創薬株へのリスクオンの動きは何時ぞやに キッズウェル・バイオは主力のバイオシミラー事業で弱気に、投資家から厳しい評価 ブライトパス・バイオは節約事業展開に活路を見出す

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株式市場は全体的に好調な相場でしたが、昨日の暴落を考えると物足りませんでした。

なかでも前日に7%もの値を下げたペプチドリームが、日米株式市場が好調な中、本日も値を下げたことは創薬株へのリスクオンの動きがまだ先にあることを印象づけているようです。

その他、本日目立ったのはストップ安(前日比-18.3%)となったキッズウェル・バイオです。

ストップ安となった理由には2022年3月期通期連結業績の売上高実績が17%程予想より小さかったことも上げられますが、2021年2月に策定した中期経営計画の即時未達による経営陣の見通しの甘さや、計画の修正を1年で行ったことによる投資家からの不信感が主な理由と考えております。

また、主力のバイオシミラー事業に関しても弱気な姿勢を見せたことや、その解決策に収益化期待が当分先の細胞医療事業を上げたことも投資家へ与える心理は好ましくないでしょう。

中期経営計画の修正理由–バイオシミラー市場の外部環境変化-(出典:キッズウェル・バイオ 2022年3月期 決算短信 補足説明資料)

さらに、同計画では株価を意識した開発戦略の実行と題した内容では、バイオシミラーの上市と株価向上や株価維持を関連付けており、定性的な目標を開発戦略の根幹としている印象を懐きました。

中期経営計画の修正理由–バイオシミラー株価を意識した開発戦略の実行-(出典:キッズウェル・バイオ 2022年3月期 決算短信 補足説明資料)

キッズウェル・バイオの株価が経営陣が思うように向上しない理由は、上市製品が小粒であり、売上高が伴っていないからです。

その状況下において現在の細胞医療パイプラインを上市させたところで、また小粒な製品が出来上がり、株価が上がらないという状態に陥るでしょう。

キッズウェル・バイオのバイオシミラー事業の可能性を信じて株を購入した投資家は、今回の中期経営計画の修正内容に失望し、離れていったものと思われます。




ブライトパス・バイオは開発パイプラインの優先順位付けの見直しと整理を行い、開発戦略を立て直しました。

見直しを図った開発品は、癌ペプチドワクチン「GRN-1201」、TLR9アゴニストLNP製剤「BP1401」、抗HLA-DR抗体「BP1206」、抗PVR抗体「BP1211」の4製品です。

GRN-1201に関しては、これまでのデータで主要評価項目である奏功率での有効性を示すことが出来ておらず、早期終了は経営判断上、良い決断だと言えるでしょう。

オンコセラピー・サイエンスにおいても3つの癌ペプチドワクチンで開発が失敗しているように、癌に対する同ワクチンによる治療は困難を極めます。

T細胞に対する癌細胞による免疫抑制の解除法としては、ペプチドワクチンよりも免疫チェックポイント阻害剤の方が開発の主流であるため、導出を考えているのであれば、そちらに注力した方が宜しいと思われます。

BP1401の開発についてはブライトパス・バイオが認めている通り、ただただ完敗といった形となりました。

一昨年来BP1401に関する臨床試験のネガティブな結果が報告されていたため、本件による同剤の開発中止の発表は投資家にとって特に影響はないでしょう。

BP1206とBP1211の開発では安全性の問題に差し掛かり、その対処法としてブライトパス・バイオは開発を進めないという選択をしました。

GRN-1201やBP1401は開発失敗を理由とした開発中止でしたが、BP1206とBP1211は研究資金を理由とする中止の決断だと思われます。

ブライトパス・バイオは2022年3月末時点で23億円の現金資産を保有していますが、過去2期の純損失合計が32億円であることを考えると、資金は逼迫しています。

また、同社は既にMSワラントを発行済であるため、新たなファイナンスによる追加の資金獲得のハードルは高い状況です。

同ワラントの4月末残高は6,889,900株分であり、現在の株価推移ですと6~7億円程度の資金の上乗せに過ぎません。

そのため、節約をして残り2年分の資金しか保有していないため、研究に時間のかかるBP1206とBP1211の開発を中止したと考えられます。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ナノキャリア】

事業計画及び成長可能性に関する事項

営業外収益・営業外費用及び特別利益の計上に関するお知らせ

2022年3月期通期業績予想と実績値との差異に関するお知らせ

2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)

【カルナバイオサイエンス】

譲渡制限付株式報酬としての新株式の払込完了に関するお知らせ

【デ・ウエスタン・セラピテクス研究所】

四半期報告書-第25期第1四半期(令和4年1月1日-令和4年3月31日)

譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行の払込完了に関するお知らせ

営業外収益(為替差益)の計上に関するお知らせ

2022年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

【シンバイオ製薬】

四半期報告書-第18期第1四半期(令和4年1月1日-令和4年3月31日)

【キッズウェル・バイオ】

2022年3月期 決算短信 補足説明資料

2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

第22回定時株主総会の付議議案決定に関するお知らせ

会計監査人の選任に関するお知らせ

業績予想との差異に関するお知らせ

非連結決算への移行及び2023年3月期個別業績予想に関するお知らせ

【ペプチドリーム】

2022年12月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)




【ブライトパス・バイオ】

当社ホームページの「パイプライン」関連ページを更改いたしました

がんペプチドワクチンGRN-1201の米国第2相臨床試験の早期中止の決定と現時点でのトップライン・データに関するお知らせ

開発パイプラインの優先順位付けの見直しと整理に関するお知らせ

資本金及び資本準備金の額の減少並びにその他資本剰余金の処分に関するお知らせ

定款の一部変更に関するお知らせ

特別損益の計上に関するお知らせ

通期業績予想値と実績値との差異に関するお知らせ

2022年3月期決算短信〔日本基準〕(非連結)

【ソレイジア・ファーマ】

製品SP-03 episil契約に関するお知らせ

【レナサイエンス】

2022年3月期決算短信〔日本基準〕(非連結)

特別損失(減損損失)の計上に関するお知らせ

事業計画及び成長可能性に関する事項

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 531円 +2円(+0.40%)
BR創薬株3種 1,445円 +14円(+0.95%)
BR創薬株7種 985円 +6円(+0.61%)
BR中型株指数 612円 0円(-0.03%)
BR小型株指数 223円 -1円(-0.23%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33業種別-医薬品 3,061円 +44円(+1.46%)
NASDAQ Biotechnology Index 3,482米ドル +99米ドル(+2.93%)
日経平均株価 26,428円 +679円(+2.64%)
NASDAQ 11,371米ドル +7米ドル(+0.06%)

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 18銘柄
値下がり銘柄数 8銘柄
変わらず 2銘柄
出来高 1,977万株
売買代金 874,872万円
時価総額 7,605億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,014円 +17円(+1.7%)
アンジェス 365円 0円(0.0%)
オンコセラピー・サイエンス 63円 +1円(+1.6%)
そーせいグループ 1,140円 +38円(+3.4%)
ナノキャリア 222円 +2円(+0.9%)
カルナバイオサイエンス 885円 +10円(+1.1%)
キャンバス 177円 +4円(+2.3%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 203円 +3円(+1.5%)
ラクオリア創薬 738円 +17円(+2.4%)
シンバイオ製薬 682円 -2円(-0.3%)
カイオム・バイオサイエンス 168円 +1円(+0.6%)
キッズウェル・バイオ 358円 -80円(-18.3%)
ペプチドリーム 1,793円 -3円(-0.2%)
オンコリスバイオファーマ 565円 -7円(-1.2%)
リボミック 174円 +9円(+5.5%)
サンバイオ 1,071円 +9円(+0.8%)
ヘリオス 768円 -18円(-2.3%)
ブライトパス・バイオ 86円 -2円(-2.3%)
窪田製薬ホールディングス 139円 +1円(+0.7%)
ソレイジア・ファーマ 77円 -2円(-2.5%)
Delta−Fly Pharma 932円 +3円(+0.3%)
ステムリム 704円 +8円(+1.1%)
メディシノバ 310円 0円(0.0%)
ファンペップ 204円 +4円(+2.0%)
ペルセウスプロテオミクス 373円 +15円(+4.2%)
モダリス 422円 +41円(+10.8%)
クリングルファーマ 556円 +13円(+2.4%)
レナサイエンス 393円 -12円(-3.0%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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