アンジェスはEiger社のブロックバスター候補のD型肝炎ウイルス治療薬を狙う ラクオリアは後発医薬品大手Dr. Reddy’s社とtegoprazanのグローバル展開を進める

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株式市場はキッズウェル・バイオの1銘柄を除く27銘柄が値を下げました。

また、その下げ幅も非常に大きく、大型株3銘柄(ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム)は5%を超える下落となりました。

さらに、本日は中型株(BR中型株指数)、小型株(BR小型株指数)に比べ、大型株の下げ幅が大きく、リスクオフの流れが創薬株式市場の末端(小型<中型<大型)にまで行き渡った印象です。

このような状況は創薬株への投資環境として好ましくないため、投資家にとって忍耐の時間が続くものと予想されます。

そして、この状況を打破するためにはポジティブな情報が発表される必要があります。

事業の進展を発表した企業はアンジェスとラクオリア創薬です。

アンジェスは米国Eiger社との間で、希少疾患であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群、および、プロジェロイド・ラミノパチーの治療薬「ゾキンヴィ」について、日本における独占販売契約を締結したと報告しました。

ゾキンヴィは米国で2020年11月に承認され、2021年1月から販売された製品であり、2021年1月~12月の売上高は12.1百万ドルでした。

同製品は現在欧州地域での承認を目指していますが、販売開始は早くとも2023年以降になると思われます。

そして、本件によって日本での承認申請から販売までをアンジェスが担うことが明らかになりましたが、アンジェスの実入りは小さく、年間一桁億円の売上高が見込まれます。

そのため、本件の狙いはEiger社との関係構築にあると見られ、Eiger社のフェーズ3試験中の3つの製品に対する日本での販売契約を取得するための実績作りにあると推測しています。

同3製品の中でも特にウイルス性肝炎の中で最も症状の重いD型肝炎ウイルスを適応とする2つの製品は望むところであり、世界での有病率1,500万~2,000万とも推定されるD型肝炎ウイルスは、その市場規模は甚大なものとなるでしょう。

ただし、日本での同有病率は0~5%と低いため、Eiger社としてもアンジェスのような小規模企業に対しても日本での販売ライセンス付与を行いやすい環境にあります。




ラクオリア創薬は、胃食道逆流症治療薬「tegoprazan」の導出先であるHK inno.N社がインドの製薬大手企業のDr. Reddy’s社との間で7カ国(インドを含むアジア、東欧、アフリカ)を対象としたライセンス契約を締結したと発表しました。

Dr. Reddy’s社はジェネリック医薬品の販売を戦略の中心においており、製剤能力もさることながら、営業販売に非常に長けた企業でもあります。

同じくジェネリック医薬品を扱うTeva社からの製品購入も積極的に行った事例もあり、既製医薬品を効率的・効果的に販売する実績も高く、ラクオリアとしても、そのような企業にtegoprazanを扱って貰えることは非常に光栄なことでしょう。

中国でのtegoprazanの販売を担うShandong Luoxin社から巡る売上高と同様に、その契約形態の大枠を掴むためには来期以降の有価証券報告書の公開を待たなくてはなりませんが、着々とtegoprazanの販売(未確定)地域の拡大が進められていることは、投資家にとって感慨深いことだと思われます。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【アンジェス】

Eiger BioPharmaceuticals Inc.との希少疾患治療薬ゾキンヴィに関する日本における販売契約締結のお知らせ

【カルナバイオサイエンス】

第20期(2022年12月期)第1四半期報告書

【デ・ウエスタン・セラピテクス研究所】

第10回新株予約権(行使価額修正条項付)の取得及び消却の完了に関するお知らせ

個人投資家向け会社説明会開催のお知らせ(WEBセミナー)

【ラクオリア創薬】

胃食道逆流症治療薬tegoprazanのインドを含む7か国を対象としたライセンス契約のお知らせ

【シンバイオ製薬】

2022年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

【カイオム・バイオサイエンス】

譲渡制限付株式報酬としての新株式の払込完了に関するお知らせ

【ソレイジア・ファーマ】

4月9日開催個人投資家向け会社説明会掲載

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 529円 -29円(-5.41%)
BR創薬株3種 1,431円 -104円(-6.78%)
BR創薬株7種 979円 -56円(-5.41%)
BR中型株指数 612円 -17円(-2.69%)
BR小型株指数 224円 -10円(-4.28%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33業種別-医薬品 3,017円 -65円(-2.11%)
NASDAQ Biotechnology Index 3,382米ドル -127米ドル(-3.61%)
日経平均株価 25,749円 -465円(-1.77%)
NASDAQ 11,364米ドル -373米ドル(-3.18%)

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 1銘柄
値下がり銘柄数 27銘柄
変わらず 0銘柄
出来高 1,940万株
売買代金 965,905万円
時価総額 7,574億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 997円 -55円(-5.2%)
アンジェス 365円 -2円(-0.5%)
オンコセラピー・サイエンス 62円 -3円(-4.6%)
そーせいグループ 1,102円 -82円(-6.9%)
ナノキャリア 220円 -10円(-4.3%)
カルナバイオサイエンス 875円 -32円(-3.5%)
キャンバス 173円 -8円(-4.4%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 200円 -5円(-2.4%)
ラクオリア創薬 721円 -34円(-4.5%)
シンバイオ製薬 684円 -53円(-7.2%)
カイオム・バイオサイエンス 167円 -5円(-2.9%)
キッズウェル・バイオ 438円 +9円(+2.1%)
ペプチドリーム 1,796円 -136円(-7.0%)
オンコリスバイオファーマ 572円 -24円(-4.0%)
リボミック 165円 -12円(-6.8%)
サンバイオ 1,062円 -54円(-4.8%)
ヘリオス 786円 -15円(-1.9%)
ブライトパス・バイオ 88円 -5円(-5.4%)
窪田製薬ホールディングス 138円 -3円(-2.1%)
ソレイジア・ファーマ 79円 -3円(-3.7%)
Delta−Fly Pharma 929円 -54円(-5.5%)
ステムリム 696円 -25円(-3.5%)
メディシノバ 310円 -15円(-4.6%)
ファンペップ 200円 -9円(-4.3%)
ペルセウスプロテオミクス 358円 -16円(-4.3%)
モダリス 381円 -17円(-4.3%)
クリングルファーマ 543円 -48円(-8.1%)
レナサイエンス 405円 -24円(-5.6%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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