ペプチドリーム|創薬企業が見習うべきペプチドリームのコーポレート・ガバナンス


ペプチドリームは2022年4月25日にコーポレート・ガバナンスを更新し、その内容を報告しました。

創薬企業の中でもペプチドリームのガバナンスに対する意識の高さは頭一つ抜けている印象を抱いており、CSR(企業の社会的責任)やディバーシティー(多様性)など、社会の移り変わりに上手に対応しながら経営を進めています。

特に、将来の中核人材(管理職・上級専門職)の多様性の確保のための努力を積極的に続けており、具体的には博士号(Ph.D.)取得者、女性マネージャー、外国人(海外勤務経験者含む)、若手(20~30代)の採用と育成に力を入れています。

また、役員報酬の透明性の確保にも引き続き取り組んでいます。

ペプチドリームの取締役(監査等委員取締役は除く)に対する報酬は、固定給と業績連動報酬が1:1の配分で構成されており、業績目標の達成状況を踏まえた業績連動報酬に関しては、その達成度に応じて0〜100%が乗されます。

さらに、業績連動報酬(2021年度実績)は固定報酬 ×(定量評価係数×70% + 定性評価係数×30%)で表されます。

定量評価指標は、「売上高成長率(対前年同期間比)」、「売上高業績目標の達成」、「営業利益業績目標の達成」について年度初めに達成基準を設定し、それらの達成状況に基づいて5段階の達成度を決定しています。

2021年度については、売上高成長率は10%超、売上高業績目標は110億円以上、営業利益業績目標は50億円以上と設定していましたが、同実績は売上高94億円、営業利益44億円であったため、達成度は1(5段階中)と決定しています。

定性評価指標は、大枠で「無形資産の構築に関する取り組み」と「資産喪失及びリスク回避に関する取り組み」に関して、報酬委員会が総合評価及び協議によって7段階の達成度を決定しています。

2021年度の達成度は5(7段階中)と高い結果を得ましたが、定性評価指標の内訳が以下の通りであることから、納得のいく達成度だと言えるのではないでしょうか。

〈無形資産の構築に関する取り組み〉
・研究開発パイプラインの価値向上
・新たなアライアンス契約とパートナー先の拡大
・新たな基盤技術の構築、知的財産の権利化に関する取り組み
・ESG(サステナビリティ)に関する取り組み

〈資産喪失及びリスク回避に関する取り組み〉
・法的リスクの回避と解決
・事業継続性及びBCPに関する取り組み
・企業レピュテーションに関する取り組み
・コスト最適化に関する取り組み

そして、前述した2指標の達成度に準ずる係数が簡単に導き出せることも投資家に対する透明性の高さに繋がっています。

定量評価係数と定性評価係数(出典:ペプチドリーム コーポレート・ガバナンス)

上図を参考に2指標の達成度から係数を決定すると、固定報酬に対する業績連動報酬の倍率は20%(0.0×70% + 0.67×30%)となります。

営業利益の目標と実績の差が約10%の乖離であるため、定量評価指標の達成度は2でも宜しいように思えますが、厳しく評価するその姿勢に投資家は好感を覚えるのではないでしょうか。

創薬企業では役員報酬や従業員の給与としてストックオプションを活用したインセンティブ制度を設けることが多いですが、その評価方法の透明性は確保されているとはいえません。

ただでさえ事業活動が不透明な創薬企業ですから、「見える化」が行いやすい報酬形態くらいはペプチドリームのように実態を明瞭にすべきだと常々考えております。

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