1 創薬企業の相場概況
欧州中央銀行による金融引き締めを警戒する動きにより、昨日の米国市場は大幅に下落しました。
その影響により、本日の日本株も売りが優勢となりましたが、同じように値を下げた創薬株の下落幅は、昨日の大幅な上昇を考慮すると、許容範囲内と言えるのではないでしょうか。
懸念材料としては、大型株が元気無く、ジーエヌアイグループ(GNI)とペプチドリームは4%を超える下落となりました。
GNI株は1,170円~1,270円のボックス圏での推移を続けており、本日は4.6%下落となったものの、終値1,196円は同圏内に位置しています。
そして、テクニカル指標(RSI・MACD・DMI)の数値によると、GNI株は過熱感も無く、若干の上昇トレンドを示しています。
ファンダメンタルズでは、米中経済の復調によって主力製品「アイスーリュイ」や人工骨の売上増が見込めることがGNI株を押し上げる要因となります。
そのため、本日は大幅な下落となりましたが、GNI株の展望は明るく、同ボックス圏を上抜ける可能性が高いと言えるでしょう。
ペプチドリームはGNIとは反対に、ファンダメンタルズとテクニカルの両方で難しい状況に置かれています。
現在の創薬株では、安定的な売上がそもそも見込めない小型株においてはリスクオンの傾向が徐々に見られるものの、時価総額が大きい大型株では同傾向はまだ見られません。
そのため、大型株においては「安定的な売上」がリスクオンの主要な材料になるのですが、ペプチドリームにはそれが無いため、上昇トレンドへの転換の兆しが見えてきません。
さらに、テクニカル指標(RSI・MACD・DMI)の数値も冴えず、同指標からは底値を示唆する情報(DMIによる底値1,400円)が得られたものの、上昇のサインはまだ得られていません。
大型株の価値評価の現状を考えると、富士フィルム社から買収した放射線医療事業の行方が株価上昇への鍵になるでしょう。
先月に過去2年間の最安値を付けたそーせいグループ(そーせい)は、6月に入りジワジワと値を上げています。
テクニカル指標(RSI・MACD・DMI)の数値も6月に入ってから良く、過熱感もないため、直近のハードルとなる1,300円は近々超えて行くと思われます。
そーせいは売上高偏重のGNIと、研究開発偏重のペプチドリームとの間に位置する事業性質ですが、若干ペプチドリーム寄りです。
しかし、ペプチドリームに比べて開発品のパイプライン進捗は良く、小型株で起こっているリスクオンの動きが大型株へも波及した場合、真っ先に値を上げる大型株はそーせいだと考えられます。
故に、創薬株の投資環境の変化をヘッジしつつ、創薬株投資にふさわしい利益を狙うのであれば、そーせい株は大型株の中で最も適切な銘柄と言えます。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【ナノキャリア】
・VB-111 トップラインデータ 2022 年3Q(7-9 ⽉)readout(読み出し)予定
【カルナバイオサイエンス】
・株式会社シェアードリサーチの当社レポートが更新されました。
【ステムリム】
・2022年7月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
【レナサイエンス】
・第一三共株式会社とのオプション権付優先交渉権に関する契約変更覚書締結のお知らせ
3 創薬株価指数と主要株価指数
創薬株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 516円 | -10円(-2.00%) |
BR創薬株3種 | 1,346円 | -44円(-3.17%) |
BR創薬株7種 | 918円 | -24円(-2.59%) |
BR中型株指数 | 570円 | -8円(-1.46%) |
BR小型株指数 | 244円 | -1円(-0.34%) |
主要株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
TOPIX33[医薬品] | 3,091円 | -66円(-2.10%) |
NBI* | 3,617ドル | -140ドル(-3.71%) |
日経平均株価 | 27,824円 | -432円(-1.53%) |
NASDAQ | 11,754ドル | -332ドル(-2.75%) |
*NBI:NASDAQ Biotechnology Index
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 9銘柄 |
値下がり銘柄数 | 16銘柄 |
変わらず | 3銘柄 |
出来高 | 2,213万株 |
売買代金 | 950,951万円 |
時価総額 | 7,392億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,196円 | -58円(-4.6%) |
アンジェス | 373円 | -5円(-1.3%) |
オンコセラピー・サイエンス | 68円 | 0円(0.0%) |
そーせいグループ | 1,211円 | -4円(-0.3%) |
ナノキャリア | 260円 | -6円(-2.3%) |
カルナバイオサイエンス | 981円 | +1円(+0.1%) |
キャンバス | 403円 | +5円(+1.3%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 219円 | -1円(-0.5%) |
ラクオリア創薬 | 761円 | -3円(-0.4%) |
シンバイオ製薬 | 705円 | -19円(-2.6%) |
カイオム・バイオサイエンス | 185円 | -3円(-1.6%) |
キッズウェル・バイオ | 309円 | +10円(+3.3%) |
ペプチドリーム | 1,485円 | -64円(-4.1%) |
オンコリスバイオファーマ | 594円 | -18円(-2.9%) |
リボミック | 198円 | -2円(-1.0%) |
サンバイオ | 1,096円 | -24円(-2.1%) |
ヘリオス | 415円 | -22円(-5.0%) |
ブライトパス・バイオ | 91円 | 0円(0.0%) |
窪田製薬ホールディングス | 149円 | +1円(+0.7%) |
ソレイジア・ファーマ | 94円 | +2円(+2.2%) |
Delta−Fly Pharma | 954円 | -3円(-0.3%) |
ステムリム | 764円 | +9円(+1.2%) |
メディシノバ | 343円 | -2円(-0.6%) |
ファンペップ | 208円 | 0円(0.0%) |
ペルセウスプロテオミクス | 389円 | +2円(+0.5%) |
モダリス | 527円 | +13円(+2.5%) |
クリングルファーマ | 624円 | +26円(+4.3%) |
レナサイエンス | 411円 | -6円(-1.4%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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