦を強いられ、創薬平均株価は前日比3.52%安と大幅に値を下げました。
株式市場全般が苦しむ中、創薬株もその流れに引きずられており、今後もその傾向は続くと思われます。
しかしながら、小型株は同環境においても強く、本日は前日比0.96%安で取引を終え、最低限の下落で済みました。
個別銘柄では窪田製薬ホールディングスが昨日に引き続き強く、本日も7%を超す上昇となりました。
その結果、2日間で40%以上の上昇となり、創薬株のトレンドに反する動きを続ける同銘柄は極めて稀な存在です。
これは、昨日発表された米国におけるKubota Glass(クボタメガネ)の医療機器登録完了を材料とした値動きと見られます。
しかし、同材料の理論値は10円程度の底上げに留まり、40%を超す上げ幅はやがて収束し、反転すると思われます(詳しい算出方法はコチラ)。
同材料発表前の株価を基準にした場合、160円が適正値であるため、適正値へ調整後ボリンジャーバンド2σを落とし込むと、150円~170円が適正レンジと考えられます。
本日最も値を上げた窪田製薬ホールディングスに対して、最も値を下げた銘柄はキャンバスでした。
キャンバスは「CBP501」による膵臓癌フェーズ2試験進行中ながらも、同社代表の「膵臓癌フェーズ2試験の成功確率98%」とする資料中の言及によって、同試験の成功を先取りした株価上昇が続いていました。
しかし、成功の先取りであることと、現在の創薬株式市場では承認審査に直結しないフェーズ2試験(言い換えると「直近の売上を連想させない」)での主要評価項目達成は評価されないことを理由とし、同材料によって株価が2倍になることは適切ではないと言及してきました。
そのため、本日の15%以上もの下落は適正値(発表前の株価推移:200円程度)へ戻ろうとするトレンド転換だと思われます。
最近の創薬小型株に対して、騙し上げと思われる上昇が見られるため、高値掴みのリスク管理がより重要です。
例えばナノキャリアの「VB-111」に関する件(同リスク言及記事はコチラ)、ペルセウスプロテオミクスの「スーパー中和抗体」の件(同コチラ)、そして上記のキャンバスの「CBP501」の件(同コチラ)がそれに該当します。
そのため、売上見込みが極めて限定的なクボタメガネの販売を材料とした窪田製薬ホールディングスも、これらと同様な結末を迎えるのではないかと考えられます。。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【ジーエヌアイグループ】
・北京コンチネント薬業有限公司によるピルフェニドンカプセル(F647)のじん肺疾患適応のための第3相臨床試験の最初の被験者登録についてのお知らせ
【シンバイオ製薬】
・トレアキシン液剤「RI投与(10分投与)」導入状況のお知らせ
【リボミック】
・新株予約権の行使期間満了、特別利益の発生、資金使途、金額及び支出予定時期変更に関するお知らせ
【ヘリオス】
【窪田製薬ホールディングス】
・「Kubota Glass」米国 FDAにて医療機器登録完了のお知らせ
【ペルセウスプロテオミクス】
・当社社長が6月15日にラジオNIKKEI「アサザイ」にゲスト出演いたします
3 創薬株価指数と主要株価指数
創薬株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 478円 | -17円(-3.52%) |
BR創薬株3種 | 1,215円 | -59円(-4.64%) |
BR創薬株7種 | 836円 | -38円(-4.38%) |
BR中型株指数 | 528円 | -21円(-3.89%) |
BR小型株指数 | 236円 | -2円(-0.96%) |
主要株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
TOPIX33[医薬品] | 2,983円 | -69円(-2.24%) |
NBI* | 3,368ドル | -141ドル(-4.00%) |
日経平均株価 | 26,630円 | -384円(-1.42%) |
NASDAQ | 10,809ドル | -531ドル(-4.68%) |
*NBI:NASDAQ Biotechnology Index
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 9銘柄 |
値下がり銘柄数 | 18銘柄 |
変わらず | 1銘柄 |
出来高 | 3,180万株 |
売買代金 | 1,244,895万円 |
時価総額 | 6,845億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,169円 | -26円(-2.2%) |
アンジェス | 346円 | -21円(-5.7%) |
オンコセラピー・サイエンス | 66円 | 0円(0.0%) |
そーせいグループ | 1,105円 | -77円(-6.5%) |
ナノキャリア | 242円 | -7円(-2.8%) |
カルナバイオサイエンス | 916円 | -15円(-1.6%) |
キャンバス | 334円 | -60円(-15.2%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 207円 | +5円(+2.5%) |
ラクオリア創薬 | 728円 | -14円(-1.9%) |
シンバイオ製薬 | 680円 | -10円(-1.4%) |
カイオム・バイオサイエンス | 176円 | +3円(+1.7%) |
キッズウェル・バイオ | 286円 | -6円(-2.1%) |
ペプチドリーム | 1,300円 | -60円(-4.4%) |
オンコリスバイオファーマ | 547円 | -23円(-4.0%) |
リボミック | 197円 | +1円(+0.5%) |
サンバイオ | 1,020円 | -41円(-3.9%) |
ヘリオス | 380円 | -13円(-3.3%) |
ブライトパス・バイオ | 89円 | +2円(+2.3%) |
窪田製薬ホールディングス | 213円 | +14円(+7.0%) |
ソレイジア・ファーマ | 89円 | -1円(-1.1%) |
Delta−Fly Pharma | 916円 | +4円(+0.4%) |
ステムリム | 706円 | -13円(-1.8%) |
メディシノバ | 337円 | +3円(+0.9%) |
ファンペップ | 202円 | -2円(-1.0%) |
ペルセウスプロテオミクス | 396円 | +17円(+4.5%) |
モダリス | 472円 | -22円(-4.5%) |
クリングルファーマ | 614円 | +5円(+0.8%) |
レナサイエンス | 393円 | -5円(-1.3%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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