1 創薬企業の相場概況
本日の創薬株式市場では28銘柄中24銘柄が値を上げ、今週初の上昇相場となりました。
BR小型株指数はサポートラインに近づいていたため、反発が望まれていましたが、本日は希望通りの上昇となりました。
同指数ではラクオリアが強く、前日比+6.7%と大幅に上昇し、同指数を牽引しました。
「日本式のラクオリアと米国式のメディシノバが着実に研究開発を進める」でも記述した通り、ラクオリアはHK inno.N社を通じて、韓国の20倍の投与対象患者数を誇る中国での胃食道逆流症治療薬「tegoprazan」の承認を目指していました。
tegoprazanに対する中国でのライセンスはHK inno.N社によって付与されたShandong Luoxin社が保持しており、同社が中国において承認申請を担っていました。
そして本日、中国国家食品薬品監督管理局は取引時間中に、Shandong Luoxin社に対してのtegoprazanの承認を公示しました。
韓国で既に承認され、その有効性が証明されているtegoprazanであったため、同公示に対するインパクトは薄いものの、着実にイベントを通過した実績は間違いなく投資家にポジティブな印象を与えます。
メディシノバも取引時間中にIR資料が更新され、米国におけるARDSフェーズ2治験の患者登録(データ取得まで)が完了し、解析準備を進めていることを報告しました。
ARDSフェーズ2治験は当初の予定より1年間の遅延が見込まれていたため、2ヶ月程早く治験が完了したことが評価され株価の上昇に繋がったと考えられます。
大型株ではペプチドリームが前日比5.1%高と大幅に上昇しました。
ペプチドリームはここ一週間は下落トレンドであり、4月1日に付けた2,150円のサポートラインの付近にあったため、反発があったとしても不思議な状態ではありませんでした。
続いて、直近高値となる4月5日の2,340円を超えられるかに注目しましょう。
カルナバイオサイエンスは抗癌剤「AS-1763」の創製研究および非臨床試験に関する発表とフェーズ1治験の結果発表を米国癌学会年次総会で行いました。
同学会年次総会ではオンコセラピー・サイエンスが急性骨髄性白血病(AML)を適応とする新規抗癌剤「OTS447」について発表を行いましたが、カルナバイオサイエンスのAS-1763は慢性リンパ性白血病(CLL)を適応とするものです(オンコセラピーの発表に対する考察はコチラ)。
カルナバイオサイエンスとオンコセラピーがターゲットとする白血病は、急性や慢性、骨髄性やリンパ性と、性質が異なりますが、既存薬の課題である「耐性」と「再発」に焦点を当てている点は同じです。
前述の通り、カルナバイオサイエンスのAS-1763は既にフェーズ1治験が完了しており、臨床段階前のオンコセラピーのOTS447に対して開発が進んでいます。
同フェーズ1治験ではAS-1763の安全性とバイオアベイラビリティが評価され、次の段階(フェーズ1b)では有効性の評価を行う予定とされています。
なお、AS-1763によるCLLを適応とするフェーズ1b治験は2022年度中に米国で実施される予定です。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【カルナバイオサイエンス】
・BTK阻害剤AS-1763に関するアメリカ癌学会年次総会での発表のお知らせ
【ラクオリア創薬】
・訂正有価証券報告書-第14期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)
【カイオム・バイオサイエンス】
【サンバイオ】
3 創薬企業の株価指数
主要指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 620円 | +16円(+2.57%) |
BR創薬株3種 | 1,803円 | +63円(+3.64%) |
BR創薬株7種 | 1,164円 | +31円(+2.74%) |
BR中型株指数 | 646円 | +5円(+0.78%) |
BR小型株指数 | 252円 | +6円(+2.29%) |
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 24銘柄 |
値下がり銘柄数 | 2銘柄 |
変わらず | 2銘柄 |
出来高 | 815万株 |
売買代金 | 549,669万円 |
時価総額 | 8,882億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,300円 | +6円(+0.5%) |
アンジェス | 374円 | +2円(+0.5%) |
オンコセラピー・サイエンス | 69円 | -1円(-1.4%) |
そーせいグループ | 1,388円 | +22円(+1.6%) |
ナノキャリア | 265円 | 0円(0.0%) |
カルナバイオサイエンス | 1,018円 | -5円(-0.5%) |
キャンバス | 181円 | +3円(+1.7%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 213円 | +1円(+0.5%) |
ラクオリア創薬 | 860円 | +54円(+6.7%) |
シンバイオ製薬 | 724円 | +26円(+3.7%) |
カイオム・バイオサイエンス | 187円 | +4円(+2.2%) |
キッズウェル・バイオ | 458円 | +12円(+2.7%) |
ペプチドリーム | 2,246円 | +110円(+5.1%) |
オンコリスバイオファーマ | 650円 | +16円(+2.5%) |
リボミック | 202円 | +5円(+2.5%) |
サンバイオ | 1,168円 | +4円(+0.3%) |
ヘリオス | 817円 | +9円(+1.1%) |
ブライトパス・バイオ | 100円 | +1円(+1.0%) |
窪田製薬ホールディングス | 157円 | +2円(+1.3%) |
ソレイジア・ファーマ | 86円 | +2円(+2.4%) |
Delta−Fly Pharma | 1,207円 | +50円(+4.3%) |
ステムリム | 733円 | +10円(+1.4%) |
メディシノバ | 383円 | +11円(+3.0%) |
ファンペップ | 218円 | 0円(0.0%) |
ペルセウスプロテオミクス | 390円 | +4円(+1.0%) |
モダリス | 362円 | +13円(+3.7%) |
クリングルファーマ | 685円 | +9円(+1.3%) |
レナサイエンス | 427円 | +18円(+4.4%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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