1 創薬企業の相場概況
本日の創薬株式市場は前日に引き続き、値上がりが10銘柄、値下がりが14銘柄、変わらずが4銘柄となりました。
値上がりトップとなったのはストップ高となったレナサイエンスであり、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が主催する医工連携イノベーション推進事業に、議題「糖尿病患者のインスリン投与量を予測する人工知能(AI)の開発」が採択されたことが材料視されました。
同事業によるレナサイエンスへの助成金は年間5,200万円が見込まれますが、治験を実施する年度は1.5億円程度の助成が見込まれます。
また、助成年数の上限は3年であり、レナサイエンスは同開発により臨床試験を目指しているため、推定で3.5億円程度の助成金が得られる見込みです。
創薬企業にとって3億円程度の額はあまりインパクトの大きいものではないため、同事業採択の材料による本日の株価上昇は行き過ぎな印象を抱きます。
アンジェスは投資家からのいくつかの質問に対する回答を発表しました。
特に質問が多かった項目はCovid-19ワクチンの開発に関するものです。
Pfizer社、Moderna社、AstraZeneca社の遺伝子系ワクチン(新技術)に続き、日本でもNovavax社製のタンパク質系ワクチン(従来技術)が先日承認されました。
また、明治ホールディングス社の連結子会社であるKMバイオロジクス社もタンパク質系ワクチンである不活化ワクチンの開発を進め、4月下旬にも1,500人規模のフェーズ3治験を開始すると報告しています。
そのため、他社に先駆けて同ワクチンの開発を発表したアンジェスの現状に対し、開発スピードの不足感に業を煮やしている投資家が多いのだと感じています。
ペルセウスプロテオミクスは赤血球数と総血液量の増加を特徴とする真性多血症の治療薬開発を抗トランスフェリン受容体(TfR)抗体「PPMX-T003」を用いて行っていますが、PPMX-T003の新たな適応症としてアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)を加え、同疾患に関する特許申請を行いました。
この適応症の拡大は細胞の生存に関わる鉄の取り込みを阻害する作用がPPMX-T003にあるからであり、同メカニズムはその他の癌細胞にも当てはまることから、同剤による適応症の拡大は今後も期待されます。
クリングルファーマでは、AMEDが主催する医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の第6回公募に採択された議題「HGFタンパク質を用いた難治性線維症治療薬の開発」について、AMEDとの間で事業契約を締結させたことを発表しています。
CiCLEには追加予算を含めると総額750億円の予算が割り当てられており、今回の第6回公募ではクリングルファーマの前記議題を含めた5つが採択され、それらに同予算から約49億円が配分されます。
また、クリングルファーマの同議題は予算配分額が大きい一般型研究開発タイプに該当し、その他の同該当社はリコー社のみのため、配分額は10~20億円が予想されます。
この額は現金資産が約20億円で、研究開発費が年間5億円程度の同社にとって非常に意味のある大きさです。
なお、AMEDからの助成金は声帯瘢痕を適応とする承認申請に直結するフェーズ2/3試験と、HGFタンパク質の線維症疾患に対する治療メカニズムの研究に充てがわれます。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【アンジェス】
・会社説明会およびホームページお問い合わせフォームからのご質問に対する回答
【そーせいグループ】
・(訂正)「事後交付型株式報酬(RSU)制度に基づく新株式発行の発行価額等の決定に関するお知らせ」の一部訂正について
・業績連動型株式報酬(PSU)制度および事後交付型株式報酬(RSU)制度に基づく新株式発行に関するお知らせ
【ペルセウスプロテオミクス】
・東海大学とのアグレッシブNK細胞白血病治療剤に関する特許共同出願のお知らせ
【モダリス】
・筋ジストロフィー及びタイチノパシーを含むその他の遺伝性疾患の治療に向けた革新的なエピジェネティック編集薬の開発をサポートするデータを発表予定
【クリングルファーマ】
・組換えHGFタンパク質を用いた難治性線維症治療薬の開発~AMED CiCLE事業契約締結のお知らせ~
【レナサイエンス】
・令和4年度「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)」の採択のお知らせ
3 創薬企業の株価指数
主要指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 584円 | -1円(-0.21%) |
BR創薬株3種 | 1,636円 | -9円(-0.55%) |
BR創薬株7種 | 1,083円 | -4円(-0.33%) |
BR中型株指数 | 634円 | +1円(+0.14%) |
BR小型株指数 | 247円 | +0円(+0.15%) |
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 10銘柄 |
値下がり銘柄数 | 14銘柄 |
変わらず | 4銘柄 |
出来高 | 1,354万株 |
売買代金 | 729,206万円 |
時価総額 | 8,375億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,254円 | -34円(-2.6%) |
アンジェス | 367円 | -9円(-2.4%) |
オンコセラピー・サイエンス | 68円 | 0円(0.0%) |
そーせいグループ | 1,279円 | -4円(-0.3%) |
ナノキャリア | 258円 | -3円(-1.1%) |
カルナバイオサイエンス | 1,047円 | +10円(+1.0%) |
キャンバス | 181円 | +1円(+0.6%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 210円 | +1円(+0.5%) |
ラクオリア創薬 | 779円 | -3円(-0.4%) |
シンバイオ製薬 | 705円 | +8円(+1.1%) |
カイオム・バイオサイエンス | 180円 | -1円(-0.6%) |
キッズウェル・バイオ | 469円 | -3円(-0.6%) |
ペプチドリーム | 1,999円 | -3円(-0.1%) |
オンコリスバイオファーマ | 601円 | -20円(-3.2%) |
リボミック | 193円 | -6円(-3.0%) |
サンバイオ | 1,159円 | +18円(+1.6%) |
ヘリオス | 797円 | +9円(+1.1%) |
ブライトパス・バイオ | 96円 | -2円(-2.0%) |
窪田製薬ホールディングス | 153円 | -2円(-1.3%) |
ソレイジア・ファーマ | 86円 | 0円(0.0%) |
Delta−Fly Pharma | 1,199円 | -25円(-2.0%) |
ステムリム | 712円 | +4円(+0.6%) |
メディシノバ | 400円 | +1円(+0.3%) |
ファンペップ | 212円 | -4円(-1.9%) |
ペルセウスプロテオミクス | 387円 | -9円(-2.3%) |
モダリス | 339円 | +3円(+0.9%) |
クリングルファーマ | 653円 | +25円(+4.0%) |
レナサイエンス | 490円 | +80円(+19.5%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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