事業計画及び成長可能性を公表したGNI、そーせい、シンバイオは投資家から評価得られず

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 1 創薬企業の相場概況

本日の創薬株式市場は28銘柄中20銘柄が値を下げました。

特に先端技術である再生医療関連銘柄(アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム)やゲノム編集技術銘柄(モダリス)への売りが目立った印象です。

前日に事業計画及び成長可能性に関する資料を公開した3社(GNI、そーせい、シンバイオ)の株価も軟調でした。

GNIは成長の前提条件として「北京コンチネント薬業のアイスーリュイはますます競争に直面しつつも引き続き高い市場シェアを維持すること」と上げていますが、Boehringer Ingelheim社のOfevが競合治療薬として頭を悩ませています。

GNIは同資料において中国のIPFを含む抗肺線維症治療薬市場の年間成長率を35.2%としていますが、Boehringer Ingelheim社のOfevの売上高はグローバルデータであるものの、為替の影響を除くと前年比40.6%の売上高増となりました。

Ofevは中国では1錠(150mg)あたり5,000円と高価であるものの、GNIのアイスーリュイに比べて治療効果や副作用が少ないことが強みであり、価格訴求力のアイスーリュイと治療効果のOfevという構図です。

GNIはアイスーリュイは中国医療業界の信頼を確立しており、中国の抗肺線維症薬市場で突出した市場シェアを占めているとしていますが、株価推移を見るに、上記による成長可能性に対するリスクの払拭までには至っていないようです。

アイスーリュイのより詳しい説明は『GNIグループ(2021年1月号|ガイドブック)』を参考にして下さい。

そーせいの同資料では株主総会での発表内容に比べて、業績押し下げ要因である条件付対価評価損を強調していることに目が行きました。

そーせいの場合、Heptares社を買収する際に、同社株主に対して、買収後にHeptares社がマイルストーン、または、ロイヤリティ収入を受領した場合に、最大220百万ドルを支払う条項(いわゆる、アーンアウト条項)を設けています。

前期の当期純利益は約10億円と物足りない結果となりましたが、それはNEUROCRINE社へのM1/M4作動薬の導出に伴う同条項による、約29億円の支払い(条件付対価評価損)を計上したことが理由であり、本来であれば同利益は約40億円だったとアピールした格好です。

なお、最新の約600億円とする現金(および現金同等物)残高は29億円中28億円を支払った後の残高です。

シンバイオの同資料ではトレアキシン点滴静注液(RTD製剤)に関するジェネリック医薬品製造販売承認を得た4社(ファイザー社、Meiji Seikaファルマ社、コーアイセイ社、東和薬品社)との間での特許紛争に関する記述がないことに驚きました。

詳しい内容は『シンバイオ製薬|トレアキシン点滴静注液(RTD製剤)のジェネリック医薬品製造会社による特許侵害に関わる注目点』を参考にして下さい。

シンバイオは競争力の源泉として既存パイプラインの価値最大化を上げていますが、上記問題はその源泉を脅かす現在進行中のリスクであり、既存株主や新規投資家に対して伝えておくべき内容だと思います。

そのため、同特許紛争に関する記述がないことは投資家からの信頼に反する行為であり、シンバイオ経営陣に対して改善を求める点だと考えています。




 2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)

【ジーエヌアイグループ】

事業計画及び成長可能性に関する事項

【そーせいグループ】

事業計画及び成長可能性に関する事項

【シンバイオ製薬】

シンジケート・ローン契約の更新に関するお知らせ

事業計画及び成長可能性に関する事項

【ペプチドリーム】

当社関連会社ペプチグロース株式会社によるTrkB アゴニストペプチド(BDNF代替ペプチド)の販売開始について

【オンコリスバイオファーマ】

2021年12月期 有価証券報告書

 3 創薬企業の株価指数

主要指数 終値 前日比(%)
創薬平均株価 628円 -9円(-1.37%)
BR創薬株3種 1,775円 -23円(-1.30%)
BR創薬株7種 1,184円 -18円(-1.50%)
BR中型株指数 705円 -14円(-1.93%)
BR小型株指数 252円 -2円(-0.87%)

 4 創薬株価指数とテクニカル指標

創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム

BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム

BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス

 4 創薬企業の相場のまとめ




全体
値上がり銘柄数 7銘柄
値下がり銘柄数 20銘柄
変わらず 1銘柄
出来高 1,088万株
売買代金 631,991万円
時価総額 9,003億円
個別銘柄 終値 前日比(%)
ジーエヌアイグループ 1,385円 -8円(-0.6%)
アンジェス 355円 -4円(-1.1%)
オンコセラピー・サイエンス 70円 +1円(+1.4%)
そーせいグループ 1,403円 -12円(-0.8%)
ナノキャリア 265円 +7円(+2.7%)
カルナバイオサイエンス 1,036円 -12円(-1.1%)
キャンバス 192円 +2円(+1.1%)
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 214円 -4円(-1.8%)
ラクオリア創薬 808円 -7円(-0.9%)
シンバイオ製薬 768円 -15円(-1.9%)
カイオム・バイオサイエンス 188円 +2円(+1.1%)
キッズウェル・バイオ 462円 +2円(+0.4%)
ペプチドリーム 2,150円 -36円(-1.6%)
オンコリスバイオファーマ 650円 -19円(-2.8%)
リボミック 205円 -5円(-2.4%)
サンバイオ 1,184円 -21円(-1.7%)
ヘリオス 1,119円 -44円(-3.8%)
ブライトパス・バイオ 100円 -3円(-2.9%)
窪田製薬ホールディングス 162円 +5円(+3.2%)
ソレイジア・ファーマ 87円 +1円(+1.2%)
Delta−Fly Pharma 1,250円 -30円(-2.3%)
ステムリム 807円 -5円(-0.6%)
メディシノバ 317円 -11円(-3.4%)
ファンペップ 227円 -4円(-1.7%)
ペルセウスプロテオミクス 415円 -1円(-0.2%)
モダリス 375円 -23円(-5.8%)
クリングルファーマ 808円 0円(0.0%)
レナサイエンス 445円 -1円(-0.2%)

 6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い

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