1 創薬企業の相場概況
大型連休明けの本日の創薬株式市場では値を上げた銘柄はペプチドリームのみとなり、厳しい相場環境となりました。
3月の株価推移が好調であった大型株(BR創薬株3種)と小型株(BR小型株指数)も、その値上がり分を本日までに消化してしまい、振り出しに戻ってしまった格好です。
中型株(BR中型株指数)は下落トレンドが続いており、上昇の兆しが一向に見えない状況です。
ロシア-ウクライナ情勢による世界情勢の悪化と、米国金融政策による株式市場への負の影響もあり、創薬株式市場も当分苦しい展開が予想されます。
個別銘柄では、ラクオリア創薬が胃食道逆流症治療薬「tegoprazan」に関する2つの重要な内容(韓国での新剤形発売・中国での同治療薬の販売開始)を発表しました。
tegoprazanの新剤形は口腔内崩壊錠であり、ラクオリアは同剤形に対し、「錠剤をうまく飲み込めない高齢者や水分摂取制限を受けている方でも服用しやすい、外出中などで水が飲めないときにも服用できる等の利点がある」と主張しています。
口腔内崩壊錠のデメリットとしては錠剤の吸湿性や分包機が使えない等といった利便性の悪さが上げられますが、それでも消化器領域と同剤形の相性を考えると、メリットの方が大きいでしょう。
そのため、本件は素直にポジティブに捉えて宜しいと思われます。
さらに、2022年4月13日に中国国家食品薬品監督管理局から承認を得たtegoprazanは、承認後1ヶ月で早くも販売を開始することになりました。
中国市場は韓国の20倍とも言われており、近い将来tegoprazanの売上高は1,000億円を超えると予想されます。
ただし、中国での販売はHK inno.N社からライセンスを取得したShandong Luoxin社が行うため、ラクオリアを含む3社の契約形態がどのようなものか、大枠を掴むためには今期の有価証券報告書の公開を待たなくてはなりません。
オンコセラピー・サイエンスは2022年3月期の決算短信を発表しました。
同決算では10億円を超える売上高を計上しましたが、それは創薬に関わるものではなく、癌細胞の遺伝子解析サービスによるところが大きいです。
同サービスを含む癌プレシジョン医療関連事業を担う子会社のCancer Precision Medicine社は、2017年の設立以来、目立った成果(売上高)を上げていませんでした。
そのため、今回の7億5千万円の売上高を同事業で達成したことは、非常に大きな驚きをもたらしました。
オンコセラピーの主要事業はあくまで創薬事業ですが、今後も10億円に迫る売上高を癌プレシジョン医療関連事業で計上することが出来れば、早期フェーズがパイプラインの中心の同社にとって非常に価値のある事業となるでしょう。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【オンコセラピー・サイエンス】
・2022年3月期連結業績と前期実績との差異に関するお知らせ
【ラクオリア創薬】
・胃食道逆流症治療薬tegoprazanの韓国における新剤形発売に関するお知らせ
・胃食道逆流症治療薬tegoprazanの中国における販売開始に関するお知らせ
【モダリス】
・ストック・オプション(新株予約権)の発行内容確定に関するお知らせ
【クリングルファーマ】
・決算説明会開催及びライブ配信(Zoomウェビナー)のお知らせ
3 創薬株価指数と主要株価指数
創薬株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 547円 | -13円(-2.36%) |
BR創薬株3種 | 1,540円 | -20円(-1.29%) |
BR創薬株7種 | 1,019円 | -21円(-1.99%) |
BR中型株指数 | 596円 | -21円(-3.42%) |
BR小型株指数 | 227円 | -8円(-3.26%) |
主要株価指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
TOPIX33業種別-医薬品 | 3,116円 | -68円(-2.13%) |
NASDAQ Biotechnology Index | 3,595米ドル | -144米ドル(-3.84%) |
日経平均株価 | 26,319円 | -670円(-2.48%) |
NASDAQ | 12,145米ドル | -173米ドル(-1.40%) |
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
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値上がり銘柄数 | 1銘柄 |
値下がり銘柄数 | 27銘柄 |
変わらず | 0銘柄 |
出来高 | 1,297万株 |
売買代金 | 651,445万円 |
時価総額 | 7,834億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,055円 | -53円(-4.8%) |
アンジェス | 336円 | -21円(-5.9%) |
オンコセラピー・サイエンス | 62円 | -3円(-4.6%) |
そーせいグループ | 1,169円 | -41円(-3.4%) |
ナノキャリア | 226円 | -10円(-4.2%) |
カルナバイオサイエンス | 952円 | -41円(-4.1%) |
キャンバス | 176円 | -6円(-3.3%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 204円 | -6円(-2.9%) |
ラクオリア創薬 | 749円 | -26円(-3.4%) |
シンバイオ製薬 | 672円 | -10円(-1.5%) |
カイオム・バイオサイエンス | 169円 | -4円(-2.3%) |
キッズウェル・バイオ | 445円 | -10円(-2.2%) |
ペプチドリーム | 1,949円 | +5円(+0.3%) |
オンコリスバイオファーマ | 568円 | -40円(-6.6%) |
リボミック | 175円 | -4円(-2.2%) |
サンバイオ | 1,130円 | -20円(-1.7%) |
ヘリオス | 708円 | -16円(-2.2%) |
ブライトパス・バイオ | 92円 | -4円(-4.2%) |
窪田製薬ホールディングス | 142円 | -4円(-2.7%) |
ソレイジア・ファーマ | 81円 | -2円(-2.4%) |
Delta−Fly Pharma | 1,005円 | -44円(-4.2%) |
ステムリム | 696円 | -27円(-3.7%) |
メディシノバ | 328円 | -6円(-1.8%) |
ファンペップ | 205円 | -3円(-1.4%) |
ペルセウスプロテオミクス | 355円 | -15円(-4.1%) |
モダリス | 324円 | -11円(-3.3%) |
クリングルファーマ | 583円 | -46円(-7.3%) |
レナサイエンス | 425円 | -25円(-5.6%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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