1 創薬企業の相場概況
本日の創薬株式市場は値下がり銘柄数12に対し、値上がり銘柄数が13となりました。
売買代金も大型連休前に記録した40億円のおおよそ倍となりました。
値下がり銘柄数が減り、創薬株式市場に資金が入ることで、下落トレンドに終りが見え、今後攻勢に転じられるかどうかに注目が集まります。
個別銘柄ではブライトパス・バイオとモダリスが前日発表のIR資料で開発品の進捗を報告しました。
ブライトパス・バイオはCAR-T細胞「BP2301」のフェーズ1試験の開始を発表しました。
一般的なCAR-T細胞の生成ではウイルスベクターによる遺伝子導入が行われますが、その方法ではCAR-T細胞の生存期間が短くなるというデメリットがあり、CAR-T細胞の長期生存が求められる固形癌の治療では適応が難しい状況でした。
その課題に対し、ブライトパス・バイオはウイルスベクターを用いない遺伝子導入によってCAR-T細胞の長期生存を実現し、同細胞に固形癌で高発現するHER2を標的抗原と認識させる機能を持たせたものをBP2301としています。

CAR-T細胞治療はこれからの治療法であり、フェーズ1試験(適応:HER2陽性の再発・進行骨・軟部肉腫及び婦人科悪性腫瘍)から医師主導としていることからも、ブライトパス・バイオの同パイプラインに対する優先度は決して高いものではありません。
そして、ブライトパス・バイオの価値に対してBP2301がどの程度の影響を与えるかは不明瞭であるため、BP2301を評価するのは同フェーズ1試験のデータが発表されてからでも遅くはありません。
モダリスは新規パイプラインとして拡張型心筋症(DCM)を適応とするGNDMタンパク質「MDL-105」を発表しました。
DCMは心臓の筋肉が薄くなることで拡張し、収縮力が低下する心筋症です。
そのため、MDL-105ではTitinと呼ばれる骨格筋収縮に関与する弾性タンパク質の産生を制御する遺伝子をターゲットとしており、同遺伝子のTitin産生を活性化することで、DCM患者の心臓の筋肉量を増加または低下抑制を実現しようとしています。

DCMの有病率を正しく評価することは非常に困難であるため、その発生率の精度はそこまで高くないものの、一般的には毎年10万人あたり5〜7人が新たにDCMと診断されています。
そして、モダリスが「疾患の規模の大きさから開発の初期段階にありながら既に複数のバイオテック企業や大手製薬企業から提携の検討依頼を受けております」と市場規模に言及するように、米国の現存する患者数は11.5万人と推定されており、DCMは難病の中で比較的患者数の多い疾患です。
ただし、MDL-105の対象はTTN変異を原因とするDCM患者であり、その率は全DCM患者の15~23%のため、MDL-105適応患者数は米国で2万人前後となります。
ゲノム編集技術であるCrisper/Cas-9による治療法も、前記したCAR-T細胞治療と同様に「これからの治療法」であるため、米国のみで2万人の患者数は十分に大きな市場と言えるでしょう。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【リボミック】
【サンバイオ】
・株式会社スズケンと共同開発した再生医療等製品における流通管理・投与スケジュールサポートシステム「R-SAT」に関する特許取得のお知らせ
【ブライトパス・バイオ】
・HER2 CAR-T細胞療法BP2301の信州大学における医師主導治験開始のお知らせ
【モダリス】
・自社モデルパイプラインとして新規にMDL-105を追加するお知らせ
3 創薬株価指数と主要株価指数
創薬株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 543円 | -4円(-0.67%) |
BR創薬株3種 | 1,510円 | -30円(-1.94%) |
BR創薬株7種 | 1,006円 | -13円(-1.26%) |
BR中型株指数 | 597円 | +1円(+0.16%) |
BR小型株指数 | 230円 | +3円(+1.13%) |
主要株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
TOPIX33業種別-医薬品 | 3,120円 | +4円(+0.13%) |
NASDAQ Biotechnology Index | 3,418米ドル | -177米ドル(-4.92%) |
日経平均株価 | 26,167円 | -152円(-0.58%) |
NASDAQ | 11,623米ドル | -521米ドル(-4.29%) |
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 13銘柄 |
値下がり銘柄数 | 12銘柄 |
変わらず | 3銘柄 |
出来高 | 1,425万株 |
売買代金 | 780,594万円 |
時価総額 | 7,781億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,044円 | -11円(-1.0%) |
アンジェス | 335円 | -1円(-0.3%) |
オンコセラピー・サイエンス | 64円 | +2円(+3.2%) |
そーせいグループ | 1,162円 | -7円(-0.6%) |
ナノキャリア | 226円 | 0円(0.0%) |
カルナバイオサイエンス | 930円 | -22円(-2.3%) |
キャンバス | 179円 | +3円(+1.7%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 207円 | +3円(+1.5%) |
ラクオリア創薬 | 734円 | -15円(-2.0%) |
シンバイオ製薬 | 738円 | +66円(+9.8%) |
カイオム・バイオサイエンス | 170円 | +1円(+0.6%) |
キッズウェル・バイオ | 426円 | -19円(-4.3%) |
ペプチドリーム | 1,898円 | -51円(-2.6%) |
オンコリスバイオファーマ | 570円 | +2円(+0.4%) |
リボミック | 179円 | +4円(+2.3%) |
サンバイオ | 1,113円 | -17円(-1.5%) |
ヘリオス | 728円 | +20円(+2.8%) |
ブライトパス・バイオ | 92円 | 0円(0.0%) |
窪田製薬ホールディングス | 141円 | -1円(-0.7%) |
ソレイジア・ファーマ | 82円 | +1円(+1.2%) |
Delta−Fly Pharma | 965円 | -40円(-4.0%) |
ステムリム | 700円 | +4円(+0.6%) |
メディシノバ | 328円 | 0円(0.0%) |
ファンペップ | 208円 | +3円(+1.5%) |
ペルセウスプロテオミクス | 375円 | +20円(+5.6%) |
モダリス | 318円 | -6円(-1.9%) |
クリングルファーマ | 579円 | -4円(-0.7%) |
レナサイエンス | 441円 | +16円(+3.8%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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