サンバイオから学ぶ投資家との対話 創薬株式市場が冷え込む中、創薬企業のIR活動に一考の余地

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株式市場はゴールデウィーク中の取引日であったたため、売買代金は乏しく、全体的に軟調な展開となりました。

それは、値を上げた8銘柄全ての上昇率が2%に届かなかったことからも感じ取れます。

5月6日もゴールデウィーク中の取引日となりますが、同日も本日と同様に軟調であることが予想され、本格的な動きは来週以降になると思われます。

個別銘柄では米国神経学会(AAN: American Academy of Neurology)における抄録「Efficacy and Safety Outcomes in Patients with Chronic Traumatic Brain Injury」の公開以降、再生細胞医薬品「SB623」の有効性に対する懸念が広がってるサンバイオが、ブリッジレポート(他社)と事業計画・成長可能性に関する資料を公開しました。

周知の通り、SB623の懸念事項は外傷性脳損傷(TBI)患者の48週時点での有効性や投与群間の被験者ステータスの偏りに始まり、臨床試験の質や今後の開発計画です。

これらに関してサンバイオはホームページ中「よくあるご質問・お問い合わせ」で説明していますが、その内容は投資家の疑問を払拭するに十分ではなく、サンバイオ自身もSB623の作用を把握しきれていない印象を抱きます。

そのため、事業計画・成長可能性に関する資料では前述した懸念事項に対する詳しい説明が期待されていましたが、残念ながら裏切られた格好となりました。

サンバイオは日本でのTBIを適応とするSB623の承認申請を行い、米国ではSB623(500万セル)によるフェーズ3試験を計画しているため、投資家がその有効性を測るために求める情報、特に、SB623の投与量間の差と、一般TBI患者の統計学的に有意なFMMS変化量の2点の提示を、サンバイオは投資家へ提示する必要があります。

SB623の投与量間の差に関しては、脳梗塞フェーズ2b試験において250万セルと500万セルのSB623がそれぞれ55人と56人に対して投与されていますが、主要評価項目のFMMSスコアが10ポイント以上改善した被験者の割合(6ヶ月目)では、両群の差は認められていません。

同試験における複数の二次評価項目においても、両群の差は認められず、また、250万セル群の方が結果が良かったり、500万セル群の方が結果が良かったりと、非常に不安定な内容のものばかりです。




そのため、SB623の脳神経再生作用を謳っている以上、サンバイオは投資家に対して脳梗塞フェーズ2bの結果を用いて500万セルの有効性の根拠を示すべきではないでしょうか。

さらに、一般TBI患者のFMMS変化量を統計学的に実証するべきだと感じております。

前記したリンク先での回答では、コントロール群のFMMSスコアの変化量に関して「偽手術群におけるベースラインからのFMMSの変化量に統計学的に有意な差は無く、ばらつきの範囲内であると考えています。偽手術群全体の平均値は一見改善しているように見えますが、被験者ごとのデータにおいては、一貫した改善傾向は確認されていません。」(抜粋:株主総会・決算説明会等でのご質問)と記述があります。

しかし、フェーズ3試験を行う以上、統計学的に有意なコントロール群のFMMS変化量は把握しておくべきであり、また、それを投資家に提示するべきであるとも思います。

サンバイオ|〈米国神経学会の発表に向けて〉米国における外傷性脳損傷治療薬『SB623』の承認申請に必要なこと」でも述べた通り、500万セルであれば170人規模のエンロールによって、統計学的な有意差と必要な症例数の両方を満たした上で承認申請まで辿り着けると見込まれます。

それでも、サンバイオは投資家へのリスクを低減させるため、SB623の投与量間の差と、一般TBI患者の統計学的に有意なFMMS変化量の分析結果の提示が必要であると考えております。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ジーエヌアイグループ】

訂正有価証券報告書-第21期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)

【カルナバイオサイエンス】

行使価額修正条項付第19回新株予約権の月間行使状況に関するお知らせ

【サンバイオ】

IRレポート「ブリッジレポート」(PDF版)

IRレポート「ブリッジレポート」(HTML版)

事業計画及び成長可能性に関する事項

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 571円 -10円(-1.84%)
BR創薬株3種 1,627円 -41円(-2.43%)
BR創薬株7種 1,066円 -24円(-2.16%)
BR中型株指数 611円 -10円(-1.57%)
BR小型株指数 237円 -2円(-0.70%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33業種別-医薬品 3,146円 +7円(+0.24%)
NASDAQ Biotechnology Index 3,761米ドル -87米ドル(-2.25%)
日経平均株価 26,819円 -29円(-0.11%)
NASDAQ 12,335米ドル -537米ドル(-4.17%)

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 8銘柄
値下がり銘柄数 17銘柄
変わらず 3銘柄
出来高 1,219万株
売買代金 475,749万円
時価総額 8,189億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,149円 -1円(-0.1%)
アンジェス 353円 -13円(-3.6%)
オンコセラピー・サイエンス 65円 -2円(-3.0%)
そーせいグループ 1,254円 -23円(-1.8%)
ナノキャリア 240円 -3円(-1.2%)
カルナバイオサイエンス 995円 +4円(+0.4%)
キャンバス 182円 +2円(+1.1%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 210円 -3円(-1.4%)
ラクオリア創薬 777円 +9円(+1.2%)
シンバイオ製薬 681円 -5円(-0.7%)
カイオム・バイオサイエンス 174円 +2円(+1.2%)
キッズウェル・バイオ 457円 -10円(-2.1%)
ペプチドリーム 2,036円 -66円(-3.1%)
オンコリスバイオファーマ 600円 -5円(-0.8%)
リボミック 185円 +1円(+0.5%)
サンバイオ 1,112円 0円(0.0%)
ヘリオス 731円 -15円(-2.0%)
ブライトパス・バイオ 97円 0円(0.0%)
窪田製薬ホールディングス 148円 -1円(-0.7%)
ソレイジア・ファーマ 84円 -3円(-3.4%)
Delta−Fly Pharma 1,109円 -17円(-1.5%)
ステムリム 730円 -5円(-0.7%)
メディシノバ 345円 -4円(-1.1%)
ファンペップ 211円 +1円(+0.5%)
ペルセウスプロテオミクス 374円 0円(0.0%)
モダリス 332円 +5円(+1.5%)
クリングルファーマ 645円 -6円(-0.9%)
レナサイエンス 420円 +7円(+1.7%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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