サンバイオ|『SB623』による外傷性脳損傷フェーズ3治験で有意な結果を出すために必要なエンロール数の統計学的推定(未修正プロトコル)


SB623による慢性期外傷性脳損傷を適応とするフェーズ2治験(STEMTRA試験)において、48週時点でのFMMS(フューゲルメイヤー運動機能評価)変化量が対プラセボ比で有意な結果が得られなかったことに関して、「サンバイオ|外傷性脳損傷治療薬『SB623』の有効性に対する統計学的考察」で解説しました。

そして今回はサンバイオが48週時点においてSB623の対プラセボ比で有意な結果を出すため、何を講じれば良いのかを考えます。

まず、平均値からの95%信頼区間は、データ数が40も超えれば標準誤差のおおよそ2倍です。

標準誤差は標準偏差をデータ数の平方根で割った値です。

そして、標準偏差は分散の平方根で表わせ、分散は各データの平均値からの差の2乗の合計をデータ数で割った値となります。

 

【信頼区間、標準誤差、標準偏差、分散の関係】

・信頼区間 = 平均値 ± 2 × 標準誤差

・標準誤差 = 標準偏差 ÷ √データ数

・標準偏差 = √分散

・分散 = 各データの平均値からの差の2乗の合計 ÷ データ数

 

上記関係式より、各データの平均値からの差を小さくするか、データ数を増やすことで信頼区間を狭めることに繋がります。

それではまず、STEMTRA試験と同じ条件でフェーズ3治験を行った場合の、48週時点で有意性を出すために必要なエンロール数を推定します。

同時点におけるSB623投与群とプラセボ群のFMMS変化量の平均値(概算)は+8と+3.5、SB623投与群の95%信頼区間(概算)が同平均値±4である場合、プラセボ群の信頼区間は同平均値±0.5以下でなくてはなりません(概算では平均値±4)。

プラセボ群の信頼区間を同平均値±0.5以下にするため、同条件を上記【信頼区間、標準誤差、標準偏差、分散の関係】に当てはめると、条件を満たすプラセボ群の必要データ数は2,160人となります。

よって、SB623による外傷性脳損傷フェーズ3治験のエンドポイントが48週時点でのFMMS変化量の差とした場合、有効性(有意水準 = 0.05)を示すために必要なエンロール数は4,000人を超え、非現実的な治験プロトコルになってしまいます(SB623:プラセボ = 1:1 の場合)。

そのため、この条件下においては、SB623による外傷性脳損傷フェーズ3治験は行われないと考えられます。

 

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