大幅な下落となった5銘柄(ジーエヌアイグループ、オンコセラピー・サイエンス、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、ソレイジア・ファーマ)の下落理由と明日からの展望

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 1 創薬企業の相場概況

日米ともに医薬品関連銘柄が弱い一日となり、創薬株も例に漏れず値を下げて取引を終えました。

また、最近の小型株の奮闘虚しく、大型株や中型株の軟調な株価推移を受け、創薬平均株価はついに500円を下回りました。

創薬株の中でも、主役として上昇が期待されるカテゴリーは小型株です。

昨日は直近高値の538円に到達したものの、RSIが過熱感を示す水準であったため、本日の下げは想定内でした。

相場環境も悪く、大幅な下落も考えられましたが、キャンバスの上昇によって前日比1.2%安で済んだことは朗報でしょう。

大型・中型株が冴えない今、明日以降も小型株には期待が集まります。

個別株に目を向けると、5銘柄(ジーエヌアイグループ、オンコセラピー・サイエンス、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、ソレイジア・ファーマ)が4%以上の下落となりました。

大型株で安定的な売上が見込めるGNI(ジーエヌアイグループ)はテクニカルな理由による下げと見られます。





GNIは1ヶ月間で20%以上の上昇となり、前日までのテクニカル指標(RSI・DMI・MACD)でも売りサイン優勢の状態でした。

RSIでは過熱感を示す70%に近く、DMIではトレンドのベクトルを指すADXがなだらかに下落し、MACDではデットクロスの形成がいよいよか、という状態です。

そのため、利益確定の動きが加速したと見られ、本日の大幅な下落に繋がったと考えられます。

しかし、GNIを取り巻く環境はむしろポジティブであり、米中でのCovid-19感染者数減少に伴う経済活動の正常化が、両国で医薬品を販売する同社にとって売上高を増加させる要因となります。

GNIは米国において人工骨の販売を手かげており、経済活動の正常化がその販売量に大きく関わっています。

米国での同感染者数の落ち着きは、同販売量の増加へ繋がるでしょう。

また、中国では強引な政策により経済活動が停止していましたが、北京市が同対策を緩和したことで中国経済の正常化への期待が高まっています。

GNIは中国でIPF治療薬「アイスーリュイ」を販売しており、その売上高は全体の76%を占める約100億円に到達しています。

しかし、難病の医薬品とはいえ、その売上高は経済活動に左右されます。

そのため、主力製品の販売が促進される中国経済の正常化は非常にポジティブなことです。

以上を考慮すると、本日は4%を超える下落となりましたが、一時的なものである可能性が高く、中国経済に正常化の兆候が見られることを考えると、まだまだ上昇圧力は続くと思われます。

オンコセラピー・サイエンスは膀胱癌を適応としたペプチドワクチン「S-588410」のフェーズ2試験に関する研究論文が掲載されたと発表しました。





同試験の主要評価項目は、1つ以上のペプチドに対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導の割合(期間:12週間)であり、その有効性に関しては昨年2月に報じられていました。

ただし、肝心の臨床的な有効性に対しては疑問が残る結果となり、「進行性もしくは転移性膀胱がん患者の新たな維持療法の一つとなる可能性を示す」とするオンコセラピー・サイエンスの主張を支持するにはあまりに心もとない結果です。

それに加え、同論文では2年間の研究が続けられた患者の割合がどちらも2割以下と低く、病状悪化を理由に2年間の研究が続けられなかった患者の割合がS-588410とプラセボ群とで89%と91%となり、長期間での臨床的な効果は認められませんでした。

また、同論文でも言及している通り、CTL誘導率と抗腫瘍効果の相関性は認められず、ペプチドワクチンによる治療法の根底を覆す結果となりました。

これはオンコセラピー・サイエンスの研究に関する能力へ疑問を投げかける事案であり、そのことが本日の下落へと繋がったのではないでしょうか。

ブライトパス・バイオは昨日上昇となりましたが、それは第一三共とアストラゼネカの抗癌剤「エンハーツ」がHER2低発現乳癌患者を対象とするフェーズ3試験において有効性を示したことを材料とし、同じくHER2をターゲットとする開発品「BP2301」を保有する同銘柄への買いが入ったと考えられます。

しかしながら、話題性による上昇が見込めない現在の創薬株式市場においては、同材料による上昇は一時的なものになる傾向が強く、ブライトパス・バイオも現状に即すように昨日の上昇を打ち消しました。

ブライトパス・バイオの本日の下落は、上昇の打ち消し分と相場環境による下落分が足し合わさったことによるものだと考えております。

最後に、ヘリオスとソレイジア・ファーマの本日の下落の理由は同様であり、どちらも上昇トレンド中の一時的な下落であると推測されます。

特に過熱感を意識した一過性の売りがその要因であり、DMIとMACDともに上昇トレンドが継続していることを示していることから、まだまだ上値を意識する展開が続くものと思われます。

ヘリオスは昨日の記事「製薬・創薬株へのリスクオンムードが高まる ヘリオスは荒波に揉まれるものの底値340円が確立」でも述べた通り、底値が現在の株価の近くに位置していることからも、強気相場が続いて行くことでしょう。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ファンペップ】

抗体誘導ペプチド「FPP003」の第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験における被験者登録完了のお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 499円 -5円(-0.97%)
BR創薬株3種 1,310円 -1円(-0.11%)
BR創薬株7種 889円 -8円(-0.86%)
BR中型株指数 547円 -13円(-2.29%)
BR小型株指数 235円 -3円(-1.21%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33[医薬品] 3,057円 -10円(-0.34%)
NBI* 3,641ドル -61ドル(-1.63%)
日経平均株価 27,952円 +27円(+0.09%)
NASDAQ 12,061ドル +49ドル(+0.40%)

*NBI:NASDAQ Biotechnology Index

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 5銘柄
値下がり銘柄数 22銘柄
変わらず 1銘柄
出来高 4,481万株
売買代金 1,629,282万円
時価総額 7,151億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,168円 -50円(-4.1%)
アンジェス 364円 -4円(-1.1%)
オンコセラピー・サイエンス 66円 -3円(-4.3%)
そーせいグループ 1,142円 -12円(-1.0%)
ナノキャリア 240円 +7円(+3.0%)
カルナバイオサイエンス 951円 -12円(-1.2%)
キャンバス 364円 +70円(+23.8%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 217円 +4円(+1.9%)
ラクオリア創薬 730円 -23円(-3.1%)
シンバイオ製薬 689円 -14円(-2.0%)
カイオム・バイオサイエンス 175円 -4円(-2.2%)
キッズウェル・バイオ 279円 -4円(-1.4%)
ペプチドリーム 1,468円 +23円(+1.6%)
オンコリスバイオファーマ 586円 -12円(-2.0%)
リボミック 218円 -2円(-0.9%)
サンバイオ 1,087円 -24円(-2.2%)
ヘリオス 380円 -19円(-4.8%)
ブライトパス・バイオ 88円 -4円(-4.3%)
窪田製薬ホールディングス 147円 -1円(-0.7%)
ソレイジア・ファーマ 91円 -5円(-5.2%)
Delta−Fly Pharma 919円 -5円(-0.5%)
ステムリム 701円 -20円(-2.8%)
メディシノバ 310円 0円(0.0%)
ファンペップ 208円 +2円(+1.0%)
ペルセウスプロテオミクス 373円 -12円(-3.1%)
モダリス 542円 -8円(-1.5%)
クリングルファーマ 575円 -16円(-2.7%)
レナサイエンス 397円 -4円(-1.0%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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