ペプチドリームは1本500億円×複数の大型共同開発契約が適正に評価されず アンジェスは数日内に相場からの回答が得られる見込み

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 1 創薬企業の相場概況

前日の米国株が上昇した中、本日の創薬株は全面安(28銘柄中24銘柄が下落)となりました。

その背景には前日までの創薬株の大幅な上昇のほか、時間外取引での米国株先物の下落が考えられ、リスクオフの動きに敏感な創薬株が大きく売り込まれたと思われます。

また、こういった取引日は創薬株ながら製品売上高偏重の事業形態であるGNIが強く、大型株(GNI、そーせい、ペプチドリーム)では唯一の値上がり銘柄となりました。

ペプチドリームは前日にGenentech社とc-MET作動薬による治療薬共同開発の契約を締結したと発表し、本日の上昇が期待されましたが、前日比40円安で寄り、直後に前日終値に迫る上昇を見せるものの、創薬株式市場の相場環境の悪化から、徐々に値を下げる展開となりました。

c-MET作用薬に関する同契約発表では、契約金や適応症の詳細が明かされておらず、それが投資家から評価され難い状況を作ったと考えられます。

しかしながら、c-METがHGF(肝細胞増殖因子)受容体であることや、Genentech社の開発領域を考慮すると、アルツハイマー病や統合失調症などの精神疾患がターゲットである可能性があり、その場合、同契約はブロックバスターとなり得るパイプラインへと発展します。

同阻害剤はまだ臨床前段階であるため、その契約一時金は数億円程度と思われますが、マイルストン総額で数百億円、そして、共同開発ということでペプチドリームのロイヤリティ取り分は数十%と、比較的大きな割合になると思われます。




そのため、ペプチドリームとGenentech社によるc-MET作動薬による治療薬が承認された場合、1つの適応症のみでペプチドリームの売上高は500億円を超える見込みです。

本日最も値を上げた銘柄はアンジェスでした。

しかしながら、アンジェスが本日の相場環境の中でも値を上げた理由は不明です。

昨日の記事でも言及した米国のベンチャーキャピタルArch Venture Partners社による30億ドル規模の医療特化ファンドを材料視したことも考えられますが、同材料は昨日までに消化されていると思われるため、その可能性は低いのではないでしょうか。

アンジェス子会社のEMENDO社による米国遺伝子細胞治療学会の年次総会における4件の遺伝子編集手法の結果発表を材料視したとの見方も、同窓会が5月19日に終了しているため、前記同様にその可能性は低いと思われます。

本日のように材料の無い中、出来高の急激な上昇と株価の大幅な上昇が重なった場合、アンジェス株は2~3日後に株価は下落する傾向があります。

今回の上昇が同事象の範疇にあるものなのか、数日内に相場からの回答が得られるでしょう。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ラクオリア創薬】

胃食道逆流症治療薬tegoprazanのフィリピンにおける販売承認に関するお知らせ

【キッズウェル・バイオ】

中期経営計画-KWB2.0-に関する補足説明並びにQ&A動画②を配信しました

【ペプチドリーム】

米国Genentech社との新たな創薬共同研究開発契約締結のお知らせ

【ブライトパス・バイオ】

NHK NEWSおはよう日本(関東甲信越)でiPS-NKTの取り組みが紹介されました

【メディシノバ】

2022年12月期 第1四半期決算補足説明資料

【ペルセウスプロテオミクス】

定款の一部変更に関するお知らせ

取締役に対するストック・オプション報酬額及び内容決定の件に関するお知らせ

取締役候補者及び補欠の監査等委員である取締役候補者の選任及び役員人事に関するお知らせ

【クリングルファーマ】

2022年9月期第2四半期決算説明会動画ならびに質疑応答内容掲載のお知らせ

2022年9月期第2四半期決算説明会 動画

2022年9月期第2四半期決算説明会 質疑応答(要旨)

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 530円 -17円(-3.23%)
BR創薬株3種 1,430円 -47円(-3.21%)
BR創薬株7種 976円 -29円(-2.87%)
BR中型株指数 608円 -14円(-2.22%)
BR小型株指数 229円 -9円(-3.86%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33業種別-医薬品 3,109円 -29円(-0.93%)
NASDAQ Biotechnology Index 3,713米ドル +21米ドル(+0.57%)
日経平均株価 26,748円 -247円(-0.92%)
NASDAQ 11,535米ドル +181米ドル(+1.59%)

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 4銘柄
値下がり銘柄数 24銘柄
変わらず 0銘柄
出来高 2,118万株
売買代金 1,193,931万円
時価総額 7,600億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,200円 +18円(+1.5%)
アンジェス 403円 +20円(+5.2%)
オンコセラピー・サイエンス 65円 -3円(-4.4%)
そーせいグループ 1,179円 -59円(-4.8%)
ナノキャリア 219円 -4円(-1.8%)
カルナバイオサイエンス 878円 -15円(-1.7%)
キャンバス 188円 -13円(-6.5%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 203円 -3円(-1.5%)
ラクオリア創薬 768円 -21円(-2.7%)
シンバイオ製薬 764円 -47円(-5.8%)
カイオム・バイオサイエンス 172円 +1円(+0.6%)
キッズウェル・バイオ 260円 -16円(-5.8%)
ペプチドリーム 1,672円 -64円(-3.7%)
オンコリスバイオファーマ 585円 -23円(-3.8%)
リボミック 179円 -1円(-0.6%)
サンバイオ 1,104円 -41円(-3.6%)
ヘリオス 545円 -100円(-15.5%)
ブライトパス・バイオ 85円 -2円(-2.3%)
窪田製薬ホールディングス 143円 -4円(-2.7%)
ソレイジア・ファーマ 83円 -1円(-1.2%)
Delta−Fly Pharma 799円 -42円(-5.0%)
ステムリム 764円 +3円(+0.4%)
メディシノバ 302円 -8円(-2.6%)
ファンペップ 204円 -3円(-1.4%)
ペルセウスプロテオミクス 496円 -46円(-8.5%)
モダリス 472円 -59円(-11.1%)
クリングルファーマ 584円 -8円(-1.4%)
レナサイエンス 399円 -5円(-1.2%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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