SB623による慢性期外傷性脳損傷を適応とするフェーズ2治験(STEMTRA試験)において、48週時点でのFMMS(フューゲルメイヤー運動機能評価)変化量が対プラセボ比で有意な結果が得られなかったことに関して、「サンバイオ|外傷性脳損傷治療薬『SB623』の有効性に対する統計学的考察」で解説しました。
そして、SB623投与群とプラセボ群をSTEMTRA試験と同じ条件の下、フェーズ3治験で48週時点での有意な結果を出すために必要なエンロール数を「サンバイオ|『SB623』による外傷性脳損傷フェーズ3治験で有意な結果を出すために必要なエンロール数の統計学的推定(未修正プロトコル)」において推定しました。
今回の記事ではフェーズ3治験のプロトコルを修正した場合に必要なエンロール数を推定します。
STEMTRA試験ではSB623投与群において、投与量の相違(100万個、500万個、1,000万個)があります。
そのうち、SB623投与群の中で48週時点での標準誤差が最も大きかった群が1,000万個群です(概算±4)。
対して、最も誤差が小さかった群が500万個群(概算±2)であり、次点が100万個群(概算±2.5)です。
24週次点では上記3群の誤差の相違は小さく、期間が48週に延びることで誤差の大きさに相違が見られる結果になりました。
100万個群と500万個群では標準誤差の大きさに相違はあまり見られませんが、有効性に大きな違いが見られ、100万個群に比べて500万個群の方が70%ほど有効性が上乗せされます。
そのため、フェーズ3治験のエンロール数の本推定では、SB623投与群の投与量を全て500万個とします。
そして、下記【信頼区間、標準誤差、標準偏差、分散の関係】を用いてSB623投与群の信頼区間を算出すると、信頼区間は「平均値11(概算)± 4」となります。
【信頼区間、標準誤差、標準偏差、分散の関係】
・信頼区間 = 平均値 ± 2 × 標準誤差
・標準誤差 = 標準偏差 ÷ √データ数
・標準偏差 = √分散
・分散 = 各データの平均値からの差の2乗の合計 ÷ データ数
前回の「サンバイオ|『SB623』による外傷性脳損傷フェーズ3治験で有意な結果を出すために必要なエンロール数の統計学的推定(未修正プロトコル)」でも述べましたが、上記関係式より、データ数を増やすことで信頼区間を狭めることが可能です。
そして、プラセボ群の信頼区間を変化量の上限を、上記SB623投与群が有意な結果を得られるように7以下に設定します。
その結果、48週時点においてSB623投与群が有意な結果を得られるプラセボ群のエンロール数は44人と導き出されました。
SB623の量を500万個に固定し、FMMS変化量の平均値の向上と誤差を少なくすることで、エンロール数(1:1)100名程度で48週時点のSB623の有効性(有意水準 = 0.05)を示すことが可能になります。
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