1 創薬企業の相場概況
本日の創薬株式市場は買い優勢となり反発しました。
28銘柄中16銘柄が値を上げ、研究開発の進捗を発表したラクオリア創薬とメディシノバは揃って上昇となりました。
創薬企業の経営戦略として、創薬早期段階での導出を戦略のコアとする日本式を採用するラクオリア創薬と、自社開発または創薬後期での導出を考慮する米国式を採用するメディシノバが同日に研究開発の進捗を発表したことは、偶然とは言え、株価の値動きを測る上で興味深いものでした。
ラクオリアが発表した内容は、米国における「tegoprazan」による胃食道逆流症を適応とするフェーズ1試験が完了したことです。
tegoprazanはラクオリアが韓国のHK inno.N社に導出した製品であり、韓国で既に市場に流通しているtegoprazanは、韓国国内で年間約110億円の売上実績があります。
中国および東南アジアでも既に承認審査中であり、韓国の20倍の投与対象患者数を誇る中国で承認されれば、近い将来tegoprazanの売上高は1,000億円を優に超えてくるでしょう。
ただし、ラクオリアが受け取るtegoprazanの販売ロイヤルティは売上高の5%程度と見込まれていることや、その他パイプラインが早期段階であることからも、売上高が100億円を超えてくるようになるまでは相当の時間を要すると見込まれます。
少しづつ着実に成長していくその様は、正に日本株式市場の旧上場維持基準が生んだ優秀な日本創薬企業の姿だと言えます。
メディシノバが発表した内容は、「MN-166」によるAUD(アルコール使用障害)を適応とするフェーズ2試験の追加解析結果についてです。
同フェーズ2治験の一次解析では、MN-166がAUD患者に対してアルコール渇望度を減少させることや、アルコール大量摂取を45%減少させること、アルコール刺激に対する神経反応を抑制することが示されていました。
同追加解析は一次解析の結果をサポートする内容であり、AUD患者に対するMN-166の治療メカニズムを解明する一歩となりました。
メディシノバはAUDパイプラインにおいてフェーズ2bに該当する試験も進めており、今年9月の完了を予定しています。
創薬早期段階での導出によって数億円の一時金やマイルストーン収入、一桁パーセント程度の販売ロイヤルティによって着実に成長を続けるラクオリアと、自社開発や創薬後期段階での導出を狙うことによって、数百億円の売上高を掴み取ろうとするメディシノバは、古風な日米創薬企業の代表例と言えます。
なお、3月8日時点の時価総額はラクオリアが178億円、メディシノバが184億円と非常に近い額となっています。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【ラクオリア創薬】
・胃食道逆流症治療薬tegoprazanの米国における第I相臨床試験完了のお知らせ
【カイオム・バイオサイエンス】
・ADLibシステム関連特許の欧州特許査定についてのお知らせ
【オンコリスバイオファーマ】
・2021年12月期事業説明会の書き起こし記事が掲載されました。(2022年3月30日開催)
【メディシノバ】
・Zacks Small-Cap Researchによる当社レポートが発表されました。
3 創薬企業の株価指数
主要指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 630円 | +4円(+0.59%) |
BR創薬株3種 | 1,839円 | +13円(+0.72%) |
BR創薬株7種 | 1,184円 | +5円(+0.43%) |
BR中型株指数 | 652円 | -2円(-0.23%) |
BR小型株指数 | 255円 | +3円(+1.12%) |
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 16銘柄 |
値下がり銘柄数 | 10銘柄 |
変わらず | 2銘柄 |
出来高 | 898万株 |
売買代金 | 568,696万円 |
時価総額 | 9,027億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,346円 | -19円(-1.4%) |
アンジェス | 377円 | +3円(+0.8%) |
オンコセラピー・サイエンス | 71円 | 0円(0.0%) |
そーせいグループ | 1,424円 | -3円(-0.2%) |
ナノキャリア | 270円 | +3円(+1.1%) |
カルナバイオサイエンス | 1,044円 | +34円(+3.4%) |
キャンバス | 185円 | -2円(-1.1%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 215円 | +1円(+0.5%) |
ラクオリア創薬 | 850円 | +17円(+2.0%) |
シンバイオ製薬 | 717円 | 0円(0.0%) |
カイオム・バイオサイエンス | 188円 | +4円(+2.2%) |
キッズウェル・バイオ | 464円 | +6円(+1.3%) |
ペプチドリーム | 2,280円 | +35円(+1.6%) |
オンコリスバイオファーマ | 659円 | +8円(+1.2%) |
リボミック | 208円 | +2円(+1.0%) |
サンバイオ | 1,170円 | +18円(+1.6%) |
ヘリオス | 821円 | -18円(-2.1%) |
ブライトパス・バイオ | 104円 | -1円(-1.0%) |
窪田製薬ホールディングス | 158円 | -1円(-0.6%) |
ソレイジア・ファーマ | 90円 | +2円(+2.3%) |
Delta−Fly Pharma | 1,207円 | +41円(+3.5%) |
ステムリム | 755円 | -15円(-1.9%) |
メディシノバ | 375円 | +23円(+6.5%) |
ファンペップ | 225円 | +1円(+0.4%) |
ペルセウスプロテオミクス | 401円 | -12円(-2.9%) |
モダリス | 387円 | -10円(-2.5%) |
クリングルファーマ | 719円 | -60円(-7.7%) |
レナサイエンス | 436円 | +1円(+0.2%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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