医薬品業が強さを示す中、前場暴落の創薬株が後場に持ち直す メディシノバは生体内反応の新たな知見で新規抗癌剤の開発を進める

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株式市場は前日の米国株の下落を受け、28銘柄中20銘柄が値を下げましたが、前場の大幅な下落から持ち直す銘柄が多く、トレンドの底値を意識させる展開となりました。

その流れは製薬企業でより顕著であり、TOPIX33業種別-医薬品指数は日経平均株価に比べて下げ幅が小さく、現在の相場環境では医薬品業の相対的な強さが示され、創薬株にとっては前向きに捉えられる材料になるかもしれません。

個別銘柄では、近頃の創薬企業の動向として、抗癌剤を補完する医薬品のアップデートが盛んに報じられています。

カルナバイオサイエンスの癌殺傷免疫活性化に寄与するキナーゼ阻害剤「GS-9911」(解説レポートはコチラ)や、ブライトパス・バイオの変異癌に有効性を担保するペプチド・ドラッグコンジュゲート(PDC)製品「BP1209」(補足記事はコチラ)がそれに該当します。

それに続き、メディシノバは低分子化合物「MN-166」がぶどう膜メラノーマ(癌細胞)の転移を阻害する効果を有することを発表しました。

癌細胞は転移のプロセスにおいて、エクソソームと呼ばれる正常細胞破壊粒子を吐き出し、その粒子によって破壊された細胞と癌細胞との間に道(情報伝達)を作ることで転移を行います。

MN-166の転移阻害に対する作用は、細胞と癌細胞の道を崩壊させることであり、より具体的には、細胞と癌細胞間の情報伝達に欠かせないとされるMIF(マクロファージ遊走阻止因子)を阻害する効果によります。

また、MN-166はMIFを阻害することで、免疫抑制を担う骨髄由来抑制細胞(MDSCs)の生成を抑制し、CD8+T細胞の活性化(厳密には機能抑制の解除)へと繋げ、免疫反応による癌殺傷を維持する効果も認められています。

キナーゼ阻害剤やPDCのように、新規技術による抗癌剤補完剤が誕生する中、生体内反応の新たな知見を開発の基礎とするメディシノバのドラックリポジショニング創薬も、新しい技術と言えるのではないでしょうか。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【カルナバイオサイエンス】

譲渡制限付株式報酬としての新株式発行に関するお知らせ

【カイオム・バイオサイエンス】

富士レビオ株式会社診断薬キットの日本での販売開始に関するお知らせ

【サンバイオ】

(訂正) 「第9回定時株主総会招集ご通知」の一部修正について

【メディシノバ】

MN-166(イブジラスト)によるぶどう膜メラノーマ転移抑制に関する研究論文の医学誌「Molecular Cancer Research」への掲載のお知らせ

【クリングルファーマ】

AMED CiCLE 事業契約締結に伴う担保提供のお知らせ

 3 創薬株価指数と主要株価指数

創薬株価指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 572円 -13円(-2.20%)
BR創薬株3種 1,588円 -48円(-2.94%)
BR創薬株7種 1,055円 -27円(-2.51%)
BR中型株指数 624円 -10円(-1.61%)
BR小型株指数 245円 -3円(-1.09%)
主要株価指数 終値 前日比(%)
東証業種別株価指数-医薬品 3,079円 -19円(-0.63%)
NASDAQ Biotechnology Index 4,053米ドル -97米ドル(-2.34%)
日経平均株価 27,105円 -448円(-1.63%)
NASDAQ 13,175米ドル -278米ドル(-2.07%)

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 6銘柄
値下がり銘柄数 20銘柄
変わらず 2銘柄
出来高 1,354万株
売買代金 729,206万円
時価総額 8,375億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,221円 -33円(-2.6%)
アンジェス 365円 -2円(-0.5%)
オンコセラピー・サイエンス 67円 -1円(-1.5%)
そーせいグループ 1,257円 -22円(-1.7%)
ナノキャリア 261円 +3円(+1.2%)
カルナバイオサイエンス 1,024円 -23円(-2.2%)
キャンバス 179円 -2円(-1.1%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 207円 -3円(-1.4%)
ラクオリア創薬 775円 -4円(-0.5%)
シンバイオ製薬 689円 -16円(-2.3%)
カイオム・バイオサイエンス 180円 0円(0.0%)
キッズウェル・バイオ 469円 0円(0.0%)
ペプチドリーム 1,929円 -70円(-3.5%)
オンコリスバイオファーマ 600円 -1円(-0.2%)
リボミック 188円 -5円(-2.6%)
サンバイオ 1,129円 -30円(-2.6%)
ヘリオス 779円 -18円(-2.3%)
ブライトパス・バイオ 98円 +2円(+2.1%)
窪田製薬ホールディングス 152円 -1円(-0.7%)
ソレイジア・ファーマ 88円 +2円(+2.3%)
Delta−Fly Pharma 1,207円 +8円(+0.7%)
ステムリム 705円 -7円(-1.0%)
メディシノバ 385円 -15円(-3.8%)
ファンペップ 216円 +4円(+1.9%)
ペルセウスプロテオミクス 376円 -11円(-2.8%)
モダリス 323円 -16円(-4.7%)
クリングルファーマ 658円 +5円(+0.8%)
レナサイエンス 476円 -14円(-2.9%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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