GW明けの創薬株の株価推移の傾向 ナノキャリアのVB-111は米国で20億ドルの売上高を目指す ペプチドリームはNo.1免疫チェックポイント阻害剤の開発がついに始まる ヘリオスは計画遂行によって投資家からの信頼度が高まる

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株式市場はリスクオフの流れや大型連休前とあり、過去2年間の中で最も売買代金が少ない一日となりました。

そのような相場環境の中でも創薬平均株価は反発し、昨日の値下がり分の約6割を取り戻しました。

大型・中型・小型と分けられる創薬株価指数では特異的な値動きは見られず、どの区分においても同じような投資家心理が働いたと思われます。

創薬平均株価の昨年の大型連休明けは0.15%安(4月30日に対する5月6日終値)、同一昨年は7.39%高(5月1日に対する5月7日終値)となっているだけに、連休明けの株価推移は不透明です。

個別銘柄ではナノキャリアが日本での開発販売権を持つVBL社のプラチナ製剤抵抗性再発卵巣癌治療薬「VB-111」に対して、FDAがファストトラック指定を付与したことを発表しました。

ファストトラック指定を受けた製品は承認審査の際にいくつかのメリットを享受でき、同製品の場合は特に優先審査と迅速承認の恩恵が非常に大きいでしょう。

優先審査では承認審査の期間を10ヶ月から6ヶ月に短縮されるため、毎年2万人程度の同新規患者が現れる米国では、年間約6千人(抵抗性再発割合:30%とした場合)が同製品の投与対象患者となり得ます。

また、VB-111は遺伝子治療薬であるため、治療完了までの1サイクルあたりの治療費は高額になると予想され、ファースト・インクラスの抵抗性再発癌の治療薬の場合、その水準は30~40万ドルが見込まれます。

VB-111の米国における市場規模は年間20億ドル程度と推定され、既存患者も考慮すると、その規模はより大きなものとなりそうです。

そして、ファストトラックによる審査期間の短縮は8億ドルの市場規模が実質的に追加されることであり、大きな機会利益を得られる見込みです。

さらに、同疾患は既存薬が存在せず、かつ生命に関わる重篤な疾患であることから、迅速承認の対象となる公算が高く、それは全生存期間と無増悪生存期間を主要評価項目としているフェーズ3試験の成功可能性をより高めます。

以上より、フェーズ3試験が終盤であるこのタイミングでのファストトラック指定はインパクトが大きく、米国での承認可能性の増大は日本でも同じように繋がるため、ナノキャリアにとっても非常に重要で前向きなイベントとなりました。





ペプチドリームはブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)社との共同開発で創出されたペプチド阻害薬「BMS-986189」による新たなフェーズ1試験がBMS社によって開始されたと報告しました。

同阻害薬は投資家が待ち焦がれていた経口剤のPD-1/PD-L1阻害剤である公算が極めて高く、同フェーズ1試験はエンロール数が136名と、同注射剤のフェーズ1試験に比べて約2倍のエンロール数となりますが、早ければ今年中の同試験完了が期待されます。

現行のPD-1/PD-L1阻害剤は全て注射剤であり、経口剤のBMS-986189が同程度の効果を発揮することが出来れば、その利便性によって第一選択となる可能性が高く、売上高が総額300億ドルを超える同阻害剤市場の大部分を得る可能性があります。

ヘリオスは兵庫県庁より「再生医療等製品製造販売業許可」を取得したことを報告しました。

再生医療等製品製造販売業許可は日本において医薬品を製造および販売を行うために必要な3項目の内の1つであり、企業としての責任体制に関する審査に合格したことを意味します。

医薬品の承認審査で最も重要な項目は有効性と安全性に関するもののため、投資家は同許可を得たことに対して冷めた目で見ているかもしれません。

しかし、これはヘリオスが製品化を目指す上での着実な進捗の証拠でもあり、承認審査に向けたスケジュールの遅延を起こす創薬企業もある中、計画通りに物事を進めているヘリオスには信用度の面で一定の評価を与えて宜しいかと思います。

なお、前述した以外の残る項目は「製品の生産方法・管理体制」に関するものです。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ナノキャリア】

VB-111:FDAよりファストトラック指定を受領

【ペプチドリーム】

米国ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社との新たな臨床試験開始のお知らせ

【サンバイオ】

2022年1月期 有価証券報告書

2022年1月期 株主通信

第9回定時株主総会決議ご通知

【ヘリオス】

「再生医療等製品製造販売業許可」取得に関するお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 582円 +6円(+1.02%)
BR創薬株3種 1,668円 +23円(+1.37%)
BR創薬株7種 1,090円 +12円(+1.10%)
BR中型株指数 621円 +3円(+0.51%)
BR小型株指数 238円 +2円(+0.83%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
TOPIX33業種別-医薬品 3,139円 +82円(+2.67%)
NASDAQ Biotechnology Index 3,858米ドル -14米ドル(-0.36%)
日経平均株価 26,848円 +461円(+1.75%)
NASDAQ 12,489米ドル -2米ドル(-0.01%)

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 12銘柄
値下がり銘柄数 11銘柄
変わらず 5銘柄
出来高 677万株
売買代金 420,575万円
時価総額 8,339億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,150円 -6円(-0.5%)
アンジェス 366円 -2円(-0.5%)
オンコセラピー・サイエンス 67円 0円(0.0%)
そーせいグループ 1,277円 +16円(+1.3%)
ナノキャリア 243円 0円(0.0%)
カルナバイオサイエンス 991円 0円(0.0%)
キャンバス 180円 -2円(-1.1%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 213円 +2円(+0.9%)
ラクオリア創薬 768円 +14円(+1.9%)
シンバイオ製薬 686円 +7円(+1.0%)
カイオム・バイオサイエンス 172円 -2円(-1.1%)
キッズウェル・バイオ 467円 +29円(+6.6%)
ペプチドリーム 2,102円 +37円(+1.8%)
オンコリスバイオファーマ 605円 -1円(-0.2%)
リボミック 184円 -2円(-1.1%)
サンバイオ 1,112円 +7円(+0.6%)
ヘリオス 746円 +15円(+2.1%)
ブライトパス・バイオ 97円 0円(0.0%)
窪田製薬ホールディングス 149円 -3円(-2.0%)
ソレイジア・ファーマ 87円 +1円(+1.2%)
Delta−Fly Pharma 1,126円 +42円(+3.9%)
ステムリム 735円 +2円(+0.3%)
メディシノバ 349円 +6円(+1.7%)
ファンペップ 210円 -2円(-0.9%)
ペルセウスプロテオミクス 374円 0円(0.0%)
モダリス 327円 -3円(-0.9%)
クリングルファーマ 651円 -2円(-0.3%)
レナサイエンス 413円 -6円(-1.4%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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