ポジティブな材料でしっかりと上昇に繋がったDelta−Fly Pharmaとステムリム

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 1 創薬企業の相場概況

日米ともに医薬品株が強く、創薬株も堅調な株価推移となりました。

テクニカルな要因ではジーエヌアイグループが昨日から持ち直し、キャンバスは「CBP501」による膵臓癌フェーズ2試験の主要評価項目達成の先取りを理由とする上昇の勢いが衰えず、10%を超える上昇となりました。

ポジティブな材料が株価上昇へと繋がったDelta−Fly Pharmaとステムリムは、本日だけでなく、今後の株価上昇も期待されます。

Delta−Fly Pharmaは米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、EGFR(上皮成長因子受容体)変異の非小細胞肺癌患者(ステージ3/4または術後再発)に対する「DFP-14323」(アファチニブとの併用)の有効性についてポスタープレゼンテーションを行いました。

これまで、DFP-14323の有効性は無増悪生存期間の中央値で20.6ヶ月とされていましたが、今回のASCO年次総会での発表では最終報告としてその期間が23.0ヶ月まで延長されました。

この報告を受けて本日は前日比7.7%高と大幅に上昇した模様です。

現在、非小細胞肺癌に対する標準治療にはAstraZeneca社の第3世代EGFR阻害薬タグリッソが選択されており、日本国内での2021年度売上高は1,021億円という巨額なものでした。

DFP-14323による治療メカニズムは免疫増強作用によるもので、癌細胞の増殖を抑制するタグリッソとはそのメカニズムは異なるものの、臨床的な効果を示す無増悪生存期間ではタグリッソに比べて約4ヶ月の延長が認められました。

同結果は被験者数が30人程度の小規模な試験で得られたことや、成長因子阻害と免疫増強作用の組合わが癌治療の主流となっており、AstraZeneca社がタグリッソと免疫増強剤の併用による治療法で承認を得ることも考えられるため、手放しで喜ぶことは出来ません。

しかしながら、フェーズ2(a)試験という段階の中では満点に近い結果であることから、本日の上昇は当然と申し上げられます。





ステムリムは慢性肝疾患フェーズ2試験の最終患者登録が完了したと報告しました。

ステムリムの再生誘導医薬品「レダセムチド」は表皮水疱症、急性期脳梗塞の最新の開発で主要評価項目を達成し、変形性膝関節症と慢性肝疾患を適応とする進行中の試験では最終患者登録が完了し、レダセムチドの5つある適応症のうち4つでフェーズ2試験結果が出揃う段階です。

予定では変形性膝関節症と慢性肝疾患を適応とする試験の最終診察が2022年12月中に完了し、2023年2~4月中にはトップラインデータが得られる見込みです。

変形性膝関節症と慢性肝疾患は表皮水疱症や急性期脳梗塞に比べて患者数が多数存在(または将来の大幅な増加が見込める)し、上市した場合の売上規模が非常に大きいことからも、両試験結果のインパクトは計り知れません。

そして、偶然とは言え2つの試験結果が同時期に得られる見込みであるため、発表時期が近づくにつれ、話題性による株価上昇が期待されます。

本日の上昇はその始まりと言えるでしょう。

これまで、創薬株式市場は「話題性」で株価が上がる環境でしたが、ここ数年は話題性による株価上昇が弱まっていました。

しかし、話題性による株価上昇が続いているキャンバス株が、正にその環境を変化させようとしています。

Delta−Fly Pharmaとステムリムは、真っ先にその恩恵を受ける可能性があるのではないでしょうか。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【アンジェス】

希少疾患治療薬「ゾキンヴィ」に関する補足解説

【オンコセラピー・サイエンス】

膀胱がん患者を対象としたS-588410第Ⅱ相臨床試験結果論文公表のお知らせ

【ステムリム】

レダセムチド(HMGB1ペプチド)に関する慢性肝疾患を対象とした医師主導治験(第2相試験)の進捗(患者組み入れ完了)のお知らせ

【ペルセウスプロテオミクス】

第22回定時株主総会インターネット開示事項

第22回定時株主総会招集通知

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 510円 +11円(+2.18%)
BR創薬株3種 1,340円 +30円(+2.26%)
BR創薬株7種 909円 +21円(+2.32%)
BR中型株指数 560円 +13円(+2.44%)
BR小型株指数 240円 +5円(+2.01%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,127円 +70円(+2.29%)
NBI* 3,741ドル +100ドル(+2.74%)
日経平均株価 28,234円 +282円(+1.01%)
NASDAQ 12,175ドル +114ドル(+0.94%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 25銘柄
値下がり銘柄数 2銘柄
変わらず 1銘柄
出来高 3,517万株
売買代金 1,653,889万円
時価総額 7,311億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,207円 +39円(+3.3%)
アンジェス 369円 +5円(+1.4%)
オンコセラピー・サイエンス 67円 +1円(+1.5%)
そーせいグループ 1,183円 +41円(+3.6%)
ナノキャリア 239円 -1円(-0.4%)
カルナバイオサイエンス 974円 +23円(+2.4%)
キャンバス 406円 +42円(+11.5%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 219円 +2円(+0.9%)
ラクオリア創薬 757円 +27円(+3.7%)
シンバイオ製薬 719円 +30円(+4.4%)
カイオム・バイオサイエンス 184円 +9円(+5.1%)
キッズウェル・バイオ 285円 +6円(+2.2%)
ペプチドリーム 1,487円 +19円(+1.3%)
オンコリスバイオファーマ 601円 +15円(+2.6%)
リボミック 203円 -15円(-6.9%)
サンバイオ 1,115円 +28円(+2.6%)
ヘリオス 386円 +6円(+1.6%)
ブライトパス・バイオ 88円 0円(0.0%)
窪田製薬ホールディングス 148円 +1円(+0.7%)
ソレイジア・ファーマ 92円 +1円(+1.1%)
Delta−Fly Pharma 990円 +71円(+7.7%)
ステムリム 730円 +29円(+4.1%)
メディシノバ 313円 +3円(+1.0%)
ファンペップ 209円 +1円(+0.5%)
ペルセウスプロテオミクス 379円 +6円(+1.6%)
モダリス 545円 +3円(+0.6%)
クリングルファーマ 582円 +7円(+1.2%)
レナサイエンス 408円 +11円(+2.8%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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