1 創薬企業の相場概況
本日の創薬株式市場は昨日に引き続き上昇しました。
28銘柄中12銘柄が値を上げ、14銘柄が値を下げました(変わらず2銘柄)。
創薬平均株価(全銘柄)は3日続伸で今週の取引を終え、3月1日に付けたトリプルボトムのネックライン658円の到達まで残すところ4%の上昇幅となりました。
過熱感は若干高まって来たものの、来週中のネックライン到達が可能な水準です。
個別銘柄では前日に事業説明会の内容を公開した4銘柄(そーせい・ペプチドリーム・カルナバイオサイエンス・ヘリオス)が揃って上昇しました。
そーせいは3月24日に第32回株主総会を開催し、主力パイプラインでNEUROCRINE社へ導出済みのM4、M1、M1/M4作動薬のおおよその想定上市時期(5~6年後)が投資家へ提示されました。
そーせいのM4作動薬と作用機序が酷似し、タイムスケジュールで先を行くKaruna社の競合開発品KarXTとの時系列を把握する上で、上記想定時期の提示は投資家がそーせいを評価する上で重要な内容となりました。

当サイトではM4作動薬の上市時期を2029年頃と見込んでおり、それよりも約1~2年早い上市を目指すNEUROCRINE社の開発計画は、M4/M1への強い期待の表れでしょう。
M4、および、Karuna社の競合開発品KarXTについての詳しい解説は「そーせい|M4作動薬HTL16878の競合開発品KarXT(Karuna社)の進捗およびHTL16878の承認時期」からご覧頂けます。
ペプチドリームも同24日に経営説明会を実施しました。
同説明会は同社パイプラインの強みを全面にアピールした内容であり、投資家の印象は良かったのではないでしょうか。
また、主力製品PD1/PD-L1阻害剤(抗癌剤)の導出先であるBMS(Bristol-Myers Squib)社は、次世代型となる経口タイプの同阻害剤の開発を成功させ、同治療薬による臨床試験がそろそろ開始されます。
一世代前となる注射剤ではフェーズ1が完了し、安全性の問題が無かったため、次世代型ではフェーズ1と2を同一プロトコルで行うフェーズ1/2治験が実施されると思われます。
早期段階が全てを占めるペプチドリームにおいて、フェーズ2治験がパイプラインに加わることは大変意義のあることです。
カルナバイオサイエンスは経営目標とその実績を非常に丁寧にまとめており、株主との対話を非常に意識していることが伺えます。
2021年12月期の計画をほとんど達成した同社は、2022年度の目標もおそらく達成出来るでしょう。
しかし、同目標は保守的なものであるのも事実であり、他の創薬銘柄と比較して開発スピードはむしろ遅いと感じられます。
導出契約や特許取得に加え、早期フェーズの有効性が株価に反映され難い現在の創薬株式市場を考えると、投資家が求めていることは確実な目標達成よりも、開発スピードを向上させることかもしれません。
ヘリオスの「事業計画及び成長可能性に関する事項」ではこれまでの進捗をまとめた内容となりました。
Athersys社から導入した骨間葉系幹細胞医薬品の「HLCM05136」では、早期承認制度を利用した上市が既に意識されており、特にARDSを適応とするパイプラインはCovid-19パンデミックの話題性もあるため、ヘリオスの今後の株価に大きな影響を与えるものと考えられます。
また、HLCM05136は急性期脳梗塞を対象とするフェーズ2/3治験(エンロール数:220人)も実施しており、2022年後半には主要評価項目の結果が公表されると予想されます。
再生医療関連銘柄ではサンバイオが早期承認制度を利用し、間葉系幹細胞医薬品の外傷性脳損傷治療薬「SB623」に対する承認申請を行い株価が大きく反応しました。
しかしながら、早期承認制度には無視できない短所もあるため、その後サンバイオ株は大きく下落することになりました。
ヘリオスのHLCM05136の場合はサンバイオのSB623に比べ、ARDSという世界情勢に沿った疾患治療薬を開発していることや、一般プロセスによる承認を目指す脳梗塞パイプラインも存在するため、ヘリオス株はサンバイオ株と同様の値動きとはならないことでしょう。
2 創薬企業のIR更新情報(前営業日)
【そーせいグループ】
【カルナバイオサイエンス】
【カイオム・バイオサイエンス】
・Tribody技術を利用したがん免疫療法に関する論文掲載のお知らせ
【キッズウェル・バイオ】
・OMEGA Investment社のOmega Bioscience Indexに当社のInnovation IndexとScoreboardが掲載されました
【ペプチドリーム】
【サンバイオ】
・4月5日に米国神経学会(American Academy of Neurology)でSTEMTRA試験 最終解析結果が発表されます
【ヘリオス】
【ソレイジア・ファーマ】
3 創薬企業の株価指数
主要指数 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
創薬平均株価 | 633円 | +7円(+1.09%) |
BR創薬株3種 | 1,796円 | +37円(+2.10%) |
BR創薬株7種 | 1,198円 | +16円(+1.38%) |
BR中型株指数 | 714円 | 0円(-0.06%) |
BR小型株指数 | 250円 | +1円(+0.20%) |
4 創薬株価指数とテクニカル指標
創薬平均株価構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、オンコセラピー・サイエンス、そーせいグループ、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、ペプチドリーム、オンコリスバイオファーマ、リボミック、サンバイオ、ヘリオス、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、ステムリム、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
BR創薬株3種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、そーせいグループ、ペプチドリーム
BR創薬株7種構成銘柄:ジーエヌアイグループ、アンジェス、そーせいグループ、ペプチドリーム、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR中型株指数構成銘柄:アンジェス、サンバイオ、ヘリオス、ステムリム
BR小型株指数構成銘柄:オンコセラピー・サイエンス、ナノキャリア、カルナバイオサイエンス、キャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、カイオム・バイオサイエンス、キッズウェル・バイオ、オンコリスバイオファーマ、リボミック、ブライトパス・バイオ、窪田製薬ホールディングス、ソレイジア・ファーマ、Delta−Fly Pharma、メディシノバ、ファンペップ、ペルセウスプロテオミクス、モダリス、クリングルファーマ、レナサイエンス
4 創薬企業の相場のまとめ
全体 | |
---|---|
値上がり銘柄数 | 12銘柄 |
値下がり銘柄数 | 14銘柄 |
変わらず | 2銘柄 |
出来高 | 5,164万株 |
売買代金 | 1,827,455万円 |
時価総額 | 9,067億円 |
個別銘柄 | 終値 | 前日比(%) |
---|---|---|
ジーエヌアイグループ | 1,407円 | -38円(-2.6%) |
アンジェス | 330円 | -3円(-0.9%) |
オンコセラピー・サイエンス | 68円 | +2円(+3.0%) |
そーせいグループ | 1,489円 | +20円(+1.4%) |
ナノキャリア | 260円 | 0円(0.0%) |
カルナバイオサイエンス | 1,040円 | +9円(+0.9%) |
キャンバス | 187円 | -2円(-1.1%) |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 213円 | -2円(-0.9%) |
ラクオリア創薬 | 782円 | +2円(+0.3%) |
シンバイオ製薬 | 759円 | -19円(-2.4%) |
カイオム・バイオサイエンス | 191円 | +9円(+4.9%) |
キッズウェル・バイオ | 437円 | +8円(+1.9%) |
ペプチドリーム | 2,130円 | +75円(+3.6%) |
オンコリスバイオファーマ | 645円 | -13円(-2.0%) |
リボミック | 252円 | +44円(+21.2%) |
サンバイオ | 1,286円 | -18円(-1.4%) |
ヘリオス | 1,214円 | +10円(+0.8%) |
ブライトパス・バイオ | 97円 | 0円(0.0%) |
窪田製薬ホールディングス | 153円 | -3円(-1.9%) |
ソレイジア・ファーマ | 82円 | -1円(-1.2%) |
Delta−Fly Pharma | 1,295円 | -49円(-3.6%) |
ステムリム | 740円 | +12円(+1.6%) |
メディシノバ | 327円 | +6円(+1.9%) |
ファンペップ | 239円 | -13円(-5.2%) |
ペルセウスプロテオミクス | 405円 | -7円(-1.7%) |
モダリス | 363円 | +6円(+1.7%) |
クリングルファーマ | 800円 | -87円(-9.8%) |
レナサイエンス | 448円 | -14円(-3.0%) |
6 バイオテックレポート(BR:Biotech Report)からのお願い
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