ナノキャリア、ヘリオス、メディシノバが10%を超える大幅な上昇となり、活況な創薬株の中でも目立った存在となる

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株は日米の相場環境に反し、買いが先行しました。

大型・中型・小型と満遍なく上昇し、これまで苦しんでいたペプチドリームが久しぶりに5%に迫る上昇で取引を終えています。

このような一日でしたが、本日の主役は10%を超える上昇となったナノキャリア、ヘリオス、メディシノバの3銘柄ではないでしょうか。

ナノキャリアは本日午後に遺伝子治療薬「VB-111」による卵巣癌フェーズ3試験のトップラインデータ公表予定時期(2022年7~9月)を発表しました。

VB-111はイスラエルのVBL社が主だって開発を進めるもので、ナノキャリアは日本での販売ライセンスの保持に限られますが、主力パイプラインのフェーズ3試験結果の発表が近づいているということで注目を集めたようです。

しかし、同フェーズ3試験結果の発表時期はおおよそ見当がついていた他、昨日のDelta−Fly Pharmaや本日のメディシノバのように、製品の有効性に関わる材料ではないため、本日の株価水準がいつまで続くかには疑問を感じます。

ヘリオスはついに400円台まで値を戻しました。

主力製品「HLCM051」による2つのパイプラインのうちの1つである急性期脳梗塞フェーズ2/3試験において、主要評価項目が未達成ということで、ヘリオスの株価は一時期330円まで値を下げましたが、本日の13%を超す上昇によって437円まで値を戻しました。

その背景には、同試験において臨床的に意義のある「365日後のGlobal Recovery(mRS≦2、NIHSS75%以上改善、BI≧95)の変化量」で有効性が認められたことが上げられます。

ヘリオスは同試験において最低限の結果を残したことで、日本での承認審査に望みを繋ぎ、交渉次第ではHLCM051の承認が認められるという状況下に置かれています(詳しい解説はコチラ)。

そのため、437円まで値を戻したことに疑問は感じませんが、現状を考慮すると5月22日の取引額の中央値である476円が上限とも考えられます。

故に、ヘリオス株は天井近くに位置し、売り圧力が発生する機会も増えるため、投資家はリスクに備える必要があると言えます。




メディシノバはドラッグ・リポジショニング製品「MN-166」によるARDS(急性呼吸窮迫症候群)を適応とするフェーズ2試験の良好なトップラインデータを公表したことで、前日比10%以上の大幅な上昇となりました。

同結果は非常に良好なものであり、2つの主要評価項目のうち、「7日目における呼吸不全からの回復割合」では、プラセボ群に対して2倍の効果を示し、統計学的な有効性も認められました(p=0.02)。

もう一方の主要評価項目である「7日目における臨床症状の改善」では、同群に対して1.5倍の効果を示し、統計学的に有意な結果は得られなかったものの(p=0.08)、被験者数が34人(1:1)であることを考慮すると、極めて良好な結果であると言えます。

さらに、追加解析では7日目における退院者の割合も評価しており、プラセボ群に対して2倍以上の効果を示しました(p=0.02)。

これらの治療効果に加え、重症化予防効果も高く、プラセボ群では期間中に17人中4人で症状の悪化が見られましたが、MN-166群では症状悪化となった患者はいませんでした(p=0.05)。

同試験ではベクルリーを含む標準治療が全患者に施されていると考えられ、その上でプラセボ群に対して上記のような結果が得られました。

ともすると、MN-166はCovid-19の標準治療の一角を担う可能性が高く、四半期で15億ドルを売り上げるベクルリーを見つめると、メディシノバの150億円前後という時価総額は極めて割安なのではと考えてしまいます。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【カイオム・バイオサイエンス】

カイオムニュースレターVol.6を発行いたしました。

【メディシノバ】

MN-166(イブジラスト)の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)リスクを有する重症COVID-19入院患者を対象とするフェーズ2臨床治験の良好なトップラインデータに関するお知らせ

【ペルセウスプロテオミクス】

2022年定時株主総会招集通知

2022年定時株主総会招集通知インターネット開示事項

【クリングルファーマ】

2022年9月期第2四半期決算レポート更新のお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 526円 +16円(+3.04%)
BR創薬株3種 1,390円 +50円(+3.72%)
BR創薬株7種 942円 +33円(+3.58%)
BR中型株指数 579円 +19円(+3.32%)
BR小型株指数 245円 +5円(+1.99%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,157円 +31円(+0.99%)
NBI* 3,756ドル +15ドル(+0.40%)
日経平均株価 28,256円 +22円(+0.08%)
NASDAQ 12,086ドル -89ドル(-0.73%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 21銘柄
値下がり銘柄数 5銘柄
変わらず 2銘柄
出来高 3,034万株
売買代金 1,326,042万円
時価総額 7,540億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,254円 +47円(+3.9%)
アンジェス 378円 +9円(+2.4%)
オンコセラピー・サイエンス 68円 +1円(+1.5%)
そーせいグループ 1,215円 +32円(+2.7%)
ナノキャリア 266円 +27円(+11.3%)
カルナバイオサイエンス 980円 +6円(+0.6%)
キャンバス 398円 -8円(-2.0%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 220円 +1円(+0.5%)
ラクオリア創薬 764円 +7円(+0.9%)
シンバイオ製薬 724円 +5円(+0.7%)
カイオム・バイオサイエンス 188円 +4円(+2.2%)
キッズウェル・バイオ 299円 +14円(+4.9%)
ペプチドリーム 1,549円 +62円(+4.2%)
オンコリスバイオファーマ 612円 +11円(+1.8%)
リボミック 200円 -3円(-1.5%)
サンバイオ 1,120円 +5円(+0.4%)
ヘリオス 437円 +51円(+13.2%)
ブライトパス・バイオ 91円 +3円(+3.4%)
窪田製薬ホールディングス 148円 0円(0.0%)
ソレイジア・ファーマ 92円 0円(0.0%)
Delta−Fly Pharma 957円 -33円(-3.3%)
ステムリム 755円 +25円(+3.4%)
メディシノバ 345円 +32円(+10.2%)
ファンペップ 208円 -1円(-0.5%)
ペルセウスプロテオミクス 387円 +8円(+2.1%)
モダリス 514円 -31円(-5.7%)
クリングルファーマ 598円 +16円(+2.7%)
レナサイエンス 417円 +9円(+2.2%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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