ペプチドリーム、Delta−Fly Pharma、モダリスの3銘柄が大幅上昇 創薬株全体でもリスクオンの動き

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 1 創薬企業の相場概況

本日の日本株は先週末の米国高を受け、上昇しました。

株式相場はまだまだ不透明な状況ですが、米国株が週間での連続下落記録を回避したことで安心感が広がったことが要因だと考えています。

また、そのリスクオンへの流れの影響なのか、本日は製薬株に比べて投資リスクが高いとされる創薬株の上昇が目立ちました。

なかでも、ペプチドリーム、Delta−Fly Pharma、モダリスの3銘柄が大幅に上昇しました。

ペプチドリームは前日まで4日続落となり、その落ち込みは約11%と大幅な下落を記録しました。

本日はこの他、創薬株全体の流れに乗り、反発したと思われます。

また、米国Genentech社とのc-MET作動薬の共同開発が再評価されたでしょうか。

ペプチドリーム|Genentech社のパイプラインから読み解くc-MET作動薬の適応症と売上規模」でも述べた通り、c-MET作動薬はエーザイ社のアルツハイマー治療薬「アリセプト」(売上高:3,000億円規模)や、大日本住友製薬社の統合失調症治療薬「ラツーダ」(売上高:2,000億円規模)、大塚ホールディングス社の同治療薬「エビリファイメンテナ」(売上高:1,000億円規模)と同等以上の製品となる可能性があります。

ペプチドリームの主力パイプラインはブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)社へ導出したPD-1/PD-L1阻害剤「BMS-986189」ですが、それと同等価値のパイプラインとなるのではないでしょうか。

なお、BMS-986189の売上規模は非常に大きく、現行のPD-1/PD-L1阻害剤は全て注射剤であることを考慮すると、経口剤のBMS-986189が同程度の効果が認められた場合、その利便性によって第一選択となる可能性が高く、売上高が総額300億ドルを超える同阻害剤市場の大部分を得る可能性があります。

先月、ゴールドマン・サックスがペプチドリームの投資判断を「中立」から「買い」に格上げし、目標株価を2850円から3000円へと引き上げましたが、それはこのような合理的な根拠を評価したからではないでしょうか。

Delta−Fly Pharmaは5月16日に発表した2022年3月期決算説明資料において、急性骨髄性白血病を適応とする「DFP-10917」の開発の遅れを報告し、上市までのスケジュールを、2023年3月期後期から2024年同期へと変更しました。

それに伴い、Delta−Fly Pharmaは約25%の時価総額を失いましたが、遅延しながらも開発が着実に進んでいることや、米国フェーズ3試験完了間際であること、上市初年度から50億円以上の売上高が見込めることを踏まえると、25%もの下落は行き過ぎだと考えています(同考察記事:「Delta−Fly Pharmaとソレイジア・ファーマがついに底値を探り当てる」)。




本日の上昇により、Delta−Fly Pharmaは下落直前の970円を100%とした場合、5月25日に付けた底値758円(0%)から65%を戻す形となり、フィボナッチ・リトレイスメントを参考にすると、現在の株価は889円~916円のレンジに収まります。

明日以降、このレンジに対して上振れるか、もしくは下振れるか、注視したいと思います。

モダリスは5月に入って以降、綺麗な上昇トレンドを描いています。

また、その上昇のきっかけは、フィデリティ投信、三井住友トラスト・アセットマネジメント(共同保有:日興アセットマネジメント社)、SBIインベストメント(共同保有:レオス・キャピタルワークス社、SBI証券社)による、モダリス株の大量保有・増加報告です。

それに加え、モダリスはゲノム編集技術による創薬が最も進んでいる創薬銘柄であるため、米国の大手ベンチャーキャピタルArch Venture Partners社による30億ドル規模の医療特化ファンドからの買いも予想されます。

長期保有が見込める上記投資法人からの大量保有が続出することは創薬株では稀であり、また、それらの動きは個人投資家のリスクオンのスイッチをオンにする働きもあったと考えられ、そのことが上昇トレンドを形成する大きな要因になったのではないでしょうか。

ともすると、投資法人の大量保有を材料とするトレンドの見極めが重要です。

創薬株における同材料は発表後1~2週間も経つと消化されてしまうため、おおよそ今週内に直近高値531円を超えない場合には同材料は消化されたと考え、取引を検討する必要があるように思えます。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【キッズウェル・バイオ】

第22回定時株主総会に向けた事前質問の受付を開始しました

【ブライトパス・バイオ】

第19回定時株主総会招集ご通知に際してのインターネット開示事項

第19回定時株主総会招集ご通知

【メディシノバ】

【東京事務所発】ご質問への回答(2022年5月27日号)

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 520円 +18円(+3.46%)
BR創薬株3種 1,430円 +67円(+4.93%)
BR創薬株7種 948円 +36円(+3.98%)
BR中型株指数 557円 +11円(+2.06%)
BR小型株指数 231円 +6円(+2.51%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33業種別-医薬品 3,117円 +35円(+1.13%)
NASDAQ Biotechnology Index 3,797米ドル +102米ドル(+2.76%)
日経平均株価 27,369円 +588円(+2.19%)
NASDAQ 12,131米ドル +390米ドル(+3.33%)

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 23銘柄
値下がり銘柄数 5銘柄
変わらず 0銘柄
出来高 1,547万株
売買代金 824,428万円
時価総額 7,454億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,272円 +37円(+3.0%)
アンジェス 377円 +12円(+3.3%)
オンコセラピー・サイエンス 67円 +2円(+3.1%)
そーせいグループ 1,182円 +39円(+3.4%)
ナノキャリア 230円 +9円(+4.1%)
カルナバイオサイエンス 918円 +38円(+4.3%)
キャンバス 181円 +4円(+2.3%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 205円 +2円(+1.0%)
ラクオリア創薬 754円 +15円(+2.0%)
シンバイオ製薬 749円 -1円(-0.1%)
カイオム・バイオサイエンス 177円 +6円(+3.5%)
キッズウェル・バイオ 270円 +7円(+2.7%)
ペプチドリーム 1,643円 +96円(+6.2%)
オンコリスバイオファーマ 604円 +23円(+4.0%)
リボミック 166円 +4円(+2.5%)
サンバイオ 1,110円 +39円(+3.6%)
ヘリオス 347円 -6円(-1.7%)
ブライトパス・バイオ 85円 +1円(+1.2%)
窪田製薬ホールディングス 145円 +2円(+1.4%)
ソレイジア・ファーマ 92円 +3円(+3.4%)
Delta−Fly Pharma 894円 +79円(+9.7%)
ステムリム 734円 +1円(+0.1%)
メディシノバ 312円 +2円(+0.6%)
ファンペップ 204円 -1円(-0.5%)
ペルセウスプロテオミクス 385円 -1円(-0.3%)
モダリス 456円 +32円(+7.5%)
クリングルファーマ 572円 +1円(+0.2%)
レナサイエンス 405円 -2円(-0.5%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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