カルナバイオ|導出品「GS-9911」がファースト・イン・クラスのポテンシャルとGilead社から評価


カルナバイオサイエンスはGilead社が4月14日に行った投資家向けイベント「Oncology Deep Dive」において、カルナバイオサイエンスが同社へ導出した規癌免疫療法の創薬プログラムから創出された新規DGKα(ジアシルグリセロールキナーゼ-α)阻害剤「GS-9911」が、ファースト・イン・クラスのポテンシャルを持ち得る医薬品と紹介されました。

CD8+T細胞の活性化にはDAG(ジアシルグリセロール)によるシグナル伝達が欠かせませんが、DGKαにはDAGをPA(ホスファチジン酸)へとリン酸化させ、シグナル伝達を終結させる作用があります。

そのため、DAGによるシグナル伝達を阻害するDGKαを阻害することで、同シグナル伝達を維持し、免疫反応(T細胞による癌細胞の死滅)の継続を狙う治療薬がGS-9911となります。

なお、前述したとおり、GS-9911がターゲットとしているのはCD8+T細胞(人体に危害を与える癌化やウイルス感染した細胞などの殺傷や除去に関わるT細胞)であり、ヘルパーT細胞として認知されているCD4+T細胞(B細胞の活性化や抗体産生に関わる)とは異なる点にご留意下さい。

ここまでを図解で解説している資料が下図です。

参照:Gilead(Oncology Deep Dive資料)

また、GS-9911の投与によってCD8+T細胞の増殖を誘導するタンパク質IL-2の産生が増加することも実証されています。

ただし、IL-2には上記のような癌細胞に対する免疫刺激とする効果の他、正反対の作用である免疫抑制の効果もあるため、IL-2を治療作用として用いるためには最適化が必要です。

さらに、Gilead社の抗癌剤ポートフォリオに含まれるzimberelimab(抗PD-1抗体)との併用やTrodelvy(zimberelimabに抗腫瘍性化合物SN-38を複合したもの)との併用などによって、さらなる治療効果の可能性を示唆しました。

参照:Gilead(Oncology Deep Dive資料)

ペプチドリームやブライトパス・バイオは、PDC(ペプチド・ドラッグコンジュゲート)と呼ばれ、抗体医薬品にペプチドを併用させることで治療効果を向上させようと試みていますが、GS-9911の用途もそれと同じく、Gilead社の抗癌剤ポートフォリオに含まれる多くの治療薬に対して治療効果を向上させる可能があります。

ペプチドリームやブライトパス・バイオのPDC然り、現在の抗癌剤治療薬の開発は単剤から併用剤へと移り変わり、複合的な作用による治療を目指しています。

それ故に、Gilead社はGS-9911に対してファースト・イン・クラスのポテンシャルを持つと評価しているものと考えられます。

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